10月になりました。秋の装いとともに、街にはハロウィンのグッズや装飾を目にする機会が増えました。 ハロウィンといえばかぼちゃのおばけ。今回はこのかぼちゃを取り上げたいと思います。
かぼちゃは長持ち
ハロウィンといえば、かぼちゃをくり抜いてランタンにしたおばけ(ジャック・オー・ランタン)が有名ですね。このランタン、元はカブで作られていたそうです。
ハロウィンがアメリカへ伝わる際、ランタンの作りやすさや、生産されやすい点、また保存性の高さから、かぼちゃで作られるようになったそう。
かぼちゃの保存性が、「お“カブ”」を奪う形となったわけですね。
かぼちゃの旬
ハロウィンのエピソードのように、かぼちゃは保存性が高いため、旬は収穫が始まる夏頃から、終わりは貯蔵がきく冬のピークまでと、長いのが特長です。
また、収穫後にすぐ食べるのでなく、貯蔵することで、かぼちゃに含まれる
デンプン質が糖分に変わり、甘味と美味しさがより増します。
かぼちゃの栄養
では、そのかぼちゃには、どんな栄養が含まれているでしょうか?
かぼちゃで特筆すべき栄養素は、β-カロテンです。
野菜は、「100gあたり、β-カロテンが600μg以上含まれたもの」を、緑黄色野菜と分類しており、かぼちゃには100gあたり、4000μgものβ-カロテンが含まれているので緑黄色野菜になります。このβ-カロテン量は、緑黄色野菜で代表的なほうれんそうと比較すると、同等のレベルです。
さらに、かぼちゃは食べる際の重量が多いため、一人前の分量で比較すると以下のようになります。
・かぼちゃの煮物 … 4000μg(かぼちゃ100g相当)
・ほうれんそうのお浸し … 3300μg (ほうれんそう80g相当)
・レバニラ炒め … 1050μg (にら30g相当)
・カレーやシチューのにんじん … 2050μg (にんじん25g相当)
緑黄色野菜と言うと、濃い緑色をした野菜を思い浮かべますが、このようにかぼちゃメニューを取り入れることで、β-カロテンを多くとることができます。
このβ-カロテンは、体内に取り込まれると、ビタミンAに変換されます。
このビタミンAには、以下のような働きがあります。
・皮膚を保護し、健康な肌を作る
・粘膜や免疫機能を保ち、感染・病気などから守る
・歯や骨の成長を助ける
・眼の光を感じる機能を保つ
体を正常・健康に保つための、重要な役割を担っています。
β-カロテンはビタミンAのとりすぎを防ぐ
β-カロテンはビタミンAに変換される性質です。
ビタミンAはビタミンの中でも摂り過ぎが問題となるものの一つ。ビタミンAそのものを多く含む食品は、レバー・うなぎ・鶏卵・牛乳といった動物性食品に多く含まれ、サプリメントも普及していることもあり、現代においてはこれらの食べ過ぎ・摂りすぎによる過剰摂取の危険があります。
その点、β-カロテンは、体の必要に応じてビタミンAに変換される性質のため、過剰摂取の危険性が低いという利点があります。
また、β-カロテンそのものを摂り過ぎると、肌が黄色くなる「柑皮症」という症状が表れますが、肌が黄色くなる以外の、人体への主だった害はありません。
β-カロテンの摂取を適量に抑えれば、柑皮症は治まります。
かぼちゃの食べ方
かぼちゃの栄養素は、皮の部分に特に多く含まれています。
ですので、皮ごと調理したり、一部だけ剥くなどして、なるべく一緒に食べる
ようにしましょう。
また、β-カロテンは油に溶けやすい性質なので、蒸し物よりは、炒めたり、
サラダのドレッシングなど油を含む調味料を用いるなど、油を適度に使う調理で
食べるのがオススメです。
また、かぼちゃは生でも食べられる食材です。かぼちゃ独特の甘みやポクポク
とした食感が苦手な方にオススメの食べ方です。
ただし、食べ過ぎにはご注意。
かぼちゃは、野菜の中では、ごはんやパンに多く含まれる「炭水化物」を比較的多く含む食物です。
血糖値が高めの方や糖尿病の方、また減量などで、炭水化物の摂り過ぎを防ぎたい方は、かぼちゃは野菜でなく、ごはんやパンと同じグループと考えて、全体の食事のバランスを調節しましょう。
おすすめレシピ
かぼちゃを、生と、火を通して食べるもの、2つのレシピを紹介します。
●千切りかぼちゃのサラダ●
【材料】2人分
・かぼちゃ 1/10個 (150g)
・塩 少々
・マヨネーズ 大さじ1と1/2
・ポン酢しょうゆ 大さじ1/2
・粒マスタード 小さじ1/2~1 (お好みで)
【作り方】
① かぼちゃは皮のまま2~3mm厚にスライスし、さらに千切りにします。
② 切ったかぼちゃに塩をふり、軽くもみます。このかぼちゃを置いている間、マヨネーズと
ポン酢しょうゆ、粒マスタードを合わせて、簡単ドレッシングを作っておきます。
③ かぼちゃの水気をふきんなどでよくとり、簡単ドレッシングと和え、器に盛れば出来上がり
です。
【ポイント】
生のかぼちゃは、ほんのり甘く、ぱりぱりとした食感が楽しめます。皮が固いので、市販の1/4サイズのままでなく、あらかじめ適当な大きさに切ってから薄切りにしましょう。スライサーや千切り器を使うと、より簡単に千切りが出来ます。
マヨネーズにポン酢しょうゆも加えることで、風味が増し、油を減らすことができます。
粒マスタードの辛味が苦手な方は、かわりに青のりをふっても、美味しくいただけますよ。
●かぼちゃと長ネギの和風グラタン●
【材料】2人分
・かぼちゃ 1/8個(200g)
・長ネギ 1/2本分(40g)
・ベーコン 2枚
・バター 大さじ1
・牛乳 1/2カップ(100ml)
・生クリーム 1/4カップ(50ml)
・和風だしの素 小さじ1/2(2g)
・塩 適宜
・すりごま 適宜
・パン粉 適宜
・バター(器用) 適宜
【作り方】
①かぼちゃは5mm厚のくし形に切ります。長ネギは斜め切り、ベーコンは4等分に切ります。
②鍋にバターを溶かし、かぼちゃと長ネギを入れ、中火でバターが馴染むまで炒めます。
③牛乳と和風だしの素を加えて弱火にし、かぼちゃが煮崩れないように3~4分煮て、
生クリームを加えます。
④トロリとするまで煮詰めたら、ここで塩を加え、味を整えます。
⑤耐熱容器にバターを薄く塗ってかぼちゃと長ネギを並べ、ベーコンをところどころに挟みま
す。鍋に残ったソースをかけ、すりごまとパン粉をふります。
⑥230℃のオーブンで約10分、焦げ目がついたら出来上がりです。
【ポイント】
これからの季節、旬になる長ネギを組み合わせたクリーミーな和風のグラタンです。甘味が少ないかぼちゃでも、美味しく仕上がる一品です。
水分が多いかぼちゃの場合、あらかじめ牛乳の量を減らすなどして、水分量を調整してください。
かぼちゃをラップにくるみ、電子レンジで1~2分加熱してから調理すると、皮が切りやすくなります。