ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

夏のお酒の楽しみ方

No.176

2018年8月2日

管理栄養士 田原佳奈

今年は例年より暑い日が続いています。喉が渇いてついお酒がすすんでしまっていませんか。夏にお酒を楽しむためには、飲み過ぎないようにすることとあわせて、適切な食事と水分補給を心がけていただくことも必要です。


飲酒時の食事と水分の重要性

アルコールは胃や腸で吸収され、肝臓で分解されます。これらの臓器がきちんと働かないとアルコールの吸収から分解までがスムーズに行われません。臓器の働きを保つためには食事が重要で、おつまみをとらなかったり、前後の食事を抜いたりするのは体を壊すことにつながります。また、アルコールには「利尿作用」があり、体内の水分を尿として排泄する作用があるため、適切な水分補給が必要です。「喉の渇きは冷えたビールで」という方も多いと思いますが、残念ながらこれは間違いです。


夏の影響とアルコール

特に夏は暑さから発汗量が増えたり、体調不良、寝不足、食欲低下などになりやすい時期でもあります。アルコールも加わるとその影響を加速させます。

1.脱水
気温が高くなると発汗量も多くなるため、体の水分が減って脱水状態になりやすいうえに、そこにお酒を飲むとアルコールの利尿作用でさらに脱水状態となり、脱水症や熱中症の危険性が高まります。また、汗をかいていなくても皮膚や口から水分が排泄されており、自分では意識していなくても体の水分は少なくなっています。

2.胃腸機能の低下
夏は胃腸の働きが低下しやすくなります。発汗量が多いと皮膚への血流が多くなることで、胃への血流が少なくなったり、冷たい飲み物の飲みすぎや、屋内外の温度差が大きいことから胃液の分泌低下や消化吸収機能の低下がおこります。
アルコールは少量であれば胃の働きを活発にし、消化促進したり、食欲をアップしたりする効果もありますが、胃腸が疲れている状態でお酒を飲みすぎると、さらに胃腸に負担をかけます。

3.ビタミン・ミネラルの不足
夏の暑さは食欲の低下を招き、そのため手軽に食べやすい麺類だけで済ませるなど、食事の偏りによって必要なビタミン・ミネラルが不足します。さらにアルコールの代謝には多くのビタミンが使われるため、お酒を飲むときは飲まないとき以上にビタミンを摂る必要があり、相対的にビタミンが不足傾向です。


食事での対策

夏の影響を減らすための食事で気をつけられることをご紹介します。

●普段~飲む前

 『1日3食を基本に』
食事は必要な栄養を取り込むとともに、水分を補給する目的もあります。体に溜めておける栄養は限られるので1日3食を普段からの習慣にしましょう。お酒によって摂取エネルギーが過剰になることを気にして飲む前の食事を抜くのは、アルコールが体内で処理されづらくなるだけでなく、アルコールの吸収も早まり逆効果です。

 『食品を組み合わせてとる』
麺類のみなどで食事を軽く済ませると、アルコールを代謝するために必要なビタミン、ミネラルが足りなくなることがあります。下記三色食品群の黄・赤・緑を揃えて食品を組み合わせてとるようにしましょう。ただし、後の飲酒による高エネルギー摂取を考慮し、飲む前の食事では揚げ物や大盛りなど高エネルギーとなる食事は控えましょう。
【三色食品群】
黄・・主にエネルギー源となるご飯、パン、麺 など
赤・・体をつくるもとになる肉、魚、卵、大豆製品、
   乳製品 など
緑・・体の機能を調節する野菜、海藻、きのこ、果物
                      など

 『空腹で飲みはじめない』
空腹でお酒を飲むとアルコールの吸収が早くなり、胃腸へのダメージが大きいため、おすすめできません。事前に間食をとったり、お酒が進む前に食事を1品分でも食べてから飲み始めると良いでしょう。間食には胃腸を保護したり、不足しがちな栄養を補う食品をとりましょう。飲みすぎ予防にもなります。
 おすすめ間食例)牛乳、ヨーグルト、野菜ジュース、サンドイッチ、ナッツ、果物 など

●飲んでいる最中

『おつまみをとる』
胃腸に負担がかかりづらく、アルコールの分解を助け、肝臓の修復を助けるおつまみにしましょう。上記三色食品群では、肝臓の修復を助ける赤の食品群や、アルコール分解などで必要なビタミン・ミネラルがとれる緑の食品群をとりましょう。おつまみの注意点として、油や脂が多い料理は消化が悪く、また赤の食品の食べ過ぎは摂取エネルギー過剰になるので、気をつけましょう。
おすすめ例)
赤・・焼鳥、刺身、焼魚(ほっけ、ししゃもなど)、いかの一夜干し、出汁巻き卵、冷奴 など
緑・・サラダ、冷やしトマト、きゅうり、塩キャベツ、もずく酢、枝豆  など

●飲んだ後

『〆のラーメンやデザートは他のもので代用する』
アルコールを飲んだ後は、アルコールの分解にエネルギーが使われて低血糖になり、お腹が空いたような錯覚になります。そこにラーメンやデザートなどを食べると、摂取エネルギー過剰から体重増加しやすくなり、さらに遅い時間に消化するため胃が休まらず、疲れや翌日の食欲低下に繋がります。何か食べるとしたら温かい飲み物で食べたい気持ちを落ち着かせたり、不足しがちなビタミン・ミネラルを補えるものにしましょう。
 おすすめ例)紅茶、お茶、スープ、味噌汁、果物、野菜ジュース など

●翌日

『朝食は消化に良いものを』
前日に摂りすぎた飲食分が体に溜まる前に食事量を調整し、水分補給も合わせて、アルコールの代謝で疲れた体を休める食事が必要です。胃や腸を休ませるためには消化のよい食事にしましょう。そしておつまみと同じく、肝臓の修復を助ける赤の食品群や、アルコール分解などで必要なビタミン・ミネラルがとれる緑の食品群をとりましょう。
 【消化を良くするポイント】
  ・加熱する(炒め物、揚げ物など油で調理した物は避ける)
  ・食材は細かく刻む
  ・香辛料や酸味の強い物、味の濃い物は避ける
  ・脂質の多い食品は避ける
  ・スープやジュースなどの飲み物も活用
 
 おすすめ例)温野菜、味噌汁、コンソメスープ、スムージー など


飲むときの水分補給

水分は一気に飲んでも吸収されにくいので、少しずつ補給しましょう。ビールは飲んだ量以上に水分が尿として排泄されると言われています。お酒と一緒に水分をとりながら飲むのがおすすめです。特に夏は飲む前や〆に水を1杯、さらに寝る前にも飲むとよいでしょう。


おすすめレシピ

飲んだ翌日の朝はあまりお腹が空かなかったり、食欲が無いこともありますので、飲みやすく手軽に作れて、効率的に栄養補給ができるジュースをご紹介します。肝臓の修復に役立つたんぱく質とアルコール分解に必要なビタミンB群を含む豆乳と、胃の働きを高める適度な酸味や、アルコール分解にも必要なビタミンC、抗酸化ビタミンであるβ-カロテンなどを含むものとあわせたさっぱりとしたジュースです。

●豆乳オレンジジュース

【材料】(2人前)
・100%オレンジジュース…200ml
・豆乳(無糖)…200ml 

【作り方】
1.材料を混ぜてコップに入れて出来上がりです。

※冷凍オレンジを半解凍し、つぶして一緒に入れても美味しいです。

●豆乳トマトジュース

【材料】(2人前)
・トマトジュース(食塩添加)…200ml
・豆乳(無糖)…200ml
・オリーブオイル…小さじ1
・コショウ…適宜
・酢(ワインビネガー)…適宜

【作り方】
1.トマトジュース、豆乳、オリーブオイルを混ぜて、コショウ、酢をお好みで入れてください。
2.コップに入れて出来上がりです。

※トマトジュースが無塩の場合、ひとつまみの塩を追加してください。
※オリーブオイルは混ざりにくいのでよくかき混ぜてください。
※温めて飲んでも美味しいです。