食欲の秋。秋にはおいしそうな旬の食べ物がたくさん店頭に並びます。秋が旬の食材には、夏バテで疲れた体や低下した免疫機能を回復させるなど、冬に向けて体を整えるためにとりたい栄養が豊富に含まれます。今回は、夏の終わりから秋に出回る旬の果物「いちじく」についてご紹介いたします。
いちじくについて
いちじくは、品種によって夏に収穫できる「夏果」と、秋に収穫できる「秋果」があり、夏の終わりから秋にかけて生のいちじくが店頭に並びます。びわのような形をした、子どもの握り拳程度の大きさで、成熟すると赤紫色の実になります。ねっとりとした独特の食感で、味にクセはなく、ほどよい甘味と酸味がおいしい果物です。全体が赤褐色に色づき、お尻の方に裂け目が出たときが食べ頃で、丸みがあって付け根の部分まで色づき、皮に弾力とハリがあるものがおいしいいちじくの特徴です。
いちじくの果実は内側が空洞になっていて、実の中に花を咲かすことから、漢字では“無花果”と書きます。実の中の赤いブツブツとしたものが花であり、独特の食感をつくっています。現在では、挿し木で簡単に栽培できることから、全国で広く栽培されています。
いちじくの効能
昔から健康効果の高い食べ物で、不老不死の果物と言われ、漢方などにも使われていたほど栄養が豊富な食品です。そんな中からいくつかピックアップしてご紹介します。
(1)整腸作用
秋の果物の中では食物繊維が豊富で、柿より多く、梨では約2倍、ぶどうでは約4倍も多く含まれています。
また、不溶性と水溶性の食物繊維がバランス良く含まれていることも特徴で、他の果物には少ない、水溶性食物繊維が多いことがわかります。不溶性は便のかさを増し、腸の蠕動運動を盛んにして、消化管を通過する時間を短縮させる働きがあり、水溶性は腸内細菌(善玉菌)のエサとなって腸内環境を整える作用があります。便秘予防に効果的です。
食物繊維量(100g中)
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
(2)胃腸の消化を助ける
いちじくの白い果汁には、たんぱく質分解酵素が含まれています。食べすぎや飲みすぎによる胃もたれや、夏バテが続いていて消化不良になっているときなど、胃腸の消化を助けます。食後のデザートとして、少し食べるのも良いでしょう。また、肉や魚などに含まれるたんぱく質の分解を促進するため、肉などの食材と一緒に煮込むと柔らかくなり、体内で消化しやすくしてくれます。
(3)抗酸化作用
いちじくには、ブルーベリーなどの色素と同じポリフェノールの一種である、アントシアニンが豊富に含まれます。ポリフェノールには、抗酸化作用があり、動脈硬化や生活習慣病の予防や
肝機能の向上、美肌などへの効果も期待されています。
ドライいちじくの栄養について
いちじくは、ドライフルーツとしてもよく出回っています。ドライいちじくに
はカリウムがとても多く、他のドライフルーツと比較しても、プルーンや
ブルーベリーの約2倍も含まれています。カリウムは、体の中の余分な塩分を
外へ排出するため、むくみや高血圧の予防に良い成分です。
(100g中)
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
いちじくの食べ方
生のいちじくはバナナのように手で向いて簡単に食べられるので、手間がなくとりやすい果物です。おいしい食べ方をご紹介します。
●野菜サラダや和え物、ヨーグルトに追加
野菜サラダや和え物、ヨーグルトに追加することで、食物繊維量が増えます。いちじくの甘味や酸味が野菜やヨーグルトと合います。レタスやキャベツだけのサラダや、具のないプレーンヨーグルトで物足りないときはおすすめです。
●カルパッチョに追加
いちじくはカルパッチョの魚やハムに含まれるたんぱく質の分解を助けてくれます。また、
いちじくの酸味が油の多めな料理にもよく合います。
●肉の煮込み料理に追加
塊肉やハンバーグなどの肉と一緒に煮込むと肉が柔らかくなるため、消化がしやすくなり胃腸の負担を軽くします。また、赤ワインと一緒に煮込むとさらにポリフェノールをとることが
できます。
すぐに食べられないときは・・・ジャムやシロップ漬けに!
いちじくは日持ちのしない果物のため、完熟したらすぐに食べましょう。すぐに
食べられないときには、ジャムにしたり、シロップ漬けにするのがおすすめです。パンに乗せたり、ヨーグルトに入れたり、焼き菓子に入れて焼いたりして活用できます。
おすすめレシピ
疲労回復の成分であるビタミンB1が多く含まれる豚肉に、いちじくとバルサミコ酢の酸味を活かして、さっぱりとした味付けにしました。残暑や季節の変わりめの気温差で体の調子が整いづらい時期におすすめのレシピです。
●冷しゃぶといちじくのサラダ和え
【材料】(2人分)
・豚ロースしゃぶしゃぶ用 ・・・160g(約10枚)
・いちじく ・・・2個
・水菜 ・・・1株
[ドレッシング]
・オリーブオイル ・・・大さじ2杯
・バルサミコ酢 ・・・大さじ1杯
・しょうゆ ・・・小さじ1杯
・砂糖 ・・・小さじ1杯
・すりおろしにんにく ・・・小さじ1杯
・黒こしょう ・・・少々
【作り方】
1.いちじくは皮をむいて8等分に切り、水菜は5cm程の長さに切ります。
2.ドレッシングの材料をボールに入れ、混ぜ合わせます。
3.鍋にお湯を沸かし、豚肉を茹で、茹でた豚肉を氷水でさっと冷やします。
4.3の豚肉を5cm程度の大きさに切ります。
※細かく切れている場合は、そのままで良いです。
5.大きめのボールに水菜、いちじく、4の豚肉、ドレッシングを入れて混ぜ合わせたら
完成です。
※ 野菜はカットレタスやキャベツの千切りなどに変更するとボリュームのあるサラダに
なります。
※ バルサミコ酢がない場合は、米酢などお好みの酢でも構いません。ウスターソースと酢を
1:1で合わせるとバルサミコ酢に近い味になるので、試してみるのも良いでしょう。