5000年以上も前に作られたとされるピラミッドよりも古い巨大な古墳と黒ビールの代表格であるギネスビール発祥の地として知られている『アイルランド』に旅行してきました。日本ではあまり知られていないアイルランドですが、アイルランド人の優しさや親しみやすさ、また食事やお酒など食べる物はどれも美味しいので、とても魅力的な国でした。
今回はアイルランドの料理とビールについてご紹介します。

アイルランドについて

アイルランドはイギリスの左上の島にあります。北海道より緯度は高いですが、冬の気候は北海道よりも穏やかで、冬でも雪が降り積もることはなく、気温も0度を下回ることがあまりないそうです。夏場は最高気温が20度くらいなので過ごしやすい気候です。私が行った5月は、朝晩が冷え込むので冬のコート1枚あると便利ですが、日中の陽が出ているときには薄手の羽織1枚あれば十分な気候でした。

アイルランドの食文化

イギリスに隣接し、歴史的にも関わりが多いので、イギリスと似ている料理が多くあります。アイルランドの農業の中心は畜産で、主な農産物は大麦、小麦、じゃがいもです。アイルランドの料理には「乳製品」と「じゃがいも」がよく使われ、アイルランド料理に欠かせない食材になっています。パンに塗るバターやクリームは滑らかでミルク感が非常に濃厚でおいしかったです。

パブでの食事

カフェやレストランもありますが、世界一のお酒飲みの国とも言われるアイルランドにはアイリッシュパブが多く、その多さにはイギリス人でも驚くというほどたくさんあります。パブでは料理を食べるスペースとお酒を楽しむスペースとが区分けされており、多くの人はお酒だけ飲みながら、会話を楽しんでいました。また、パブの一画には演奏スペースがあり、ギターの生演奏や生歌で音楽を楽しみながら飲むことができます。アイルランド人にとってパブはただのお酒を飲む場所ではなく、近所の住民が集まる大切な社交場となっています。週末にもなるとパブは音楽や人で大にぎわいでした。パブで提供される料理はどの店もほぼ同じメニューで、今日のスープ、ムール貝の蒸し物、アイリッシュシチュー、ハンバーグ、フィッシュアンドチップス、ビーフやラムのグリルが多くありました。

アイルランドの料理

パブやレストランなどで食べた料理を紹介します。
【魚料理】
●フィッシュアンドチップス
フィッシュアンドチップスはレストランなどの1メニューとしてだけでなく、ファーストフード店のようなフィッシュアンドチップス専門店があります。定番の「たら」や、「かれい」「えい」の一種である白身魚を選べます。カリッとした衣とポテトの甘さが美味しかったです。1人前量は写真のとおりとても多く、私は1人では食べられない量でしたが、近くの席でアイルランドの方と思われる年配の女性は1人で1人前分量を食べていらっしゃいました。

【肉料理】
●アイリッシュシチュー
じゃがいもや人参、セロリをラムと一緒に煮たシチューで、アイルランドの郷土料理です。鍋に入れて煮るだけで簡単にできるので家庭でもよく作られるそうです。今回食べたシチューではじゃがいもはシチューの具として入っているのではなく、マッシュポテトにしてシチューの上にのっており、さらっとしたスープが食べやすく感じました。

●ハンバーガー
海に囲まれているので魚介類も多いと聞いていましたが、
牧畜が盛んで肉メニューが豊富です。メインメニューに
ステーキなどと並んでアイリッシュビーフを使用したハンバーガーが入っていることが驚きでした。ファーストフードのハンバーガーより大きく、玉ねぎとトマトが入り、クリーミーでハーブの香るローズマリーソースが美味しかったです。

アイルランドのビール

ビール醸造所では醸造所が出来た歴史やビールに必要な材料の説明、最後にはビールの試飲ができ、アミューズメントパークのような見学コースが設けられていました。ギネスではアイルランドの首都であるダブリンの街を一望できる最上階でビールを飲むことができ、爽快でした。
醸造所を見学したビールを紹介します。

●スミズウィック（エールビール）
日本で主要なビールは「ラガー」と呼ばれる製法で、冷やして喉越しを楽しむビールですが、エールビールとは地ビールや海外のビールに多く、「エール」と呼ばれる製法のビールで香りと味を楽しむビールです。スミズウィックは1710年からある歴史あるビール醸造所で、キルケニーという町を代表するビールです。
ラガー・・・大麦麦芽を下面発酵で長時間発酵させたもの
エール・・・大麦麦芽を上面発酵で短時間発酵させたもの

●ギネス
日本でもよく見かける銘柄となりましたがアイルランドで作られたのが最初で、世界各地で飲まれています。見た目からは苦い、濃い印象がありますが、現地で飲んだビールはローストの味が程よくあり、苦味が少なく、飲んだ後にはすっきり感を強く感じました。また炭酸がきつくないのでまろやかです。

おすすめレシピ

海に囲まれたアイルランドはシーフードもよく食べられています。アイルランドの特産品である乳製品とじゃがいもを使い、シーフードのうま味を生かしたアイルランド料理「シーフードパイ」をご紹介します。「パイ」といってもパイ生地が使われているのではなく、シーフードのホワイトシチューにマッシュポテトをのせて焼き上げた料理です。

●シーフードパイ
【材料】（2人分）
[マッシュポテト]
・じゃがいも･･･大1個（約150g）
・牛乳･･･100cc
・バター･･･10g
・塩･･･2g（小さじ1/3）

[シーフードシチュー]
・シーフードミックス･･･60g
・玉ねぎ･･･1/4個（約50g）
・人参･･･1/5本（約20g）
・水･･･1/4カップ（50cc）
・牛乳･･･3/4カップ（150cc）
・バター･･･10g
・小麦粉･･･大さじ1
・塩･･･4g（小さじ2/3）
・ホワイトペッパー･･･少々
・チーズ（溶けるタイプ）･･･お好み

【作り方】
[マッシュポテト]
１．じゃがいもを皮つきのまま串が通るくらい柔らかくなるまで茹でます。
２．皮をむき、マッシャーまたはフォークでつぶし、温かいうちにバターを混ぜ合わせます。
３．塩と牛乳を２．に少しずつ加えながら混ぜ合わせます。

[シーフードシチュー]
１．玉ねぎは長さ3～4cmの5mmスライス、人参は長さ3～4cmの細切りにします。
２．鍋にバターをしき、玉ねぎ、人参を炒め、しんなりしたらシーフードミックスもあわせて炒めます。
３．火を止めて小麦粉を全体にふりかけ、混ぜ合わせます。
４．再び火にかけて水、牛乳を入れ、塩、ホワイトペッパーを加え、味を調えます。

[仕上げ]
１．耐熱皿にシーフードシチューを入れ、一度冷蔵庫で冷やし、マッシュポテトが沈まないように固さを強めます。
２．上からマッシュポテトを被せます。
３．電子レンジで600w 3分加熱します。
４．お好みでとろけるチーズをのせ、オーブン（またはオーブントースター）で10分程焼きます。チーズに焼き目がついたら完成です。

※シーフードミックス以外にもお好みの魚介類を入れてください。
※じゃがいもは水でぬらし、ラップで包み、600w 10分加熱してもできます。また裏ごしするとなめらかなマッシュポテトになり美味しいです。