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栄養コラム

キャベツ

No.44

2007年4月3日

国立健康・栄養研究所認定 栄養情報担当者(NR) 健康運動指導士 管理栄養士 須藤 律子

春キャベツが美味しい時期です。キャベツはサラダ、煮もの、あえもの、炒めもの、みそ汁、漬物など、何でもこなす万能野菜。色んな料理に使いまわしができる上に、日持ちもするのでとても重宝です。キャベツはくせのない甘さがあり、また歯ごたえもよく、栄養も抜群です。
キャベツには種類が多くありますが、ここでは日本で一般的にキャベツと呼ばれる「結球キャベツ」についてとりあげたいと思います。
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春キャベツが美味しい時期です。キャベツはサラダ、煮もの、あえもの、炒めもの、みそ汁、漬物など、何でもこなす万能野菜。色んな料理に使いまわしができる上に、日持ちもするのでとても重宝です。キャベツはくせのない甘さがあり、また歯ごたえもよく、栄養も抜群です。
キャベツには種類が多くありますが、ここでは日本で一般的にキャベツと呼ばれる「結球キャベツ」についてとりあげたいと思います。


キャベツの旬

キャベツは季節に合わせた品種があり、種まきの時期に差をつけて栽培し一年中出回っています。
春先から6月頃まで出回る巻きのゆるい春キャベツと、通年見かけるかたく巻いた平たい冬キャベツがあります。

●春キャベツ(新キャベツ)
早春から初夏にかけて収穫されるキャベツです。春先から6月頃まで出回り、大きさは冬キャベツより小さく、球の巻き方もゆるく丸型で、葉は中まで緑色をしています。
葉がやわらかく、みずみずしい ので、サラダなどの生食や浅漬けなどにむいています。

●冬キャベツ
晩秋から初春にかけて収穫されるキャベツです。形は偏平で、球がしっかり締まり、葉はしっかりとかためです。
外側の葉はあざやかな緑色をしているのが特徴ですが、傷んだ外葉をむいて出荷されることが多いので、店頭に並ぶものは葉が比較的白いものが多いようです。11月~3月頃まで出回り、煮こんでも煮くずれせず、出し汁をよくすうので、ロールキャベツのような煮ものにむいています。
また、水っぽさがないので炒め物にもむきます。


とんかつにせん切りキャベツの相性は抜群

洋食のつけ合わせの定番になっているせん切りキャベツ。外食でも食べる機会f_tonkatu
が多いですね。
このスタイルは“とんかつ”のルーツにもなった有名な“ポークカツレツ”を考案した東京銀座の老舗「煉瓦亭」が、そのカツレツにせん切りキャベツを
添えたのが元祖。
当初は手間のかかる温野菜を添えていたのが、日露戦争で人手不足になり、
代わりに生のせん切りキャベツにされたようです。
実はこのとんかつとキャベツの組み合わせが栄養的にも抜群。
キャベツの 食物繊維がとんかつの脂肪の吸収を抑え、またキャベツに含まれる
胃腸を丈夫にする様々な成分が油による胃もたれを予防し、胃腸を優しく守ってくれるのです。
揚げ物の付けあわせのキャベツは残さずに食べましょう。


キャベツの栄養と期待される働き

●ビタミン、ミネラル類が豊富
ビタミンA、B1、B2、C、E、K、ナイアシンなど、ほとんどのビタミン類kaze
のほか、カルシウム、リン、鉄、カリウム、マグネシウムなどのミネラル分も含まれています。
なかでもビタミンCが豊富で、大きめの葉を2~3枚ほど食べるだけで、
1日のビタミンC必要量をカバーできます。ビタミンCはかぜの予防や疲労回復、肌荒れの解消などに効果があります。

●胃腸を丈夫にする
キャベツはギリシャ・ローマ時代から消化促進作用が注目されていましたが、
キャベツの特筆すべき栄養素はビタミンUです。
ビタミンUには胃壁の 粘膜を再生、強化し、胃や十二指腸の潰瘍を抑制する
はたらきがあります。
ビタミンUはそもそもキャベツから発見され、キャベジンと呼ばれました。
同名の胃腸薬は、まさにこの成分の薬効効果を薬に取り入れたものです。i
また、ビタミンKも多く含まれ、出血したときに血を固める血液凝固作用があります。このため潰瘍で出血した傷口が早くふさがることになり、
この点でもキャベツは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に有効な食品といえます。

●骨粗鬆症予防
またビタミンKには、骨にカルシウムが沈着するのを助けるはたらきがあり、骨粗鬆症の予防に効果があります。
ビタミンKが不足すると、骨に十分なカルシウムが取りこめなくなって骨がもろくなります。
また、赤ちゃんの脳内出血を防ぐ作用が認められていますので、妊婦や授乳期の母親にも充分必要な栄養素です。

●ガンの予防
キャベツはアメリカ国立がん研究所によって提案された「デザイナーフーズピラミッド」の中で、トップグループに位置付けられている食品です。
「デザイナーフーズ」とは天然の植物中に存在するがん抑制作用のある成分を主体にして、がんを予防する効果が発揮できるようにデザインされた食品のこと。
「デザイナーフーズピラミッド」とはそれらの食品のうち、がん予防効果を示唆する報告が得られている約40種類の食品をピックアップし、がん予防に効果が高いと言われる食品を頂点としてピラミッドで示したものです。
キャベツのがん予防成分として、イソチオシアネートやインドール化合物、イオウ化合物などが含まれ、ビタミンCとともにガン予防に大きな効果があります。
ビタミンUの潰瘍を治すはたらきも、免疫力や自然治癒力を向上するという面でがんの予防に効果があります。

●便秘の改善
キャベツは食物繊維が多く含まれ、便秘を改善するだけでなく、腸内環境を良好
に保ち、大腸がん、高血圧、動脈効果、糖尿病、肥満などに効果的です。bennpi

●精神の安定 iraira
キャベツにはカルシウムも多く含まれています。カルシウムは丈夫な骨を
維持してイライラを解消し、精神を安定させる作用もあります。


保存方法

キャベツは芯から腐り始めるので、丸ごと保存する場合は、芯を包丁で切り抜き、水で湿らせた
キッチンペーパーなどを詰めてからポリ袋に入れ、芯部分を下にして冷蔵庫で保存します。
1日おきぐらいでキッチンペーパーを取り替えると長持ちしやすくなります。
切ったものはラップでしっかりと包み、冷蔵庫で保存してなるべく早く食べましょう。


効果的な食べ方 

栄養成分の損失を防ぐには、加熱は短時間にし、水にさらしすぎないこと。
スープなどの汁ごと食べられるものなら汁に溶け出た成分もまるごととる事ができます。
またビタミンC、ビタミンUは共にキャベツの中心部「芯」に多く含まれるので、芯も残さず食べましょう。

また外側の葉の緑色部分には、β-カロテンが含まれています。
β-カロテンは体内で必要な量だけビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にし、がんの予防や、活性酸素の害からからだを守るはたらきがあります。
外側の葉はなるべく捨てずに、細かく刻み加熱して食べるようにしましょう。


薬を服用している人はご注意

キャベツの成分の中には薬物相互作用を起こすものがあるので、次のようなkusuri
薬を服用されている方はご注意下さい。

・鎮痛剤や風邪薬に配合されている「アセトアミノフェン」や、抗不安薬の「オキザゼパム」を
 服用中にキャベツを摂ると、それらの薬効が低下することが報告されています。

・甲状腺ホルモンの生成に関係するヨウ素の吸収を疎外するので、甲状腺ホルモン製剤を服用中
 の方はたくさん食べない方が良いとされています。

・効凝固薬ワルファリンの作用を阻害するので、服用中の方は多量に摂取するのは控えた方が良
 いでしょう。


キャベツのレシピ

☆春キャベツのピリ辛和え☆ 
【材料】4人分
春キャベツ 400g
(塩 適量)
生姜    1かけ
黒きくらげ 5個
ハム    4枚
赤唐辛子  1本
ごま油   大さじ2
砂糖    小さじ2
酢     大さじ4

【作り方】
①キャベツを一口大に切って塩をふり、10分ほど置きます。硬い芯の部分も薄めに切って
 残さずに使いましょう。
②黒きくらげはぬるま湯で戻し、細く切って熱湯でさっと茹でます。生姜はみじん切り、
 ハムは細切りにします。
③①の水気を切って②を加えます。
④小鍋にごま油と赤唐辛子を入れて熱し、砂糖、酢を加えます。
⑤あつあつの④を③に和えてできあがりです。