今年の4月1日はイースターです。イースターでは卵をカラフルな色で塗ったイースターエッグがよく知られていますので、今回は卵について紹介します。卵は食事やデザートなど料理には欠かせない食品で、幅広く使われています。さらに栄養価も高く、日々の栄養バランスを整えるのに欠かせない食品の一つです。
イースター
日本でも最近イースターのイベントが多くなってきていますが、毎年決まった日付ではなく、春分の日が過ぎて最初の満月の次の日曜日に設定されています。イースターとは復活祭のことでキリストが蘇ったといわれる日のため、キリスト教ではクリスマスより重要な日だそうです。イースターで卵が使われるのは、卵が生命の始まりを意味しており、キリストの誕生を表していると言われています。イースターエッグが教会で配られたり、家の中にイースターエッグを隠して探しだすエッグハントをする風習があります。
卵の栄養的特徴
完全栄養食品と言われる卵。体に必要な栄養素のうち、ビタミンCと食物繊維以外のすべての栄養素を含む優秀な食品です。そのため、食事にゆで卵や温泉卵など卵を1個プラスするだけで、より良い食事バランスに近づけることができます。
その1 食事バランスアップ
食事の栄養バランスを評価する一つに、「エネルギー産生栄養素バランス」があります。エネルギー産生栄養素とはエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物を指し、これらの摂り方は「適正量」とともにそれぞれの「割合」も重要となります。また、エネルギーバランスを整えることは食事全体の栄養バランスを整えることにもつながるため、健康維持や生活習慣病予防に整えておきたい割合です。
下記グラフの黄色の正三角形がエネルギー産生栄養素バランスの目標値を表しますが、例えば「ざるそば」のみだと炭水化物に大きく偏っています。そこでざるそばに卵1個をプラスすると、正三角形に近い形になり、食事のバランスが整ったことがわかります。
【エネルギー産生栄養素バランス】
≪参考≫エネルギー産生栄養素バランス目標値
たんぱく質 | 13~20% |
脂質 | 20~30% |
炭水化物 | 50~65% |
その2 体力維持、肌の調子を整える
卵には筋肉や皮膚、血液の材料となるたんぱく質が多いだけでなく、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB群(ビタミンB2、B12、葉酸、ビオチン)も多く含まれています。食事からとられたたんぱく質が体内で利用されるには、たんぱく質を分解して吸収し、さらにたんぱく質を合成する工程が必要です。ビタミンB群はたんぱく質の代謝をスムーズにし、筋肉や皮膚などを作り出す働きを手助けします。また、栄養や酸素を全身に送るための血液の材料となる鉄分とともに、血液を作り出す手助けをするビタミンB12や葉酸が含まれ、必要な栄養や酸素を素早く使えることで、筋肉や皮膚の再生を活性化します。
上記「その1」の例同様に、ざるそばに卵を加えることで、たんぱく質、鉄、ビタミンB12、ビオチンは成人女性の1食目安をほぼ満たすことができます。
【栄養量の比較】
卵の良さ
栄養面以外でも普段の生活に適した良さがあります。
その1 価格が安定している
卵は他のたんぱく質を多く含む食品の中でも価格が安定して安いため、毎日の食事に揃えやすい食品です。卵1個は20円前後で購入できますが、卵と同程度のたんぱく質量を他の食品でとる場合、牛乳200ml、ヨーグルト150g、納豆1パック、豆腐1/3丁、肉・魚介類約40g程度となり、卵よりも高めの価格になります。
その2 いろんな料理に使いやすい
卵は様々な料理に使えます。丸ごと使っても加熱する時間によって違う食感や味が楽しめ、かき混ぜてスクランブルエッグ、オムレツ、厚焼き玉子、炒め物の食材の一つとして使うことができます。食欲が無いときにでも溶いておかゆに混ぜたり、スープや味噌汁に入れたりすると食べやすくなります。また、ハンバーグなどのつなぎや天ぷらの衣、プリンやケーキなどデザートにも使われています。
卵とコレステロール
卵はコレステロールが多いので控えたほうが良いというイメージがある方もいると思いますが、食事でとるコレステロールは血液中のコレステロールへ直接的には影響しないため、現在では食事からのコレステロール摂取の上限値は撤廃されています。すなわち卵の摂取が血中コレステロールの異常の原因と結びつかないということとなるのですが、とはいえ卵を食べ過ぎると栄養バランスの偏りや過食につながりますので、1日1個程度を目安にしましょう。また、医師からの指示がある場合は医師の指示に従ってください。
卵の賞味期限
卵に表示されている賞味期限は生で食べることができる日として、多くはパック包装後2週間とされていますが、実際には生で食べることが可能な期間は、夏場は産卵後16日、冬場は57日と季節によって違いがでるようです。保存状態によっても大きく異なりますので、生で食べる場合はなるべく早めに使いきりましょう。生で食べられる期間が過ぎても加熱すれば食べられますので、賞味期限が過ぎても腐敗していなければ捨てずに加熱して食べましょう。
また、卵は殻つきの生であればサルモネラ菌が増殖しないように働きますが、殻から出したり加熱したものは菌が増殖しやすくなります。殻にひびが入っているものはその日のうちに使用し、ゆで卵など加熱したものは2~3日中に食べましょう。
○腐敗の確認方法
腐敗が進むと加熱しても食べられなくなります。以下の方法で確認してみましょう。
・割ってみる
黄身が割れていないか、異臭がしないかを確認しましょう。
・水に浮かせる
卵を殻のまま水にそっと浮かせて卵が浮く場合は、古い卵の可能性がありますので割って確認してみましょう。
○加熱方法
卵に多いサルモネラ菌は75℃1分以上の加熱で殺菌されます。黄身をかための半熟程度にする必要があります。
卵は、産みたての卵より1週間ほど経った卵の方が味が良くなると言われています。また、ゆで卵にしたときの殻も向きやすくなるそうです。
おすすめレシピ
今回ご紹介する卵のレシピは、卵に少ないビタミンCや食物繊維を多く含む食品と組み合わせて栄養バランスをアップしたレシピです。ビタミンCも食物繊維も共に多いじゃがいもとブロッコリーを合わせました。特にじゃがいものビタミンCは加熱しても壊れにくいのでおすすめです。そしてこのオムレツは焼かずに電子レンジでつくるので、卵の黄色がきれいに出て、またラップで成形するので形もきれいに仕上がります。
●まんまるオムレツ オーロラソース
【材料】(2人前)
・卵 ・・・2個
・じゃがいも ・・・小1/2個
・ブロッコリー ・・・80g(4房)
・ミニトマト(赤) ・・・4個
・ベーコン ・・・20g
・牛乳 ・・・大さじ2
・マヨネーズ・・・大さじ1
・塩 ・・・小さじ1/3(2g)
・こしょう ・・・適宜
[オーロラソース]
・ケチャップ ・・・大さじ1
・マヨネーズ ・・・大さじ1
・ウスターソース ・・・小さじ1/2
用意する器・・・ココット2つ、盛り付け用皿、ソース皿
【下準備】
1.じゃがいもを1cm程の角切りにし、水にさらしてから水気を切り、耐熱容器に入れて600w30秒加熱します。
2.ブロッコリーを小房にわけ、耐熱容器に入れて600w1分20秒加熱します。
3.ミニトマトを1/2にカットします。
4.ベーコンを1cm幅にカットします。
【作り方】
1.ボウルに卵、牛乳、マヨネーズ、塩、こしょうを入れて混ぜ合わせます。
2.ココット(直径約7~8cm程の耐熱容器)2つに、器より大きめに切ったラップを敷き、下準備した具材を敷きます。
3.2に1を流し入れ、ラップはそのままで600w2分加熱します。
4.レンジからココットを皿ごと取り出し、ココットから出ているラップの四隅を合わせ、ねじるように包んで丸くまとめて再度電子レンジ内に少し置いておきます。
5.オーロラソースを混ぜ合わせ、別皿に盛っておきます。
6.再びレンジからココットを取り出してラップをはずして、盛り付け皿に移します。ソースと一緒にお召し上がりください。
【ポイント】
・お使いの電子レンジによって調理時間は異なります。
・ふんわりと仕上げるために、卵はよくかき混ぜましょう。
【アレンジ】
・ベーコンの代わりにウィンナーやスモークサーモン、トマトの代わりにパプリカなど、他にもお好きな具に変えても楽しめます。
・とろけるチーズや粉チーズを加えるとコクやチーズの風味が加わり、さらに美味しいです。
・オーロラソースは、ケチャップやマヨネーズのみでも簡単にできます。