宴会・飲み会が増え、酒量が多くなる時期となりました。
お酒を飲み過ぎた次の日には、頭がズキズキ、クラクラ…。
今回はそんな二日酔いについてご紹介します。
「酔う」と「二日酔い」
お酒を飲むと肝臓に運ばれ、有害なアセトアルデヒドから酢酸を経て、無害な水と二酸化炭素となって体外へ排出されます。
お酒で気持ち良くなった状態は、この代謝で一度に処理しきれなかった血中のアルコールが全身をめぐっている状態です。
適度な酔いは、気分の高揚や心身のリラックス効果をもたらします。
一方、二日酔いはこの代謝による処理が追いつかなくなり、途中で発生する
有害なアセトアルデヒドが体内で滞留した状態を指します。
アセトアルデヒドが次の日を待たずに発生・滞留している状態は、『悪酔い』です。
有害なアセトアルデヒドは発がん性もあり、アルコール分解の主戦場である肝臓の働きを阻害するだけでなく、肝臓細胞そのものも破壊します。
この影響で肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝や、肝臓細胞の破壊による肝硬変が起
こり、悪化すると肝細胞がんへと繋がっていきます。
二日酔いは、酔いの延長でなく、体を傷めている状態です。
お酒を飲む際は、二日酔いにならない量や飲み方を心掛けることが大切です。
二日酔いにならないアルコール量
二日酔いにならない量とは、肝臓の処理能力をオーバーしない酒量です。
1時間で肝臓がアルコールを処理できる量は、体重1kgあたり0.1gとされています。
この処理能力は人によって様々ですが、この範囲を越えず、心地よく酔う程度で留めるようにしましょう。
一日の適量
・ビール…中びん1本(500ml)
・日本酒…1合(180ml)
・焼酎…0.6合(約110ml)
・ウイスキー…ダブル1杯(60ml)
・ワイン…1/4本(約180ml)
※女性や高齢者、飲酒習慣のない方は、これより少ない量が適量です。
酒量を守るポイント
宴会などの楽しい席で、控えめな酒量に留めるのは難しいものですね。
酒量を守り、飲み過ぎを控えるヒントを、以下に記しました。
・ストレートは控え、水割りやお湯割りなどでお酒を薄めて飲む
・ソフトドリンクとお酒を交互に注文する、もしくは水やお茶をチェイサーに
して飲む
・その日飲む量を、あらかじめ決めてから飲み始める
酔ってくると、グラスや盃を口へと運ぶ回数も無意識に増えてきます。
そのお酒を薄めたり、代わりのものを飲んで、総量を減らすことがポイントです。
おつまみの意味
お酒と同時におつまみを召し上がるのも、酒量を控えるために大変有効です。
お酒だけ飲むのでなく、おつまみも一緒にとることで、アルコールの吸収が緩やかになり、悪酔いを防ぐこともできます。
また、食物が一緒に入ることで、アルコールによる胃腸への刺激も和らげることができます。
おつまみ選びのポイント
おつまみには、肝臓を修復する栄養を含む食材を選びましょう。
●たんぱく質
たんぱく質は、肝臓の細胞を構成する材料です。肝臓の修復に必要な素材となります。
●ナイアシン
ナイアシンは、アルコールの処理を補助してい
ます。ナイアシンは肝臓が働くためのエネルギーを作る際にも必要なため、不足するとアルコールの処理も、処理するための燃料も不足といった状況に陥ります。
●オススメのメニュー●
●大豆製品 例)枝豆・冷や奴・湯豆腐・納豆など
大豆製品はたんぱく質が豊富なだけでなく、コレステロールゼロの植物性
たんぱく質であることが特徴です。
●肉類・魚類 例)焼き鳥(ねぎま、レバー、梅ささみ)、まぐろや
かつおの刺身・たたき、蒸し鶏、バンバンジー、
鶏わさなど
ナイアシンは肉や魚に多く含まれます。中でも特に、鶏ささみや鶏むね肉(脂身を外したもの)、まぐろ、かつおはナイアシンが豊富で低脂肪・高たんぱくな点でも大変オススメです。
●貝類 例)あさりの酒蒸し・牡蠣(生・焼き・鍋など)・しじみ汁
など
低脂肪・高たんぱくなだけでなく、あさりや牡蠣には肝臓を保護する
タウリンが、しじみには肝臓のアルコール処理を助けるオルニチンが
含まれています。
●海藻・きのこ類 例)もずく酢・海藻サラダ・きのこソテーなど
エネルギーが低い食材です。ドレッシングなどの調味料でエネルギーが
上がらないようにしましょう。
冬はおでんが美味しい季節ですね。おでんの具の中でも、大根や昆布、こんにゃくはエネルギーが低いオススメのおつまみです。
アルコールは食欲増進作用があり、またビールやシャンパンなどの炭酸も、胃を刺激して食欲を増進させる作用があります。
揚げ物といったエネルギーの高い物や、味が濃く、ついつい箸が進んでしまうような物は、おつまみによるエネルギー過剰が肥満を招きます。
●注意したいメニュー●
●揚げ物 例)唐揚げ・フライドポテト・天ぷら・フライ物など
揚げ物はエネルギーが高く、サクッとした食感でお酒とおつまみ両方が進み
やすいので、注意が必要です。
●脂の多い物 例)ウインナー・焼き鳥の皮・手羽・つくねなど
脂を多く含む食材のため、エネルギーが高いメニューです
●定番なおつまみの一部 例)チーズ・ナッツ類・レーズンバター・
チョコレートなど
定番のおつまみには、脂肪が多いものがあります。少しずつでもついつい口に運んでいるうちに、高エネルギーになってしまいます。
楽しく、長く飲んでゆくために、上手にお酒と付き合っていきましょう。
おすすめレシピ
肝臓を修復する栄養成分であるたんぱく質とナイアシンがとれる、おつまみレシピを紹介します。たんぱく質を含む「納豆」とナイアシンを含む「まぐろ」を合わせ、さらに食感を良くし、納豆と同じねばり成分のある長芋を加えました。
●まぐろねばねばカナッペ●
【材料】 8個分
・まぐろ赤身 刺身2~3切れ分(約40g)
・ひき割り納豆 1/2パック
・長芋 2~3cm分
・ゆず胡椒 小さじ1/2~1/3程度
・フランスパン薄切り(なければソーダクラッカーでも可) 8切れ
・オリーブ油 お好みで
【作り方】
① まぐろ赤身、山芋を0.5cm程度のさいの目に切る。
② 器に、切ったまぐろと山芋、ひき割り納豆、ゆず胡椒を入れ、軽く和える。
③ 薄く切ったフランスパンをトースターで軽くあぶり、お好みでオリーブ油をパンの表面に
塗る。
④ ③のパンに②を乗せて完成。
※辛いものが苦手な方は、ゆず胡椒をしょうゆに代え、お好みで粉山椒を振ってお召し上がりください。