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栄養コラム

春雨

No.249

2024年9月2日

管理栄養士 豊泉友加里

春雨は、食材に合わせやすく様々な食事のシーンで楽しめるため、日常でも見かけることの多い食材です。ヘルシーなイメージのある春雨ですが、その他にも知っておきたい魅力や、食事に取り入れる際のおすすめポイントなどを紹介します。

春雨について

春雨は、緑豆・さつまいも・じゃがいもなどのデンプンから作られる乾燥麺の一種です。           
緑豆とは、中国原産で青小豆と呼ばれる豆で、春雨の他にもやしの原料にもなっています。             
中国で1000年前から広まった春雨は「粉絲(フェンスー)」と呼ばれ、日本だけでなく韓国やタイなどアジア各地でさまざまな料理に使われる食材です。日本で春雨と呼ばれるようになった由来は、製造工程で小さな穴から細く流れ落ちる様子が、しとしと降る春の雨を思わせることから命名されたそうです。 


春雨には「緑豆春雨」と「普通春雨」の2種類があります。

●緑豆春雨(または中国春雨)                                        
緑豆のでんぷんから作られ、細くて光沢があり弾力とコシがあるのが特徴で、しっかりとした歯ごたえを楽しめます。熱に強く、炒め物や鍋料理などに適しており扱いやすいことからも人気です。普通春雨よりも透明感があり見た目でも楽しめます。

●普通春雨(または国産春雨)                     
さつまいもやジャガイモなどのでんぷんから作られ、モチモチとした食感が特徴です。              
のびやすいのでさっとゆでてサラダや酢の物に使うのに適しています。                        
加熱しすぎると溶けてしまうので注意が必要です。 

身近な穀類との比較

春雨の栄養素は糖質(炭水化物)が主なため、ご飯やパン・麺類と同じ主食として分類されますが、同量のご飯・スパゲッティと比べてみると、なんと半分のエネルギーで、糖質量も6,7割程度です。

 

以下の写真のように実際の量で比較した際も、ご飯やスパゲッティと同量のボリュームがあり、他の穀類と比べてもエネルギーと糖質量が少ないことから、カロリーコントロールや糖質制限をしたい時は、主食に春雨を活用していきましょう。

とはいえ、食べ過ぎには注意が必要です。
市販のものには1食ずつ小分けになっているものや、器に入れやすいように丸型になっているものがあるので、適量を目安に取り入れていきましょう。


食事シーン別 春雨の魅力

実際の食事シーンごとでの春雨の魅力をご紹介いたします。

1)副菜:サラダ

春雨にはレタス1枚分以上の食物繊維が含まれるため、野菜サラダにプラスすることで野菜だけのサラダよりも食物繊維が2倍まで増え、食べ応えもボリュームアップにもつながります。
エビやイカなどの魚介類や、ハムや炒り卵などたんぱく質源の食品をプラスすると、サラダをおかずの1品としても楽しめます。

2)汁もの:スープ

普段召し上がるスープに春雨をプラスすることで、腹持ちもよく、満腹感にもつながります。   さらにワカメやしいたけなど海藻やきのこ類などを加えることで、より食物繊維もボリュームもプラスでき、食欲コントロールにもつながるので、朝食や小腹が空いた時の軽食として、また遅くなった際の夕食などにもおすすめです。

3)主食:麺の代わりに 

ラーメンや焼きそばはエネルギーや脂質が多くなりがちですが、春雨に替えることでどちらも大幅に抑えることができます。例えば、カップ麺を市販の春雨スープに替えることでエネルギーと脂質が約1/4に、ご飯(130g)約1.5杯分のエネルギーを抑えられます。
市販の春雨スープには担々風やとんこつなどラーメンスープの味付けもあるので、カップ麺代わりとしても十分に楽しめます。

また、焼きそばをチャプチェに替えることでもエネルギーと脂質が約1/2に、エネルギーは8枚切りの食パン約1.5枚分も減らすことができます。
エネルギーを抑えつつ、麺類が楽しみたい時はぜひ春雨を活用してみましょう。

 


食事に取り入れる際のポイント

春雨は戻すと約4倍まで量が増えます。サラダやスープなどで取り入れる際は1食あたり乾燥状態で10gを目安に、麵代わりに取り入れる際は乾燥20~30gを目安に取り入れていきましょう。

戻し方

【ゆでて戻す方法】
鍋にたっぷりの湯をわかし、春雨を入れて3〜4分ほどゆでる。
【レンジで戻す方法】
耐熱容器に春雨、春雨がかぶるくらいの水を入れてふんわりとラップし、600Wのレンジで6分加熱する。
【熱湯で戻す方法】
耐熱容器に春雨、春雨がかぶるくらいの“熱湯”を入れて6〜7分ほどおく。


おすすめレシピ

まだ暑い日が続きますが、冷房で冷えた体には朝食で温かいスープを取り入れていきましょう。豆腐のたんぱく質や、きのこの食物繊維もとれるため、1食でもボリューム満点に。
春雨は戻さずそのまま使えてお手軽なので、朝食や小腹が空いた時、夜食などにもおすすめです。

春雨と豆腐の酸辣湯スープ

【材料】2人分
緑豆春雨        乾燥20g
絹豆腐         1/3丁(100g)
ミニトマト       8個
しめじ         50g(1/2パック)
溶き卵         1個分
 
鶏がらスープの素    小さじ2
水           400ml
しょうゆ        小さじ2
酢           大さじ1
ラー油         小さじ1/2

①ミニトマトはへたをとり、しめじは石づきを切り落として小房に分けます。
②豆腐はさいの目に切り、春雨はハサミで半分にカットします。
※小分けになっている春雨は、カットせずにそのまま使えます
③鍋に水、鶏ガラスープの素、①を入れて中火で加熱し、
煮立ったらしょうゆ、②を入れて中火で煮ます。
④ひと煮立ちしたら溶いた卵を流し入れて、
卵に火が通ったら、火を止めて酢・ラー油を加えて器に盛りつけます。

―ワンポイント&アレンジー
・水溶き片栗粉でとろみをつけると、綺麗に卵が固まります。
・冷凍のシーフードミックスを加えると旨味だけでなく、たんぱく質やビタミンB12、鉄分や  カルシウムなどのミネラルもアップできます。
・辛いのが苦手な方やお子さま向けには、酢とラー油を使わず、鶏がらスープの素をコンソメに替えて洋風に。