ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

TEL. 03-3962-5100

栄養コラム

お米について

No.185

2019年5月7日

管理栄養士 田口瑛里沙

5月から新元号「令和」に変わりましたね。新しい時代はどのように変化していくでしょうか。
時代は変化していきますが、食事は日本で昔から伝わる和食を大切にしたいものです。和食にかかせない食材のひとつであるお米は、5月頃から田植えの時期となります。今回は、お米についてお話ししたいと思います。


お米を食べない人が増加

年々米離れが続いており、若年層になるにつれてお米の摂取量が少ないといわれています。食料需給表によると、1日1人あたり食べていた米の量は、昭和35年に313g(普通茶碗約4.5杯分)、平成元年には187g(普通茶碗約3杯分)、平成29年に144g(普通茶碗約2杯分)と昭和35年のときに比べると現在は1/2以下の消費量となっています(農林水産省-平成29年度食料需給表より)。
これは、食が多様化していることや糖質オフダイエットなどの影響が考えられます。また、共働き世帯が増えライフスタイルが変化したことから食事づくりが簡易化し、手軽に食べられるパンやパスタなどの麺類を食べる人が増加していることにもあります。家計調査によると現在はパンの購入量がお米を上回っています。(総務省統計局-平成29年家計調査年報より)
お米を中心とした日本食は、古代から日本の食事を支え、健康的な食事として世界でも注目されています。お米の良さを再確認していきましょう。


普通茶碗1杯=米重量68gとして概算


お米の良さ

お米は、生活のために必要な栄養成分を含み、その他にも様々な良さがあります。

(1)重要なエネルギー源

私たちは、体や内臓を動かすために必要なエネルギーを食事からとっています。エネルギー源となる栄養素は、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)の3種類あり、中でも炭水化物(糖質)は最もエネルギーに変わりやすい栄養素で、疲労回復に優れた栄養素です。また、体内に蓄えられる炭水化物(糖質)は少量のため、食事ごとに適量をとることが必要です。お米には炭水化物(糖質)が92%と多く含まれ、エネルギーを維持するために毎食欠かせない食品です(白米のエネルギー比率参照)。また、お米には「ブドウ糖」が多く、脳はブドウ糖のみをエネルギー源とするため、お米は脳にも重要なエネルギー源であることがいえます。

(2)栄養バランスが整いやすい

栄養バランスを評価する一つの指標として、たんぱく質13~20%、脂質20~25%、炭水化物50~65%の割合が理想的なエネルギー摂取比率とされています。お米は、炭水化物が主成分で脂質が少ないため、おかずには、肉料理や揚げ物、炒め物など、油脂の多い料理でも合わせやすく、脂質の偏りを防ぐことができます。例えば、外食でご飯かパンか選ぶ機会があると思いますが、モーニングセットの場合で比較すると、ご飯を選んだ方が脂質の比率が抑えられ、また理想的なエネルギー摂取比率に近くなり、栄養バランスが整います。

(3)パンや麺類より腹もちが良く、噛む回数増加

お米の粒を食べるご飯は、粉から作られるパンや麺より消化吸収がゆっくりで、腹もちが良いといわれています。また、お米は複数回噛まないと飲み込みづらく、さらに噛めば噛むほど甘みを感じておいしいので、咀嚼することで味を楽しむことができます。
腹もちが良い食事をすることで、お菓子などの間食が減ったり、噛む回数が増えると満腹中枢を刺激し満腹感が得やすくなるなど、食べすぎ防止や肥満予防につながります。


日本ブランド米の食味ランキング

お米のおいしさは、水分、でんぷん、たんぱく質、脂質、ミネラルがある一定の数値でバランス良く配合されているお米がおいしいといわれています。見た目や食べた食感などで表現すると「色が白く、光沢があり、無味に近いがほのかな甘みと風味が感じられる。舌触りがなめらかで軟らかく、噛むと粘りと弾力があるもの」です。中でもお米の粘りと硬さのバランスは2種類のでんぷん、アミロース20%、アミロペクチン80%の含有バランスがおいしさの決め手になります。

一般財団法人日本穀物検定協会では、毎年日本のブランド米の数ある品種をランク付けし、評価しています。基準米より特に良好なお米が発表され、有名な「あきたこまち」「コシヒカリ」「ひとめぼれ」などを含め、55種が選ばれています。今年は、山形県の「雪若丸」、徳島県の「あきさかり」が特に良好なお米として追加されました。

日本のブランド米は、種類によって食感や甘みが違うので、様々なブランド米を食べて自分好みを見つけるのも楽しそうですね。


白米以外の米

お米には白米だけでなく、精米方法等により異なるお米があります。代表的な3つをご紹介します。

●玄米
稲穂を乾燥させて籾殻を外したお米です。ぬか層が残り、栄養価が高く白米に比べるとビタミンやミネラルなどが多いことが特徴です。特に食物繊維は白米の約5倍、糖質を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1は約8倍多く含まれる優れものです。栄養価は高いですが、よく噛んで食べないと消化が悪いため、胃腸に負担をかけます。6時間以上しっかり浸水させてから炊くともっちりした食感になり、圧力鍋や土鍋で炊くとふっくらしておいしい玄米ご飯になります。炊くときの水分量は、白米の水分量の1.5倍が良いです。

●発芽玄米
玄米を発芽させたお米です。発芽の際に眠っていた酸素が活性化し、出芽のために必要な栄養が内部に増加し、糖分やたんぱく質も分解されて、玄米より甘味やアミノ酸が増した玄米になります。発芽が始まると胚乳やそれを包んでいるぬか層が柔らかくなるため、白米と同じ水分量で炊くことができ、玄米より浸水時間が短く、柔らかい食感で食べられます。食物繊維は、白米、玄米、胚芽米の中で最も多く、白米の6倍です。

●胚芽米
玄米からぬかを取り除き、胚芽を80%以上残したお米です。胚芽部分には食物繊維やビタミンB1などが豊富に含まれるので、胚芽を取り除かれた白米より食物繊維は約3倍、ビタミンB1は約4倍も多くなっています。玄米や発芽玄米に比べるとぬか部分がない分、白米に食感が近く食べやすいことが特徴です。

(100g中)

(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年より)


便利な米加工品

忙しい現代人にとっては、お米を研いで炊く時間が面倒に感じてしまう人も多いようですが、今はお米の加工品が増え、電子レンジやフライパンなどの加熱で簡単に食べられるようになっています。

●無菌包装(パックご飯)
精米段階で殺菌し、その後、無菌施設で炊いたご飯を密閉容器にいれた米の加工品です。プラスティックのパックに入っていて、電子レンジで温めて簡単に食べられます。以前よりも食品加工技術が向上したため、炊飯器や鍋で炊いたご飯に近い状態の炊き上がりで、粘りや光沢感があります。サイズも小盛り、普通、大盛りとあり、種類も雑穀米や玄米、炊き込みご飯など様々あります。おかずがあるのに主食となるご飯がない、ご飯を炊く時間がないときなどに便利です。

●コンビ二やスーパーのおにぎり
コンビ二やスーパーの定番の商品です。具の選び方によっては、ご飯だけでなくの栄養もとることができます。また、袋に入ったまま冷凍保存もできるので、いくつか冷凍しておいて朝食の用意ができないときなどに電子レンジで温めてすぐに食べられます。

●冷凍調理加工食品
調理加工したご飯を-40℃以下の温度で急速冷凍し、-18℃以下で保存した米の加工品です。ピラフやチャーハン、焼きおにぎりなどがあります。長期保存が利くので、食べたいときに電子レンジで温めたり、フライパンで焼いたりして簡単に食べられます。

●レトルト食品
調理加工したご飯を空気が入らないようにプラスティックフィルムに入れて高圧加熱殺菌した米の加工品です。リゾットや炊き込みご飯、おかゆなどがあります。こちらは常温で長期保存ができ、電子レンジやお湯で温めて食べられます。非常食としても便利です。


おすすめレシピ

おかずも一緒にとれる簡単おにぎりレシピを2種類ご紹介します。おかずを作るのが面倒なときは、ご飯にたっぷりの具を混ぜておにぎりにして食べるのもおすすめです。お米をあまり食べないお子様にも食べやすく、また間食や、運動した後などの軽食としてもおすすめです。

●具たっぷりおにぎり

【材料】(2人分)
・ご飯 ・・・茶碗2.5杯分

[ツナ・塩昆布・ごま]
・ツナ ・・・1缶
・塩昆布 ・・・大さじ2杯
・いりごま ・・・大さじ1杯

[鮭・しらす・天かす]
・鮭フレーク ・・・大さじ2杯
・しらす ・・・大さじ1杯
・天かす ・・・大さじ2杯
・しょうゆ ・・・小さじ1/2杯

【下準備】
・ツナは、汁をきっておきます。

【作り方】

1.ボールを2つ用意し、1つには汁気をきったツナ、塩昆布、ごまを入れてよく混ぜます。
  もう1つには、鮭フレーク、しらす、天かす、醤油を入れて混ぜます。
2.1のそれぞれ具が入ったボールの中に、ご飯を半分量ずつ入れ、よく混ぜ合わせます。
3.2で混ぜたご飯と具をそれぞれおにぎりが2個分できるように分けておきます。
4.ラップに3をのせて丸く握ります。これを各2個(計4つ)作って完成です。

【アレンジ】
・お好みでのりを巻いても良いです。
・青じそを刻んで加えると彩りがきれいになります。
・塩昆布の代わりにたくあんやきゅうりなどの漬物を細かく切って入れると、食感が加わります。
・鮭フレークの代わりに、乾燥桜エビに変えると風味の良いおにぎりになります。