11月11日は竹輪の日、11月15日は蒲鉾の日と練り物の記念日が集まる11月。
これからの時季、おでんやお鍋、おせち料理などで見かける機会も多くなる練り物についてご紹介いたします。
練り物について
練り物の原料は魚のすり身で、一番使われているのはスケトウダラという魚です。
身の部分だけを水洗いし脂分を取り除いたすり身を用いて、蒲鉾、竹輪、はんぺん、さつま揚げなどが作られています。魚の種類によって弾力も違い、タイやタチウオ、グチなどそれぞれの練り物によって適した魚が使われています。
因みに、おでんの具として練り物と一緒に食べられることの多い「ちくわぶ」は、小麦粉が原材料なので練り物とは異なります。「竹輪麩」という名前の通り、竹輪を作る際に当時高価であった魚のすり身の代わりに小麦粉を使用したことが発祥といわれています。小麦粉から作られるため、うどんなどの穀類と同じ分類となります。
種類について
焼き:竹輪、笹蒲鉾、伊達巻
蒸し:蒲鉾、カニカマ、すじ蒲鉾、はんぺん
茹で:浮きはんぺん、つみれ、鳴門巻き
揚げ:さつま揚げ、揚げかまぼこ、じゃこ天
栄養的特長
手軽にとれる高たんぱく低脂質食品
練り物には、卵や牛乳と同量程度のたんぱく質が含まれています。
その上で、脂質は卵や牛乳の10分の1以下と低脂質です。また、調理なしでそのまま食べられるため、手軽に取り入れることができます。
消化吸収しやすく良質なたんぱく質
2013年から用いられている新たなたんぱく質の指標 “DIAAS”(消化性必須アミノ酸スコア)で、たんぱく質の多い食品(豆腐、鶏肉、卵、魚のすり身)を比較したところ、魚のすり身が最も高い数値となり、高たんぱく質で且つ吸収しやすい食品であることがわかりました。
つまり、短時間で消化されやすいため、たんぱく質が不足しやすい朝食時や運動前後、疲労時に取り入れるのにおすすめの食品だということがわかります。
*“DIAAS”(消化性必須アミノ酸スコア)…食品に含まれる必須アミノ酸の吸収率を考慮したたんぱく質の新指標。従来の評価法とは異なり上限値100で切り捨てられることがないため、より正確な評価指標として注目されています。
食べ方の注意点
練り物は加工食品であることや、おでんなどの煮込み料理に使うことが多いことからも、塩分や糖質などが多くなりやすい食材です。量や調理方法、味付けなどに気を付けつつ、食事に取り入れてみましょう。
塩分について
日本人の食事摂取基準における成人の食塩の目標量は、1食あたりにすると2~2.5g程が目安とされています。練り物は上表のように、焼き竹輪1/2本で1.3g、蒸し蒲鉾3切で1gと簡単に半分量を超えてしまうため、食べ過ぎには注意しましょう。
糖質について
比較的エネルギーの少ない練り物ですが、つなぎや調味料などで100gあたり10g前後、あるいはそれ以上の糖質が含まれています。原材料である魚の糖質は0~0.1gとほぼ含まれていない点からも、糖質量も少し注意して取り入れていきましょう。
調理のポイント
加熱時のポイント
原料である魚のすり身は、長時間熱を加えることで特有のプリッとした弾力が失われてしまいます。冷蔵庫から出して室温に戻り始めるタイミング(適温:10°C)で食べるか、炒め物や煮物にする場合でも、最後にサッと入れて中に火が通りすぎないよう、弱めの火加減で短時間仕上げを心がけましょう。
また、煮物やおでんなどの煮込み料理のポイントとして、練り物に魚の旨味を残しておきたい場合は火を止める直前に加える、出汁の方に練り物の魚の風味を出したい場合は、火を止める10分程前に加えるのがおすすめです。
塩分コントロール
使う大きさに切ってからさっと湯通しすることで、表面の塩分を減らすことができます。
また、調理する時には醤油などの塩分の多い調味料を控えて、出汁や香辛料、薬味などを活用することで塩分を抑えることも可能です。カリウムを含む野菜や海藻類、きのこ類と合わせるのもおすすめです。
おすすめ活用方法
朝食の1品に
たんぱく質が不足しやすい朝食時こそ、手軽にとれる練り物を活用しましょう。朝食にたんぱく質をとることで日中の食欲がコントロールしやすくなります。
練り物は加熱済み食品で、そのまま食べることができるため、忙しい朝にはそのまま1品としてプラスするのもおすすめです。同じく加工品であるソーセージと比べても、同量のたんぱく質を摂れる上に、エネルギーが100kcal、脂質が約90%も抑えられるため、食事コントロールや栄養バランスを整える際にもおすすめの食材です。加えて、野菜や海藻、きのこ類などの食物繊維も取り入れることで血糖値のコントロールにも効果的です。
おつまみの1品に
お酒のおつまみにも練り物を活用してカロリーコントロールしていきましょう。例えばサラミなどのドライソーセージをさつま揚げに替えることで、エネルギーは1/4に、脂質は約95%カット(20分の1)できます。
汁物に
あまり具の少ない汁物でも、練り物をプラスすることでたんぱく質がアップします。
また、低カロリー低脂質で消化の負担が少ないため、朝に食欲がない方や小腹が空いた時の軽食、遅くなった際の夕食などにもおすすめです。ただ、練り物を加える場合、塩分が含まれるため、
出汁をきかせて塩分をコントロールしましょう。
おすすめレシピ
竹輪のもずく酢和え
『2ステップ』で出来る簡単レシピをご紹介。
手軽にたんぱく質と食物繊維がアップでき、お酢で血糖値や血圧のコントロールの効果も期待できる1品。もずく酢と混ぜるだけと簡単、かつカロリーも1人分で100kcal未満なので、夕飯時やおつまみ等1品プラスしたい時におすすめです。
【材料】1人分
竹輪(小) 2本
もずく酢 1パック
大葉 5枚
おろし生姜 適量
白いりごま 適量
【作り方】
1. 竹輪は細切りに、大葉は千切りにします。
2. ボウルに1、もずく酢、おろし生姜を入れて混ぜ、器に盛り、白ごまをかけて完成です。
【アレンジ】
・竹輪を蒲鉾やさつま揚げに替えて。
・きゅうり、トマトなどをプラスしてサラダ風に。