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栄養コラム

夏野菜をとろう

No.174

2018年6月1日

管理栄養士 田原 佳奈

夏を乗り越えるためにおすすめしたいのが夏野菜。気温差が大きかったり、暑い日が続くと体調を崩しやすくなるこの時期だからこそ夏野菜をしっかり食べるメリットがあります。日本人の野菜摂取量は目標量に足りていない状況が続いていますので、食生活に野菜を増やす意識をしていきましょう。


野菜摂取量の変化

野菜は肥満、生活習慣病、がんなどの予防・改善に役立ち、1日350g摂取することを目標としていますが、平成28年度国民健康・栄養調査によると、成人1日当たりの平均野菜摂取量は約277gで大きな変化がなく、いまだに目標量には70g以上差があります。
また、年代別摂取量でみてもすべての年代で目標量に達しておらず、20~40代は目標量の約7割の摂取に留まっており、若年層の野菜不足が目立ちます。野菜の効果は広く知られていますが、野菜の摂取量は増えていないのが現状です。

(厚生労働省 国民健康・栄養調査より)


夏のカラダへのメリット

旬の野菜は栄養価が高いことに加えて、夏の暑さによる熱中症や夏バテ予防に効果的な食品です。食事に積極的に取り入れたり、間食にも野菜を活用してみましょう。

1.効率的な水分補給源

夏は水分補給がとても重要です。水分補給というと飲み物で補うイメージがありますが、食事からも1日約1リットルの水分を補給しています。食事から補給する水分には食材がもつ水分があり、野菜の多くは90%以上水分を含んでいるので、野菜が水分補給源となります。例えば、野菜サラダを1品追加するだけで約100gの水分補給になります。
特に暑い日や運動するときには水だけでなく、水分が体に吸収しやすくする糖質や、汗と一緒に排泄されてしまうミネラルを補給すると熱中症には効果的です。糖質は4%ぐらいが体内への水分吸収をよくすると言われておりますが、野菜に含まれる糖質は3~7%程度と水分吸収がよい糖質割合です。また、汗で失われるミネラルはナトリウムの他、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分も排泄されるため、水分補給とともに補いたい成分で、野菜メニューでとれる栄養成分をみてみると、スポーツドリンク同様に水分、糖質、ミネラルの補給ができることがわかります。熱中症予防として普段の食事でしっかり野菜をとることが必要です。

【野菜メニュー(調味料を除く)とスポーツドリンクの栄養比較】

 

水分

(g)

炭水化物

(g)

ナトリウム

(mg)

カリウム

(mg)

カルシウム

(mg)

マグネシウム

(mg)

(mg)

野菜サラダ95.23.4220318110.3
千切りキャベツ
  (100g)
92.75.2520043140.3
冷やしトマト
   (1個)
141.07.1531511140.3
もろきゅう95.43.0120026150.3
スポーツドリンク
(コップ1杯)
189.410.262521660

(日本食品標準成分表2015年版より)

【ミネラル比較】

2.体を冷やす

古くから中国医学や漢方には、体を冷やす食品と温める食品、またどちらでもない食品という分類があります。その中で夏野菜は体を冷やす食品に分類される食品が多く、夏の暑さで体から熱をうまく発散できないときには、体の中から冷やす効果が期待できます。
ただし、冷え性など体が冷えやすい方はとり過ぎると体の冷えを増加させてしまいますので、温めて食べたり、体を温める食品である生姜、ねぎ、ニンニク、玉ねぎなどと一緒に食べるようにしましょう。

3.彩りが良く食欲増進に

夏野菜は赤や緑など色の濃い鮮やかな野菜が多く、食事に彩りが増え、見た目から食欲がアップします。夏バテの原因の一つは食欲不振で、食事量が少なくなることで栄養不足になり、体調を崩しやすくなるため、夏野菜の彩りが夏バテ予防になります。


代表的な夏野菜

代表的な夏野菜とそれらの活用例をご紹介します。


効率よく栄養をとるためのコツ

ビタミンやミネラルは調理によって減少しやすいため、調理の工夫で少しでも効率的にとれる方法をご紹介します。

○水にさらしすぎない
水溶性のビタミンやミネラルが流れでるのを防ぎます。

○大きめに切る
小さく切るより大きめに切ったり、皮つきのままにしたり、包丁をあまり入れない方が損失が少なくすみます。

○高温でさっと火を入れる
加熱する時間が長いとビタミンは壊れやすくなります。

○煮る・茹でるより蒸すまたは電子レンジで加熱
水溶性のビタミン・ミネラルは煮たり茹でたりするとスープや汁に流れ出てしまいます。蒸し物や電子レンジは無水で加熱できます。または、スープなど茹で汁とともに食べると良いでしょう。


おすすめレシピ

短時間で加熱することで栄養の損失を防ぎ、焼いた香りや酸味が食欲をそそる夏野菜たっぷりのメニューです。

●グリル野菜のニンニクマリネ(2人前)

【材料】(2人前)
・オクラ…2本
・ズッキーニ…1/3本
・ナス…1/2本
・ピーマン(赤・黄など)…1/4個分
・ミニトマト…2個

[調味液]
 1.オリーブオイル…小さじ2
 2.レモン汁(またはワインビネガー)…小さじ2
 3.おろしニンニク…小さじ1/4
 4.塩…小さじ1/3
 5.コショウ…少々

【作り方】
1.野菜をカットします。
  オクラ・・・茎の硬いところとガクをそぎ、まな板に塩を振りオクラを転がしながら板ずりします。
 ズッキーニ、ナス・・・ヘタを切り落として1㎝幅の輪切りにします。
 ピーマン・・・縦半分に切ってヘタと種をとり除き、乱切りにします。
 ミニトマト・・・ヘタをとります。
2.1の野菜をグリルやフライパンで焼き目がつくまで焼きます。
  (フライパンの場合、オリーブオイル小1程度入れて焼いてください)
3.調味液を混ぜ合わせます。
4.2の粗熱をとって保存容器にいれ、3をかけて混ぜ合わせ冷蔵庫に入れ、30分以上漬け込みます。
5.お皿に盛って完成です。

※野菜はお好きな野菜で作りましょう。
※できあがったマリネの野菜を細かく刻み、鶏肉や豚肉、魚のソテーなどのソースにアレンジすると、料理の彩りがよくなり、酸味も効いてさっぱり食べることができます。