おからは豆腐を食べる文化がある日本では一般的な食品です。野菜と一緒に煮込むおかずの定番ともいえます。現在ではおからを乾燥させて加工することによって、保存性や利用性を高め、ケーキやクッキー、ハンバーグのたねに加えるなど様々な使い方があります。
栄養価が高いことや、ヘルシーで高たんぱくな食材であることから、ダイエット中の食材としても人気があります。
おからとは
おからは豆腐を作るときに、大豆から豆乳を絞ったあとの残った部分です。
大豆の風味やたんぱく質、食物繊維などが豊富に含まれ、比較的安価で手に入りやすい食材です。おからは、「うのはな」や「きらず」と呼ばれることがあります。「うのはな」という名前は、白いウツギの花にたとえられています。また、「きらず」とは包丁を使わなくても調理ができることからこのように呼ばれるようになったといわれています。大分の方言では「きらす」といい、郷土料理に「きらすまめし」という料理があるほど、昔から食べられている食材です。
おからには、生おからと乾燥おからがあり、乾燥おからには粒子を細かくしてパウダー状にしたものもあります。これらは、料理ごとに使い分けたり、できあがった汁や料理に直接加えることで、おからの栄養を手軽に取ることができます。
おからの種類
1)生おから
生おからは、水分量が多く大豆の香りが残っていることが特徴です。
お豆腐屋さんなどで購入することができます。生おからは、保存がきかないためなるべく早く使いきるようにしましょう。使い切れない場合は、冷凍して保存することがおすすめです。冷凍保存後は、1週間~10日間で食べきるようにしましょう。
●保存方法
①おからを1回で使いきれる量(約50g)に分けます。
②①をなるべく薄くして、ラップに包みます。
➂フリーザーバックに入れて冷凍庫で保存します。
2)乾燥おから
乾燥おからは、生おからを乾燥させたものです。スーパーなどで手軽に購入でき、生おからと違い、開封前であれば常温保存が可能で、長期保存ができることが特長です。乾燥おからを生おからとして使用したい場合は、乾燥おからの重量に対して4倍量の水をいれると、生おからとして調理できます。また、乾燥おからは、
生おからを購入し自分でつくることも可能です。
●乾燥おからの作り方 保存期間:1ヶ月
①フライパンや鍋に生おからを入れ、弱火~中火で火にかけます。
②焦げないように混ぜながら乾煎りし、生おからの水分がなくなりサラサラになったら火からおろし、しっかりと熱を冷まします。
③冷ましたおからを薄く平らになるようにしてラップに包み、フリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存します。
3)おからパウダー
乾燥おからをさらにミキサーなどでパウダー状にしたものです。
さらさらのパウダー状のため、小麦粉の代わりとして、唐揚げの衣やお好み焼き、
ケーキなどに使用することができます。おからパウダーは小麦粉よりも炭水化物(糖質)を控えることができるのでダイエット中の方の代替え食品としておすすめです。また、味噌汁などに混ぜて手軽にたんぱく質や食物繊維などの栄養価をアップすることができます。
おからの栄養的特長
おからに含まれる栄養素についてご紹介します。
1)たんぱく質
たんぱく質は筋肉をはじめ、臓器、血液、皮膚、髪、歯、爪など、体のあらゆる組織をつくる材料になる栄養素です。おからに含まれるたんぱく質量を他の大豆製品と比較すると、おからは豆腐を作る工程の豆乳を絞ったあとの大豆の残り部分とはいえ、たんぱく質が十分含まれていることが分かります。このことから、手軽にたんぱく質をアップできる食材といえます。
2)食物繊維
食物繊維は、野菜類に多く含まれていると思われがちですが、実はおからには野菜類よりも多く食物繊維を含んでいます。例えば、おから煮ときんぴらごぼうを比較すると、おから煮はきんぴらごぼうの約2倍の食物繊維が含まれています。食物繊維は、腸の運動を活発化させお通じを良くする効果や、水分を吸収してお腹で膨らむため、満腹感が得やすいといった効果が期待できます。また、胃や腸の中で一緒に食べたものの粘性を高め、消化吸収を緩やかにして食後の血糖値の上昇を抑えると考えられています。このほかにもコレステロールの吸収を妨げ、体外に排出されやすくする働きもあるため、血糖値や血中脂質が気になる方には、積極的に摂りたい栄養素です。
また、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の1日の摂取目標量は、成人男性は21g以上、成人女性は18g以上とされています。ですが、令和元年の国民健康・栄養調査によると40歳~59歳の男性の平均摂取量は18.9gと2.1g不足しており、40~59歳の女性の平均摂取量は16.4gと1.6g不足しているといわれています。乾燥おから大さじ1杯(約6g)中に食物繊維は2.6g含まれていますので、乾燥おから大さじ1杯を普段の食事にプラスすると、1日に不足している分を補うことができます。
○おすすめの食べ方
おから自体にはあまり味がないので、料理本来の味を残したまま、たんぱく質や食物繊維などの栄養価をアップできます。
●生おから
生おからを使う時は、煮物は定番ですが、汁物や炒め物にいれてもおいしく栄養価をアップできます。炒め物はボリュームもアップすることでき、汁物にいれると、食べ応えのある1品に仕上がります。
●乾燥おから
乾燥おからは、パン粉や小麦粉と形状が似ているため、唐揚げやコロッケなどの揚げ衣の代替えとして使うことがおすすめです。調理後の食感も似ているので、揚げ物のサクサク食感を失わずに作ることできます。唐揚げやコロッケは、小麦粉やパン粉などを衣にして調理しますが、おからをつかうことで炭水化物(糖質)を減らすことができます。ヨーグルトに混ぜる時は、より粒子を細かくしたおからパウダーを使い良く混ぜ合わせると違和感なく食べることができます。
【食べるときの注意】
おからは、水分を吸収しながら腸内の移動をしていくため、体内に水分が不足していると、腸を詰まらせてしまうことがあります。からだに良いからといっても食べすぎには気をつけましょう。1日あたり生おから50gまたは乾燥おからであれば10gを目安にしましょう。
○おからのおすすめレシピ
じゃがいもの代わりにおからを使ったアレンジメニューをご紹介します。
おからを使うと、じゃがいもで作るポテトサラダよりも炭水化物は45%抑えることができ、たんぱく質は20%増やすことができます。
<おからのポテサラ風>
【材料・分量】 (2人分)
・乾燥おから 20g (生おからの場合:生おから100g、水は不要です。)
・水 80g
・きゅうり 1/2本(50g)
・にんじん 小1/2本(50g)
・ハム 5枚(50g)
・マヨネーズ 大3
・塩 少々
・こしょう 少々
お好みで、粒マスタードをいれても美味しく仕上がります。
【作り方】
1.にんじんは薄くいちょう切りにし、耐熱皿にふんわりラップをして500W約3分加熱します。きゅうりは、薄く輪切りにして、塩を少々し塩もみし水気を切っておきます。ハムは、3等分にして7~8mm幅に切ります。
2. 乾燥おからに水をいれて、ふやかしてゴムベラでざっくりと混ぜます。このとき、少しパサつきがあっても大丈夫です。
3.粗熱が取れたら、おから、にんじん、きゅうり、ハムとマヨネーズ、塩、こしょうをいれ、よく混ぜ合わせて完成です。
【ポイント】
きゅうりの水気はしっかり切っておきましょう。おからと混ぜ合わせたとき、全体が水っぽくならず、味が薄くならず調味料の入れすぎ防止にもなります。乾燥おからに水をいれた時に、少しパサつきがあるかもしれませんが、具とマヨネーズを入れるとしっとりとしてきます。