今月はにんじんをご紹介します。
一年中手に入り、私たちの日常の食卓に欠かせない野菜のひとつであるにんじんの魅力や保存方法などを改めて確認していきましょう。
にんじんについて
にんじんはセリ科の野菜でパセリやセロリの仲間です。パセリなどは葉を食べますが、にんじんは根の部分を食べています。
にんじんは江戸時代に東洋系、明治時代に西洋系が日本に伝わり、
現在主に流通しているオレンジ色のにんじんは西洋系の品種です。
元々、日本でにんじんと言うと漢方薬で有名な朝鮮人参のことでしたが、野菜のにんじんが普及したことにより、野菜の方がにんじんと呼ばれるようになりました。
にんじんの栄養的特長
β-カロテンの含有量がトップクラス
緑黄色野菜とはβ-カロテンを豊富に含んでいる野菜のことです。その中でもにんじんには特に
多く含まれており、にんじん50g(約1/3本)で成人の1日の必要量を満たします。
また、カロテンの由来はにんじんの英名「キャロット」ともされているほどです。
皮や皮付近にもたくさん含まれているので、皮をむかずに調理するのがおすすめです。皮の食感が気になる場合は千切りにしたり、皮をむくときは包丁ではなくピーラーなどで薄くむくと食材や栄養をあまり無駄にせずに食べることができます。
食物繊維が多い
にんじんと同じ根菜類の大根や、葉物野菜のキャベツと比較しても、にんじんの方が食物繊維を多く含んでいます。また、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方を含んでいます。
不溶性は大腸の水分を吸収して便を増やす、蠕動運動を促進して便の排出をサポートするなどの働きがあり、腸内環境を改善してくれます。また、水溶性は小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値上昇を抑えるなどの効果が期待できます。
アスコルビナーゼについて
にんじんにはアスコルビナーゼというビタミンCを破壊する酵素が含まれています。この酵素は熱や酸に弱いので、加熱して食べれば問題はないですが、生で他の食品と合わせて食べる場合、他の食品に含まれているビタミンCを壊してしまいます。
したがって、にんじんを生で食べるときは、酸味を加えることでビタミンCが破壊されるのを防ぐことができます。サラダの場合は酢が入ったドレッシングを合わせたり、自家製の野菜ジュースを作る場合はレモン汁などを加えるようにしましょう。
高GI食品だけど心配なし
食べ物の血糖値の上がりやすさの指標として「グライセミック・インデックス(Glycemic Index)」略して「GI」というものがあります。GI値の基準は、最も糖が体に吸収されやすいブドウ糖を100とし、70以上を高GI食品、55以下を低GI食品として分類され、この値が高い食品ほど血糖値の急激な上昇や、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の過剰な分泌につながるとされています。
一般的に穀類や芋類は高く、野菜やきのこ類は低いのですが、にんじんのGI値は80と高く、穀類と同じ程度です。しかし、にんじんが高GIだからと避ける必要はありません。
GI値は「50g」の炭水化物量を食べた時の血糖値の上がり具合を示しており、例えばにんじんのGI値と同程度のロールパンなら、3.3個分で炭水化物量は50gのところ、にんじんで50gを摂ろうとすると約3.5本分にもなり、この量のにんじんを食べることはそうそうないので、高GIですがあまり気にしなくても大丈夫です。
また、他のGI値の低い食品と組み合わせることで血糖値の急上昇が防げます。他の野菜やきのこ類や海藻と合わせて摂ればなおよしです。
選び方
美味しいにんじんを選ぶポイントは3つあります。
①オレンジ色が濃い
②切り口が茶色く変色していない
③ひげが生えていない
オレンジ色が濃いほど色素成分であるβ-カロテンが多く含まれているという目安になります。
また、切り口が茶色く変色したり、ひげが生えていると収穫から時間が経っている可能性が高いので避けましょう。
保存方法
調理をしようとにんじんを切ったら、中が白っぽかったり、小さな穴が開いていたという経験はありますか?これは栽培中や保存中の要因、収穫の遅れなどによるもので腐っているわけではないですが、みずみずしさや甘味、鮮度が落ちてしまっています。まずは、美味しさをなるべく長く保つような保存を心がけましょう。
①冷蔵保存
売られている時の袋から出して水気を拭き取り、1本ずつ新聞紙やペーパータオルで包みます。さらにポリ袋に入れて立てた状態で保存してください。3~4日おきに新聞紙・ペーパータオルを交換すれば、1か月ほど保存できます。
葉付きのにんじんの場合は、葉に栄養や水分が吸収されてしまうので、最初に切ることをおすすめします。
②冷凍保存
使い切れずに余ったときは冷凍保存がおすすめです。乱切りなど大きく切ったものは解凍後に食感が変わってしまうので、いちょう切りや千切りなどにしたものを保存袋に入れて冷凍しましょう。汁物などに解凍せずに使えて便利です。1か月程で使い切るようにしましょう。
おすすめレシピ
にんじんドレッシングの作り方をご紹介します。
このドレッシングはすりおろすことでにんじんの細胞が壊れて栄養の吸収率がアップし、油を合わせることでβ-カロテンの吸収率もアップします。
冷蔵庫で1週間ほど保存可能なので、作っておくと使いたい時に使えて便利です。
【材料】
にんじん 150g(1本)
酢 大さじ6
オリーブオイル 大さじ6
砂糖 大さじ2
塩 大さじ1/2
黒こしょう 適量
【作り方】
1.にんじんはよく洗い、皮ごとすりおろします。
(ミキサーやブレンダーを使うのもOKです!)
2.ボウルなどにすりおろしたにんじんと全ての材料を入れ、よく混ぜて完成です。
3.瓶やタッパーなどの清潔な密閉容器に入れて保存しましょう。
【アレンジ】
すりおろした玉ねぎも入れるとうま味が加わり、野菜をさらに美味しくいただけます。
また、ドレッシングだけで野菜摂取を増やすことができます。
他にも、刻んだくるみを入れると食感が楽しめたり、すりおろしにんにくを加えても風味が変わって飽きずに楽しむことができます。