テレビや新聞などで騒がれている「メタボ健診(特定健康診査・特定保健指導)」がいよいよ今月から始まります!今までは、会社の健康診断や住民健診で「要注意」と言われても、「特に症状がないから大丈夫!」とそのまま放置していた方も多いのでは?!しかし、今年からはそうはいきません。結果から「要注意」となった方は、指導対象者となり、ほぼ強制的に生活習慣の改善が求められます。
今回は、特定健康診査・特定保健指導とは何であるのか?をご紹介致します。
なぜ、健診や指導が必要なの?今までの健診とは何が違うの?
糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症・肝機能疾患などの生活習慣病は、放置しておくと、心疾患・脳血管疾患などの重篤な疾患の引き金となってしまいます。事実、死亡原因でも生活習慣病が約6割を占め、医療費に占める生活習慣病の割合も国民医療費の約1/3となっています。
今までの健診では、これらの疾患の早期発見・早期治療を目的としてきました。
今年の健診からは、疾患を発症する可能性の高い人を抽出し、積極的な指導による働きかけにより、これらの疾患のリスクを軽減させることを目的としています。最終的には医療費の増加も抑えることが、今回の「特定健康診査・特定保健指導」制度の大きな目的です。
どのような人が対象になるの?
スタート
①特定健康診査対象の判断 ●40~74歳 |
②特定健康診査の実施 ●問診(服薬状況・喫煙など) ●身体計測(身長・体重・腹囲) ●血圧測定 ●血液検査(脂質・肝機能・血糖検査) ●尿検査(尿糖・尿たんぱく) |
③特定健康指導対象者の選定 | ||||
腹囲 | 追加リスク(※) ①血糖②脂質③血圧 | ④喫煙歴 | 対象 | |
40~64歳 | 65~74歳 | |||
男性:85cm 女性:90cm 以上 | 2つ以上該当 | ― | 積極的支援 | 動機付け支援 |
1つ該当 | あり | |||
なし | 動機付け支援 | |||
該当なし | ― | 情報提供 | ||
上記以外で BMI25以上 | 3つ該当 | ― | 積極的支援 | 動機付け支援 |
2つ該当 | あり | |||
なし | 動機付け支援 | |||
1つ該当 | ― | |||
該当なし | ― | 情報提供 | ||
腹囲・BMI 上記未満 | ― | ― | 情報提供 |
※追加リスク
①血糖 ②脂質 ③血圧 ④喫煙 |
【参考情報】BMIとは?
世界共通の体格を判定する基準です。以下の式で求められます。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMIが25以上だと肥満となります。
選定されたら何をするの?
特定健診の結果、3つのグループに分類されます。
情報提供 | 動機付け支援 | 積極的支援 | |
目的 | 健診結果から、自らの身体状況を認識するとともに、生活習慣を見直すきっかけとする。 | 個別支援・グループ支援により、自らの生活習慣を振り返り、行動目標を立てることができるとともに、指導終了後、すぐに実践に移り、その生活が継続できることを目指す。 | 動機付け支援に加え、定期的・継続的な支援により、自らの生活習慣を振り返り、行動目標を設定し、目標達成に向けた実践に取り組みながら、支援プログラム終了後もその生活が継続できることを目指す。 |
対象者 | 健診受診者全員 | 健診結果・質問表から生活習慣の改善が必要と判断された方(メタボリックシンドローム予備軍の方) | 健診結果・質問表から生活習慣の改善が必要な方(メタボリックシンドロームに該当する方) |
期間 支援頻度 | 年1回・健診結果と同時に実施 | 原則1回の面接による支援 | 1回の面接後、3ヶ月以上継続的に支援 |
内容 | 健診結果や健診時の質問表から対象者個人にあわせた情報を提供 ・健診の意義や結果の 見方 ・メタボリックシンド ロームや生活習慣病に 関する基本的知識 ・個人の状況にあわせた 具体的な改善方法の 例示 | 面接による支援 ・生活習慣と健診結果の関係の理 解や生活習慣の振り返り等から 生活習慣改善の必要性を説明 ・栄養、運動等の生活習慣の改善 に必要な実践的指導 ・行動目標や評価時期の設定を支 援 ★6ヶ月後評価 目標が達成されているか、身体状況や生活習慣に変化がみられたかについて評価。 | 初回面接・以降3ヶ月以上継続的支援 ・ポイント制を導入 支援Aで160ポイント、 支援Bで20ポイント以上、 合計180ポイント以上の 支援が必須 【支援A】 ・取り組んでいる実践と結果 についての評価と再アセス メントや生活習慣の振り返 り、行動計画の実施状況の 確認に基づいた必要な支援 ・生活習慣の改善に必要な 実践的な指導 【支援B】 ・計画の実施状況の確認と確 立された行動維持のための 賞賛と励まし ★6ヶ月後評価 設定した行動目標が達成されているか、身体状況や生活習慣に変化がみられたかについて評価 |
● 情報提供
特定保健指導はありません。ただし、今後指導対象者とならないために、現在の健診結果から自らの身体状況を認識するとともに、生活習慣を見直すきっかけとなるように、健診結果の提供に合わせて、生活習慣の改善に関する基本的な情報が提供されます。
● 動機付け支援
いわゆるメタボリックシンドロームの予備軍です。医師、管理栄養士、保健師などと
面接をすることにより、現在の生活習慣の問題点に気づき、改善していくためのアド
バイスを受けます。アドバイスをもとに6ヶ月後の実績評価まで生活習慣の改善を目
指して実践を継続して頂きます。
● 積極的支援
メタボリックシンドロームに該当した人が対象です。
内臓脂肪の減少を目標として、医師、管理栄養士、
保健師が生活習慣の問題点をあげ、改善するための
アドバイスを行います。6ヶ月後の実績評価まで、面接、電話、メールなどにより
3~6ヶ月の継続的な支援を受けます。
健診や指導を受けなかったらどうなるの?
今まで健診の案内が来ても受診しなかったり、また、健診を受けて「要注意」となり、専門家の指導を受けなさいという通知が来ても、指導を受けなかった方も多かったのではないかと思います。
「特定健康診査・特定保健指導」では、医療保険者に対して達成すべき実施目標が決められており、この目標が達成できない医療保険者は国からペナルティーを課せられてしまいます。
従って、今までのように健診を拒否したり、指導を拒否する人が多いと医療保険者は目標を達成できなくなり、結果、医療保険者がペナルティーを受け、その影響は被保険者本人にまで及ぶことが考えられます。例えば、保険料が値上げされてしまうことも考えられます。
さらに、メタボリックの社員が少ないほどペナルティーを受けるリスクは少なくなるということになりますので、メタボリックな体型の人が働きにくいという、アメリカのような社会にもなりかねません。