コロナ禍になってからしばらく経ちますが、気兼ねなく旅行に行けるのが待ち遠しいですね。
それまでの間、少し気分を変えて、おうちでの食事で旅気分を味わってみるのはいかがでしょうか。今回は和食と並んで健康的な食事スタイルと言われている地中海食についてご紹介します。
地中海食とは
ギリシャのクレタ島と南イタリア付近地方で食べられている食品摂取の特長をまとめて地中海食と呼んでいます。2010年にイタリア料理、ギリシャ料理、スペイン料理、モロッコ料理が『地中海の食事』としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。地中海食のパターンを食品別に分類し、ピラミッドで示した図(*)をご紹介します。ピラミッドの頂点にある食品は摂取頻度が低く、下にいくほど摂取頻度が多くなることを示しています。
(*1993年米国NPO法人Oldwaysが制作したものを参考に作成)
地中海食の特長
地中海沿いの国では、高脂肪食を食べているにも関わらず、血中コレステロール値が低く、動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳血管障害などの冠動脈疾患が少ないことが研究の結果解明されています。地中海食と健康について調べた調査や研究は様々ありますが、栄養面からみたメリットをご紹介いたします。
①抗酸化作用が強い植物性食品が豊富
地中海沿岸の地域はその温暖な気候から、太陽をたっぷり浴びて育った作物が多く食べられています。地中海食では、トマトやパプリカ、ズッキーニやナスなど色の濃い野菜がふんだんに使われますが、それらの野菜には抗酸化作用がある成分(ポリフェノールなど)や、ビタミンA・C・Eなどの抗酸化ビタミンが豊富です。体が酸化を受けると、体を構成している細胞が傷つき壊れていきます。例えばこれが血管で起こると、血管の壁に細かい傷ができ、さらに進むと動脈硬化や血栓ができやすい状態になり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因になります。
地中海食の豊富な抗酸化成分は身体を酸化から守ってくれます。
②良質な脂質が摂れる
脂肪酸は大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の二つに分けられ、「飽和脂肪酸」は肉や乳製品に多く、「不飽和脂肪酸」は魚やオリーブオイルやナッツに多く含まれます。これらのバランスが飽和脂肪酸に偏ると悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを高めてしまうので、摂りすぎに注意したいところです。
地中海食では、魚やオリーブオイルやナッツがよく食べられることから、不飽和脂肪酸の摂取量が多くなります。
以下地中海食に多く含まれる不飽和脂肪酸の主な特徴をまとめました。
これらの良質な脂質が豊富に摂れることが地中海食のメリットです。
③食物繊維が豊富
地中海食では野菜や果物の摂取が多いことに加え、穀類は全粒粉を使うこと、豆やナッツを毎日摂ることなども特徴です。これらの食品には食物繊維が豊富に含まれます。
<食物繊維の効能>
●血中コレステロールの低下作用
小腸を通過する際にコレステロールを包み込み、外に排出することに加え、体内でのコレステロールの利用が促進されることで、血中コレステロールの低下に繋がりやすくなります。
●血糖値の上昇をゆるやかにする
全粒粉は精製された小麦と比べ、糖質の吸収がゆるやかになり、血糖値が上がりにくくなります。
地中海料理を代表する国の料理について
2010年にユネスコ無形文化遺産に追加された4か国それぞれの料理の特徴をご紹介します。
◆イタリア料理
イタリアは南北に細長い国で、それぞれの地域で気候や風土が違い、地域ごとの郷土料理があります。北部では肉や乳製品を使った料理が多く、南部ではオリーブオイルやトマト・魚介類を使った料理が多く食べられています。
代表料理:パスタ、ピッツァ、ミネストローネ、アクアパッツァ、
コトレッタ(ミラノ風カツレツ)など
◆ギリシャ料理
ギリシャ料理は地中海料理の他に、トルコやレバノンなど東地中海地方の料理との共通点があります。旬の新鮮な食材の良さを引き出すオリーブオイルやレモン・ハーブを使ったシンプルな味付けが多く、羊乳を使った水切りヨーグルトやチーズもよく用いられます。
代表料理:ムサカ(ギリシャ風グラタン)、ザジキ(レシピをご紹介します)など
◆スペイン料理
スペインは地方によって気候や風土、文化、習慣が異なるため、地域によって特色があります。海に面した東部や北西部は魚介類を使った料理が多く、南部はイスラム文化の影響を受けています。また、内陸部では肉料理や煮込み料理が多くみられます。
代表料理:パエリア、アヒージョ、チョリソー、ガスパチョ(冷製トマトスープ)など
◆モロッコ料理
モロッコ料理は地中海料理の他にイスラムの食文化、中世アラブ料理と北アフリカの先住民族ベルベル人の料理が融合したものとなっており、クミン・コリアンダー・カルダモンなどのスパイスを使い、レモンやヨーグルトなどで酸味をプラスした爽やかな風味が特徴です。
代表料理:タジン(水を逃がさない鍋を使った煮込み料理)、
クスクス(粒状のパスタを蒸し、その上に野菜や肉を煮たものをかけた料理)など
おすすめレシピ
~ソースで簡単!地中海風アレンジ~
地中海食の特徴をご紹介してまいりましたが、今回はいつもの料理が地中海風にアレンジできる、夏にぴったりのギリシャのザジキソースの作り方をご紹介します。
ザジキソースとは、ヨーグルトを使ったソースで、ギリシャではパンやフライにつけて食べられることが多いです。
「ザジキソース」
【材料】
・プレーンヨーグルト 1パック(400g)
(ギリシャヨーグルトの場合 200g程度)
・きゅうり 1本
<A>
・塩 小さじ1
・にんにく(おろす) 2かけ
(チューブでも可)
・粉チーズ 大さじ2
・ディル(みじん切り) 小さじ2
・レモン汁 お好みで
【作り方】
①ヨーグルトは水切りをしておく
(ざるの上にキッチンペーパーを敷き、冷蔵庫で一晩寝かせる)
※水気をよく切ることがポイントです
ギリシャヨーグルトを使うと水切りを短縮できます
②きゅうりはすりおろし、キッチンペーパーで水切りをする
※たねの部分を取り除くと食感がなめらかになり、クセがなくなります
③ボウルに①②とAを入れ、混ぜる
※<A>の塩をスパイスソルトに変えたり、
ディルの代わりにクミンパウダーやお好みのハーブでもよいです
④よく冷やして完成
今回は白身魚のお刺身と合わせましたが、
以下アレンジ例をご参考にお好みのものでお召し上がりください
【アレンジ】
●白身魚やいか・タコのフライにかけて…
●肉や魚のグリルにかけて…
●ガーリックトーストやクラッカーにのせて…
●野菜スティックにつけて…