今月は、様々な料理の香りづけに欠かせない香辛野菜の「にんにく」をご紹介します。
にんにくは、香りが食欲増進に繋がるだけでなく、食べることで得られる効果が他にもあります。
にんにくとは
にんにくはネギ属に分類される香辛野菜です。
いわゆる「にんにく」として食べられているのは球根部分で、他にも葉は葉にんにく、茎は
にんにくの芽として食べられています。独特の香りと風味が特徴的で、世界中の料理に香辛料や薬味として欠かせない食材のひとつです。
にんにくの栄養的特長
にんにくの強い香りの正体はアリシンという成分で、切る・潰す・加熱することで生成されます。この香りは、もともとはにんにくを傷つける外敵の昆虫やカビ、動物などに食べられないようにするためのものですが、ヒトが食品として食べることによって様々な効果をもたらします。
①減塩効果
減塩に取り組みたいけど薄味では物足りないと
感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時にはにんにくを入れてみてください。
にんにくの香りがプラスされることで料理の風味が増し、薄味でも満足感が得られます。
②疲労回復
疲労回復に欠かせない栄養素としてビタミンB1があります。
ビタミンB1は水溶性なので体内に蓄えられません。
しかし、アリシンと結びつくことによって体内に
とどまる時間が長くなり、疲労回復の効果を持続させます。ビタミンB1を多く含む肉類(特に豚肉)や大豆などの豆類と一緒に調理するとより効果が得られます。
③免疫力アップ
アリシンは強い抗菌作用や抗ウイルス作用があり、免疫力アップに繋がります。古代ギリシャや中世ヨーロッパでは病気に対する治療薬にされていた歴史があり、近年では多くの食中毒菌に対して抗菌作用があるという研究結果もあります。
まだまだ風邪やインフルエンザなど感染症が気になる時期ですので、にんにくを日々の食事に
取り入れてみてはいかがでしょうか。
④生活習慣病予防
アリシンには生活習慣病の原因ともなる活性酸素を抑制する抗酸化作用があります。また、血液が固まり、血栓が作られるのを防いで血液の流れを正常に保つ効果や、血液中のコレステロール値の上昇を抑える効果もあります。これらの作用を併せ持つにんにくは生活習慣病予防に効果的な食材です。
保存方法
にんにくは一度にすべて使うのは難しく、長期間放置しておくと芽が出たり、カビが発生してしまいます。長持ちさせるための保存方法とポイントをご紹介します。
調理や食べる時のポイント
・切り方
にんにくの香りの強さは切り方によって異なり、細かく切るほど強くなります。香りを抑えたい時は軽く潰したり薄切りにし、香りを強く出したい時はみじん切りやすりおろしにして使いましょう。
・油で調理する
アリシンは揮発性があるので、切って空気に触れることで香りが発生しますが、時間が経つにつれて減ってしまいます。また、加熱することでも減っていきますが、油と一緒に調理することでアリシンが分解されにくくなり、効果的に摂取できます。
煮込み料理に入れる際にも、油とにんにくを炒めてから加えるとアリシンをより摂取することができます。
・市販の調味料を使う
瓶に入ったきざみにんにく、すりおろしにんにくのチューブを使うこともおすすめです。手軽に使いたい量だけ出すことができ、切った際の手やまな板へのにおい移りも気にする必要がありません。しかし、一度開封すると空気に触れてアリシンは徐々に減少してしまいます。
・食べ過ぎには注意
にんにくを食べることで得られる効果をご紹介しましたが、食べ過ぎには注意が必要です。刺激が強い食材なので、食べ過ぎると胃腸に負担がかかってしまいます。目安として生であれば1日1~2片ほどに抑えましょう。ただし、個人の体質や健康状態によっても適量は異なりますので、胃腸が弱っているときや体調がすぐれないときは量を減らしましょう。
・香りを抑えたい時の対処法
にんにくの香りが気になるときはラップに包み、電子レンジで加熱してから切ってみてください。目安は500wで1片あたり20秒程度加熱すると香りが抑えられます。
また、にんにくを食べた時の口臭が気になるときは、牛乳を飲む、緑茶を飲む、りんごを食べる(りんごジュースを飲む)と匂いが抑えられるので試してみてはいかがでしょうか。
おすすめレシピ
長芋のにんにく醤油漬けをご紹介します。火は使わず、切って漬けておくだけなので手軽に作ることができます。長芋はでんぷんを分解する消化酵素を含み、生でも食べられる芋です。長芋に多く含まれるでんぷんがスタミナとなる素となり、またビタミンB1も含まれているので、にんにくと合わせることで疲労回復効果が期待できる一品です。
【材料】2人分
・長芋 150g
・にんにく 1片
・砂糖 小さじ1/3杯
・醤油 大さじ1杯強
【作り方】
1.長芋の皮をむき、長さ4cmほどに切り、1cm幅の棒状に切ります。
2.にんにくは薄皮をむいて薄切りにします。
3タッパーなどの保存容器に全ての材料を入れよく混ぜ合わせます。(フリーザーバッグを使う場合は軽くもんでから空気を抜きながら袋の口を閉じる。)
4.冷蔵庫で2~3時間漬けたら完成です。
【ポイント】
薄切りのにんにくは市販のきざみにんにくやすりおろしにんにくで代用できます。きざみにんにくであれば小さじ1で、すりおろしにんにくは小さじ2でおよそ1片分になります。
お好みで鷹の爪を加えるとピリ辛がアクセントになります。