きのこ類は通年を通して購入できる便利な食材です。
エネルギーが低く、食物繊維やビタミンが豊富。和洋中と様々な料理に使われ、焼く・炒める・蒸す・揚げる等、調理の幅も広いので是非積極的に食べたい食品です。
きのこ類は鮮度を保つのが難しいという点があるので、保存性の高い乾物を利用することもお勧めです。今回は調理で使いやすい「干ししいたけ」をご紹介します。
きのこ類の栄養成分
まずはきのこ類の栄養成分に注目してみましょう。
「きのこ類」には実に色々な栄養成分が豊富に含まれています。
(100gあたり)
(参照:日本食品標準成分表2010)
きのこ類は野菜類と同じように、成分の約90%が水分で、低エネルギーであり、カリウムが豊富に含まれています。また、ビタミンB群や食物繊維は野菜類よりも多く、特にビタミンDが多く含まれているのが特徴です。
干すことによって期待できる効果
生しいたけを干すことによって次のような効果が期待できます。
① 旨味が増す
生しいたけを乾燥していく過程で、熱が加わることにより、グアニル酸という
旨味成分が作られます。グアニル酸は、昆布などに含まれるグルタミン酸や鰹節などに
含まれるイノシン酸と並ぶ旨味成分の一つです。
② 香りが出る
干ししいたけのあの特有の香りは、レンチオニンという香り成分によるもので、
生しいたけには含まれていません。生しいたけに含まれるレンチオニン酸が、生しいたけを
乾燥する時や、干ししいたけを水戻しする時に、レンチオニンに変化します。
③ ビタミンDが増える
しいたけに含まれているエルゴステロールは、日に当たるとビタミンDに変化します。
ビタミンDをとることによって、カルシウムの吸収を高めることができます。
④ 保存性が高まる
きのこ類は生ものなので、野菜類と同じようにあまり日持ちしません。
しかし、干ししいたけは1年以上日持ちします。
ご家庭で干ししいたけを作る場合
市販の干ししいたけを活用することが多いかもしれませんが、ご家庭でも作ってみてはい
かがでしょうか。干ししいたけの作り方をご紹介します。
① 生しいたけの傘の裏側のヒダを上に向けて、重ならないように網やざるの上に置きます。
② 日に当てます。
③ 半日で乾燥しますが、乾燥しきれなかったら、夜は通気性のよい部屋で干し、翌日また
外に干します。
※干ししいたけも、食べる前に日に当てるとより効果的です。
干しししいたけの上手な使い方
① 旨味成分を組み合わせて食べる。
きのこ類に含まれるグアニル酸は、他の旨味成分(グルタミン酸、イノシン酸)と一緒
に食べると、旨味の相乗効果 によってさらに深い味わいとなります。
【グルタミン酸を多く含む食品】
昆布、のり、緑茶、ジャガイモ、枝豆、
野菜類(トマト、ほうれん草、ブロッコリー)
チーズ、しょうゆ、みそ など
【イノシン酸を多く含む食品】
鰹節、煮干し、しらす干し、
魚介類全般、肉類全般など
② カルシウムの豊富な食材と一緒に食べる。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるので、次のような食品と一緒に食べると
良いでしょう。
【カルシウムを多く含む食品】
・牛乳、乳製品(ヨーグルト、チーズ など)
・緑黄色野菜(小松菜、青梗菜、春菊 など)
・魚介類(ししゃも、いわし、煮干し、しらす干し、干しエビ など)
・大豆、大豆製品(豆腐、凍り豆腐、がんもどき など)
・海藻類(ひじき、昆布 など)
干ししいたけの戻し方
干しししいたけを使うときには、充分に戻すことがコツとなります。反対に、
あまり長く水に浸けても、しいたけそのものの味や香りが失われてしまいます。
①一番おいしい戻し方は、低温で戻すことです。冷蔵庫で一晩(8時間以上)かけて
ゆっくり戻しましょう。
②あまり時間が無い時は、干ししいたけを1時間水に浸けておき、ある程度柔らかくなったら、
包丁で適当な大きさに切るか切れ込みをいれ、再度水に戻してその後30分くらいおくと、
通算1時間半で戻すことができます。
③さらに急ぐ時には、ぬるま湯にしたり、砂糖をひとつまみ入れると早く戻ります。
保存方法
密閉容器に乾燥剤を入れて保存しましょう。戻した状態の干ししいたけは、戻し水に
つけたまま密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れておくと1週間程度は保存できます。
おすすめレシピ
干ししいたけを戻さずに利用できる簡単レシピをご紹介します。
スライスされた干しししいたけを使います。しいたけ1個をそのまま干してある物と比較し、
安価で、水戻しする時間が短く、水戻しした後にカットする手間を省けます。
用途に応じて使い分けてみてはいかがでしょうか。
●旨味たっぷり!しいいたけご飯●
【材料】4人分
・米2合
・水2.5カップ
・干ししいたけスライス 10g
・昆布2×5cm
・ひじき10g
・鶏もも肉 20g
・酒 大さじ2
・しょうゆ 大さじ2
・ごま 適宜
・青ネギ 適宜
【作り方】
① 米を洗い、水を加えて30分ほど置く。
② 干ししいたけとひじきを、さっと洗う。
③ 昆布ははさみで2~3mmの細切りにする。
④ 鶏もも肉は食べやすい大きさに切る。
⑤ ①に②③④と酒、しょうゆを入れて炊く。
⑥ 炊き上がったらごまを混ぜ、器に盛り、小口切りにした青ネギを散らす。
【ポイント】
・干ししいたけに含まれるグアニル酸、昆布に含まれるグルタミン酸、鶏肉に含まれる
イノシン酸を一緒にとることで旨味が増します。
・干ししいたけに含まれるビタミンD、ひじきに含まれる
カルシウムを一緒にとることでカルシウムを効率よくとることができます。