今年も残り一ヶ月ですね。忙しい師走の月になりますが、来年に向けて良い年納めをしましょう。 寒くなる季節に鍋でも囲んで今年を振り返るのも良いですね。
今回は、秋田県の県魚に指定されている「ハタハタ」についてご紹介します。
ハタハタとは
ハタハタは、2002年12月より秋田県の県魚として指定され、冬の訪れを告げる魚として知られています。11月下旬~12月の急激に海水温度が下がる頃に、海底に生息しているハタハタが産卵のため沿岸に近づいてきます。そして、雷が鳴るような荒波のときに沿岸へ獲りきれないほどの大群がやってきます。 ハタハタは、雷の鳴る荒波のときに大量に獲れることから「雷神様がつかわした魚」と信じられ「カミナリウオ」とも呼ばれており、漢字でも「魚」に「雷」で「鱩」、または「魚」に「神」と書き「鰰」でハタハタと読まれています。そのため縁起の良いものとして、よくお正月などに食べられています。
ハタハタの特長
【その1】EPA(IPA)・DHAが豊富に含まれている!
EPA(IPA)・DHAは、血栓の生成を抑制し、動脈硬化予防として良い成分です。また、コレステロールを減少させたり、血管の柔軟性を保ち血圧を下げたりする働きがあると言われています。
EPA(IPA)・DHAは、さばやさんまなどの青魚に多く含まれていることはよく知られていますが、高カロリーなことが気になるところです。しかし、ハタハタは低カロリーでありながら、青魚と同等の量が含まれているのです。青魚が苦手な方にもおすすめの魚です。
●栄養成分の比較
エネルギー (kcal) | EPA(IPA) (mg) | DHA (mg) | |
ハタハタ | 113 | 510 | 710 |
さば | 202 | 500 | 700 |
たら | 77 | 24 | 42 |
(100g中)
青魚のさばと比べると、カロリーは1/2程度であるのに、EPA(IPA)・DHAがほぼ同等に含まれています。つまり、ハタハタ一食分で、さば一食分のEPA(IPA)・DHA量が半分のカロリーでとれるということです。
また同じ白身魚のたらと比べると、EPA(IPA)が約20倍、DHAが約17倍も多く含まれていることがわかります。
【その2】下処理がとても簡単!
魚を調理するときに大変なのが下処理ですよね。ハタハタは、全長20cm前後の大きさで、胸びれが大きく、ウロコがないことが特徴の魚です。内臓をつけたままで料理することもでき、下処理が簡単です。
【その3】様々な料理に活用できる!
ハタハタは、味が淡白であっさりしているため、色々な味のアレンジができます。小骨がなく見離れが良いため、煮物やスープなどでも食べやすく骨を気にする必要もありません。また、から揚げや干物にすると頭や骨まで残さず食べられます。
【その4】1匹で2つの食感!
産卵のために沿岸に向かってくるハタハタには、「ブリコ」と呼ばれる卵を持っていることが多いです。ブリコは、粘りがありプチプチとはじけるような食感で、普段のハタハタとまた違った食感が楽しめます。
ハタハタの代表的な料理
どんな料理にも合い、幅広く利用できるハタハタの代表的な料理をご紹介します。
●しょっつる鍋
「しょっつる」とは、ハタハタやイワシなどの魚を塩漬けして発酵させ、出てきた汁をこしたもので「塩汁」または「魚醤(ぎょしょう)」とも呼ばれるうま味調味料のことをいいます。このしょっつるを使用して、ハタハタや豆腐、ねぎ等の野菜類を煮込んだ鍋料理のことを、しょっつる鍋といいます。
●ハタハタずし
塩漬けしたハタハタを、麹を混ぜた飯、カブやにんじんなどの野菜、昆布などと一緒に3~4週間程度漬け込んだ発酵食品です。ハタハタが良く獲れる地方では、正月料理として欠かせない料理です。
●ハタハタ汁
ハタハタと野菜類を入れ、最後に味噌で味付けしたものです。旨み成分が豊富に含まれたハタハタをそのままいれることで、ハタハタのだしをしっかりと効かせた美味しいお味噌汁です。
おすすめレシピ
ハタハタの代表的な料理である「しょっつる鍋」と、お酒のおつまみとしても合う「ハタハタの味噌バター包み焼」をご紹介します。
●しょっつる鍋
【材料】(4人前)
・ハタハタ ・・・中8匹
・長ネギ ・・・1本
・ごぼう ・・・1/2本
・白菜 ・・・1/16個
・しらたき ・・・200g(1玉)
・椎茸 ・・・4枚
・木綿豆腐 ・・・1/2丁
・せり ・・・1/2束
・昆布 ・・・1枚(約5g)
・しょっつる ・・・大さじ2
【下準備】
鍋に水と昆布を入れ、30分程つけておきます。
※頭や内臓が苦手な方は、切り落としても良いです。
【作り方】
1.ハタハタは軽く水洗いします。
2.長ネギは斜め切り、ごぼうはささがきにし、白菜、しらたき、椎茸、豆腐、せりは食べやす
い大きさに切ります。
3.昆布をつけておいた鍋を火にかけ沸騰させます。
4.沸騰したら昆布を取り出し、ごぼう、しらたき、野菜(せり以外)の順に鍋に入れ、ひと煮
立ちさせます。
5.4で入れた具の上に並べるようにハタハタを入れます。
6.ハタハタに火が通ったら豆腐とせりを入れ、少し火にかけた後、最後にしょっつるを入れた
ら完成です。
※しょっつるがない場合は、事前にハタハタの表面にかるく塩をつけておくか、または最後
に塩で味付けをしましょう。
●ハタハタの味噌バター包み焼
【材料】(2人分)
・ハタハタ ・・・中4匹
・ブリコ(ハタハタの卵) ・・・1/2匹分
・たれ
a.味噌 ・・・大さじ1
b.みりん ・・・小さじ1
c.酒 ・・・小さじ1
・バター ・・・小さじ1
・黒こしょう ・・・少々
・青ネギ(小口切り) ・・・少々
【作り方】
1.ハタハタは、頭を切り落として内臓を取り除き、水洗いします。
※1/2匹分のブリコは残しておきます。
2.1で残しておいたブリコとたれを混ぜ合わせます。
3.アルミホイルにハタハタをのせ、2をハタハタの上にのせるようにまんべんなくかけます。
※アルミホイルは、ハタハタを包めるくらいの大きさに切りましょう。
4.バターを細かく切り、3に入れます。
5.アルミホイルを閉じ、180℃のオーブンで約10分程度焼きます。
6.お皿に盛り付け、黒こしょう、青ねぎをちらしたら完成です。
※ブリコがない場合や苦手という方は、入れなくても十分おいしくいただけます。