毎日暑い日が続きますね。8月31日は8(や)3(さ)1(い)で「野菜の日」と言われています。野菜の日にちなみ、今回は夏野菜の代表であるオクラについてのお話です。
オクラの旬は6~9月で、今がまさに食べ頃です。オクラはクセが無くて、どんな料理にも合わせやすい食材なので、様々活用してみましょう!
オクラの産地と種類
●オクラの産地
オクラはアフリカ北東部が原産の野菜です。暖かい地域での栽培がさかんで、日本では鹿児島県・高知県・沖縄県などで多く栽培されています。
また、フィリピンやタイなど外国から輸入もされています。
●オクラの種類
(1)オクラ
日本で一番流通している種類で、輪切りにすると5角形の星形になっているのが特徴で、大きさは約5~10cm程です。アメリカでは、長くほっそりした形が女性の指を連想させることから、レディースフィンガーとも呼ばれています。
(2)紅オクラ
皮が赤いオクラです。普通のオクラと大きさや特徴などは、ほとんど同じですが、茹でると色が消えてしまうので、色を活かす場合は生のまま食べるのがおすすめです。
(3)白オクラ
山口県で栽培されている品種のオクラです。粘りが普通のオクラより強く、大きいサイズでも柔らかいという特徴があります。
(4)丸オクラ(島オクラ)
島オクラとも呼ばれているオクラで、輪切りの断面が丸い形をしています。日本での流通は少ないですが、主に沖縄県で生産されています。一般的なオクラよりやわらかい食感です。
(5)ミニオクラ
オクラを通常より未熟な状態で収穫した短いオクラです。長さは3cm程度でやわらかく生でも食べやすいです。
オクラの特徴
食物繊維が豊富
オクラは食物繊維が豊富で、オクラ2~3本でも生野菜サラダ(レタス・トマト・きゅうり)を食べる以上の食物繊維を摂ることができます。
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
平成29年度国民健康・栄養調査の結果によると、食物繊維摂取量が目標量を満たしている世代はほとんどなく、全体的に摂取量は不足傾向にあります。生野菜から食物繊維と摂ろうとすると、量をたくさん食べる必要がありますが、オクラは、料理に少し足したり、付け合わせにする程度の少量でも食物繊維をアップさせることができるので、日々の食事にこまめに追加して食物繊維不足を解消するのにおすすめの食材です。
水溶性食物繊維が摂れる
水溶性食物繊維とは
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に分けられます。水溶性食物繊維は、水に溶ける食物繊維で水分を吸収するとヌルヌル、ネバネバとしたゲル状になる性質があります。水溶性食物繊維には以下のような働きがあります。
<水溶性食物繊維の働き>
●糖分の消化吸収速度を緩やかにし、血糖値の急な上昇を抑えます。
●腸内でコレステロールを吸着して体の外へ排出します。
●善玉菌を増やし、腸内細菌を整えます。下痢や便秘の改善に有効です。
●粘りが胃粘膜を保護します。また、空腹感を抑える作用もあります。
オクラのネバネバ成分は、ペクチンなどの水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維を多く含む食品は野菜や果物、海藻類があり、オクラは、野菜の中で特に水溶性食物繊維が多いという特徴があります。例えば、小松菜、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草など、普段使用する機会の多い野菜類と比較すると、食品100g当たり、2~3倍以上の水溶性食物繊維が含まれていることが分かります。
(食品100gあたり)
(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
水溶性食物繊維は体に良い働きが様々あり、積極的に摂りたい栄養素の1つですが、日本人の平均的な摂取量は少ない傾向にあるので、オクラをはじめ水溶性食物繊維を多く含む食品を意識して摂るように心がけましょう。オクラ以外にはわかめ、のりなどの海藻類を増やしたり、1日1回果物を食べるようにすることなどがおすすめです。
オクラの調理のポイント
オクラの食感を楽しみ美味しく食べる調理のポイントについてまとめました。
(1)下処理
オクラのヘタは、軸の上の部分は切り取り、ヘタの周りの黒い部分は面取りするように切り取ります。オクラの産毛は、塩をまぶして板ずり、または手でこすって取り除きます。
(2)切り方
切り方で粘りの量が変わります。輪切りやみじん切りなど細かく切ると粘りが増え、大きくカットすれば粘りを抑えることができます。料理に合わせて切り方を変えると良いでしょう。
(3)さっと茹でる
新鮮なものは生でも食べられますが、火を通した方が、ほどよく粘りが出ます。茹ですぎると食感が失われてしまうので、1分程度さっとゆでるのがおすすめです。茹でた後は、冷水で色止めをすると、色鮮やかな緑色を残すことができます。
(4)保存方法
オクラは冷蔵庫の野菜室で3~4日程度保存ができます。あまり保存が効く野菜
ではないので、長期的に保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。冷凍する時は、下処理をして茹で、粗熱を取り、水気をふき取って保存袋に入れて冷凍します。輪切りにしてから冷凍しておくと、解凍してそのまま使えるので便利です。冷凍したオクラは1ヶ月を目安に使い切りましょう。
◆オクラのちょい足し例◆
輪切りにして冷凍したオクラは、様々なおかずのちょい足しに活用できます。
例:豆腐、納豆、そうめんやそばのつゆ、味噌汁(インスタント味噌汁も含む)、スープ など
おすすめレシピ
オクラは、小鉢や付け合わせで食べることが多いですが、メインのおかずにもオクラを使いましょう。主菜にオクラを使うと、オクラ5本分は簡単に食べることができ、小鉢や付け合わせなどで副菜として食べるより摂取量を増やせます。オクラ5本分で、成人男女が不足している1食分の食物繊維を補うことができるので、食物繊維不足の解消におすすめです。暑くて食欲がなくなりやすい時期でもありますので、食欲増進効果のあるにんにくや、エネルギー代謝がスムーズに行われるようビタミンB1を多く含んだ豚肉を一緒に使ったレシピをご紹介します。
◆食物繊維アップ!オクラと豚肉のにんにく炒め
【材料・分量(2人分)】
・オクラ:10本(80g)
・豚肉(ロース薄切り):120g
・人参:中1/3本(30g)
・茄子:小1本(70g)
・にんにく:1かけ(5g)
・塩:2~3つまみ
・こしょう:少々
・油:大さじ1
・ごま油(仕上げ用):適量
<合わせ調味料>
・調理酒:大さじ1
・醤油:大さじ1
・みりん:大さじ1/2
【下準備】
1.オクラは産毛やヘタの下処理を行い、1分弱さっと茹でます。茹でたら冷水で冷まし、
1/2~1/3の大きさにカットしておきます。
2.豚肉は塩・こしょうで下味をつけておきます。
3.人参は、薄く短冊切りにします。
4.茄子は一口サイズに乱切りし、水にさらしてアクを抜きます。
5.にんにくは皮を剥いて、薄切りにします。
6.調理酒、醤油、みりんは合わせ調味料にしておきます。
【作り方】
1.フライパンに油を敷き、弱火でにんにくを炒めて香りを出します。
2.豚肉を炒め、半分ほど火が通ったら人参を加えて炒め、軽く火を通します。次に茄子を加え
てさらに炒めていきます。
3.豚肉、人参、茄子に火が通ったら、オクラを入れて手早く合わせます。
4.合わせ調味料を入れ、強火で水分を飛ばしながら全体と合わせます。
※時間をかけ過ぎるとオクラの食感が悪くなるので、30秒程度の短時間で仕上げましょう。
5.最後にごま油を適量回しかけて完成です。
【アレンジ】
・オクラはクセが少ないので、ズッキーニやパプリカ、ピーマン、トマトなど他の旬の夏野菜と合わせるのも良いです。
・カレー粉を使って、カレー風味の炒め物にするのもこの暑い季節にはおすすめです。