最近では、テレビのCMや雑誌、街中の広告など様々な場面で「特定保健用食品」という言葉を目にすることが多くなりました。「特定保健用食品」と言われると、「健康に良いもの」というイメージがあると思いますが、特定保健用食品とはどのような食品であるのか、みなさんはご存知ですか?今回は「特定保健用食品」、通称「トクホ」についてご紹介致します。
特定保健用食品とは
特定保健用食品は厚生労働省より許可された食品で、「悪い食生活・不規則な食生活による生活習慣病にならないこと」を目的として誕生しました。
定義としては「特定の保健の目的で摂取するものに対し、その摂取により、当該保健の目的が期待できる旨の表示が許可された食品」とされています。簡単に表しますと「食べることである種の保健効果が期待される食品」ということになります。特定保健用食品は、試験管、動物での実験の後、ヒトでの試験が行われ、有効性・安全性・適切な摂取量などに関する科学的根拠が評価されることで許可され、特定保健用食品のマークの表示が認められます。特定保健用食品として許可されている食品は、2002年7月12日の時点で297商品でしたが、2005年4月27日現在で503商品と、わずか3年の間に1.5倍以上も増えています。
特定保健用食品の種類
特定保健用食品は、期待できる効果によって種類が分けられています。
●おなかの調子を整える食品
排便を促し、おなかの中の環境を整えて、食生活に起因するさまざまな生活習慣病の危険要因の低減・除去に役立ちます。腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
<配合成分>
『オリゴ糖類』
『乳酸菌類』
『食物繊維類』
『プロピオン酸菌による乳清発酵物』
●コレステロールが高めの方の食品
動脈硬化の原因となるコレステロールの上昇を抑えて、心筋梗塞や脳梗塞などの危険要因の低減・除去に役立ちます。
腸の中でコレステロールを吸着して排泄を促したり、血液中への吸収を防いで血中コレステロールの上昇を抑制する働きをします。
<配合成分>
『大豆たんぱく質』
『キトサン』
『低分子アルギン酸ナトリウム』
『サイリウム種皮由来の食物繊維』
『リン脂質結合大豆ペプチド』
『植物ステロールエステル』
『植物スタノールエステル』
『植物ステロール』
●コレステロールが高めな方、おなかの調子を整える食品
「コレステロールが高めの方の食品」と「おなかの調子を整える食品」の2つの効果をもった食品です。
コレステロールを吸着して排泄することで血中コレステロールの上昇を抑え、腸内の水分を吸って膨らみ便量を増やし、腸を刺激して排便を促し、おなかの調子を整えます。
<配合成分>
『低分子化アルギン酸ナトリウム』
『サイリウム種皮由来の食物繊維』
●血圧が高めの方の食品
血圧を高める要因を抑えて、高血圧、血圧が高いことによって危険度が増す脳卒中の危険要因の低減・除去に役立ちます。
<配合成分>
『ペプチド』
『杜仲葉糖体』
●ミネラルの吸収を助ける食品
ミネラル成分の中でも日本人に不足している「カルシウム」と「鉄」が効率的に吸収できるように作られています。
<配合成分>
カルシウムの摂取・吸収に役立つ成分
『クエン酸リンゴ酸カルシウム』
『カゼインホスホペプチド』
『フラクトオリゴ糖』
鉄の摂取・吸収に役立つ成分
『ヘム鉄』
●ミネラルの吸収を助け、おなかの調子を整える食品
「ミネラルの吸収を助ける食品」と「おなかの調子を整える食品」の2つの保健の用途を持った食品です。
腸内のビフィズス菌を増やし、おなかの調子を整えます。また、腸内のカルシウムやマグネシウムの吸収を促進します。
<配合成分>
『フラクトオリゴ糖』
●骨の健康が気になる方の食品
骨の形成、骨量減少の予防、骨粗髪症の危険度の低減などに役立ちます。
カルシウムが骨から溶け出すのを防いだり、カルシウムの吸収促進、骨形成の補助、骨密度を高める働きをします。
<配合成分>
『フラクトオリゴ糖』
『ビタミンK2』
『MBP(乳塩基性タンパク)』
『大豆イソフラボン』
●むし歯の原因になりにくい食品と歯を丈夫で健康にする食品
むし歯の原因になりにくい食品とは、むし歯菌の栄養源にならない糖質を主に使用している食品です。歯を丈夫で健康にする食品とは、歯の再石灰化を促進する成分が配合されている食品です。
<配合成分>
むし歯の原因になりにくい食品
『パラチノース』
『マルチトール』
『キシリトール』
『エリスリトール』
『茶ポリフェノール』
歯を丈夫にする食品
『CPP-ACP(カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウム複合体』
『リン酸-水素カルシウム』
『フクロノリ抽出物(フノラン)』
『 リン酸オリゴ糖カルシウム』
『キシリトール』
●血糖値が気になり始めた方の食品
糖質の吸収を穏やかにして、糖尿病などの危険要因の低減・除去に役立ちます。
食事と一緒にとることで、糖質の消化物であるフドウ糖の小腸からの吸収速度を緩やかにする働きがあります。そのためインスリンの分泌が不足したり遅れた場合でも、食後の血糖値が過剰に上がらないように働くことで、血糖値が気になり始めた方の食生活の改善に役立ちます。
<配合成分>
『難消化性デキストリン』
『グァバ葉ポリフ工ノール』
『小麦アルブミン』
『L-アラビノース』
『豆鼓エキス』
●血中中性脂肪、体脂肪が気になる方の食品
食事による脂肪の体内蓄積を抑え、肥満、高脂血症、動脈硬化などの危険要因の低減・除去に役立ちます。
中性脂肪の吸収を抑え、分解を促す食品や、一般の油より消化吸収が速く、直接肝臓に運ばれ素早く分解されてエネルギーとなる食品があります。
<配合成分>
『ジアシルグリセロール』
『グロビン蛋白分解物』
『中鎖脂肪酸』
『茶カテキン』
『EPA・DHA』
●血中中性脂肪、体脂肪が気になる方、コレステロールが高めの方の食品
食後の血中中性脂肪が上昇しにくく、体に脂肪がつきにくくし、食事由来のコレステロールの吸収を抑制し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げる働きがあります。
<配合成分>
『ジアシルグリセロール』
『植物ステロール』
特定保健用食品を購入・利用する際のポイント
●日常の食生活を見直した上で利用するようにしましょう。
特定保健用食品には上記のような様々な効果がありますが、いくらこれらの食品をとったとしても、日常生活で、油の多い料理ばかり食べたり、甘いものばかり食べたり、歯を磨かなかったりという生活を続けていると効果を得ることができず、せっかく利用した特定保健用食品の意味合いがなくなってしまいます。まずは、日常の食生活を見直し、その上で食品の選択肢の1つとして特定保健用食品を利用するようにしましょう。
●商品の効果を確認し、目的に合った商品を選びましょう。
上でご紹介したように、特定保健用食品には目的別に様々な商品が出回っております。「特定保健用食品」という表示だけを見て商品を購入するのではなく、何に効果がある食品であるのかをきちんと確認して、ご自分に必要な商品を選択しましょう。
●商品の注意書きをよく読みましょう。
生活習慣病の予防や保健効果がある食品ですが、とる量やタイミングを間違えますと、効果が発揮されなかったり、副作用が起こったりとかえって健康を害することもあります。商品のパッケージに書かれている注意書きを必ず読んで、書かれている通りのとり方をすることで、商品の効果を最大限に引き出すことができます。
●服薬をされている方、病気の治療中の方は医師に相談してください。
場合によっては、疾病の悪化や医薬品を用いた治療の障害になることがあります。ご自分で判断せずに必ず医師に相談してください。
特定保健用食品を使った健康レシピ
●かぼちゃの煮物(4人分)
便秘予防や急激な血糖上昇の抑制、余分なコレステロールの排出作用などがある食物繊維たっぷりのかぼちゃをオリゴ糖を加えて煮た煮物です。
【材料】
・かぼちゃ 1/2個(400g程度)
・だし汁 400ml
・塩 0.5g
・しょうゆ 小さじ1杯弱
・オリゴ糖 大さじ4~5杯(1日の適量以内)
【作り方】
① かぼちゃは種を取り除き、一口大に切り、面取りをする。
② 鍋にだし、かぼちゃを入れて火にかけ、煮立ったら塩を加えて火を弱めて10分間煮る。
③ しょうゆとオリゴ糖を加えて10分間位静かに煮て火を止め、そのまま味を含ませる。
※商品には1日の適量が書かれておりますので、ご確認の上、オリゴ糖1日の適量+不足分の
甘味は砂糖というように、砂糖も組み合わせて使うようにしましょう。
※商品によって適量も甘味も異なりますので、確認の上使用して下さい。
●乳酸菌飲料ゼリー(4人分)
おなかの調子を整える乳酸菌を含んだ飲料、血圧の高めの方に適したラクトトリペプチドを配合した飲料を使った、これからの季節にピッタリの冷たいゼリーです。
【材料】
・粉ゼラチン 8~12g
・水 大さじ3杯
・乳酸菌飲料など 400ml
【作り方】
① ゼラチンに水を加えよく混ぜ溶かします。
② 乳酸菌飲料を40℃程度まで温めます。
③ ①を加え、よく混ぜ容器に入れて2~3時間冷蔵庫で冷やし固めて出来上がり
です。
※甘味が足りない場合は、お好みで③でオリゴ糖を入れるとよろしいでしょう。
加えて10分間位静かに煮て火を止め、そのまま味を含ませる。