皆様、セロリはお好きですか?独特な香りと、シャキシャキ、ぽりぽりとした食感のセロリは好き嫌いが分かれる野菜ですが、香りを生かすことでアクセントになり、多くの料理で活躍してくれます。3月が旬のセロリの良さと調理法などをご紹介します。
原産地と日本での歴史
セロリの野生種はヨーロッパからインド西北部にかけての湿地に自生しています。
古代ギリシャ、古代ローマ時代には薬効のある野菜として使用され、葬儀や祭り、魔除けなどにも使われていたそうです。
日本には16世紀末朝鮮出兵の際に加藤清正が中国種を持ち帰ったのが始まりと言われていますが、一般に広まるようになったのはだいぶ後のこと。幕末や明治時代にも栽培に挑戦しましたが、香りが強すぎて人々に受け入れられなかったようで、定着したのは第二次世界大戦以降になります。
現在日本で出回っているセロリは、香りが比較的弱いアメリカの品種で、洋食文化の広がりとともに、昭和50年代頃から一般家庭でも食べられるようになりました。
セロリの良さ
セロリは比較的水分が多いため、たくさん食べてもカロリーが低く、ダイエットに適している野菜です。量を多く摂ってもエネルギーが低く抑えられるので、減量中食事の量が物足りないときのボリュームアップにも最適です。
また、セロリがおすすめな理由は、カロリーが低いことだけではありません。
その他の嬉しい特長を4つご紹介します。
①カリウムが豊富
セロリは数多くある野菜の中でも、特にカリウムが豊富です。
カリウムは、身体の中で細胞の浸透圧の調整を担っています。例えば塩分を摂りすぎたときにむくみがおこりますが、これは食塩に含まれるナトリウムが水を細胞内に引き込むことから引き起こされます。カリウムはナトリウムと逆に水分を外に排出する働きがあり、細胞の水分バランスを調整することで、むくみをすっきり解消してくれます。同様の浸透圧調整は血圧にも影響しているため、高血圧予防としても大事な栄養素なのです。
下記は、食べる機会の多い野菜とカリウム量を比較したグラフです。
他の野菜と比べてみてもセロリにはカリウムがとても豊富なことがわかります。
(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
②食物繊維が豊富
見た目の繊維質なイメージの通り、食物繊維が豊富に含まれます。
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっているのですが、現在では多くの日本人に不足しているため、意識して摂りたい成分です。
摂取目標として、厚生労働省からまずは一日あたりプラス3~4gを積極的に摂取することがすすめられています。1食あたりで考えると1.0~1.3g。1食分からでも追加していきましょう。
どんな料理を追加したらいいかイメージが持てるよう、普段よく食べるメニューにセロリを加えたときの例をご紹介します。(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
いつものサラダやコンソメスープに、セロリスティック5本分(40g)を加えると食物繊維が
約2倍にアップし、このセロリ入りのサラダ、あるいはセロリ入りスープ1品の追加で、
1食あたりの追加目標1.0~1.3gが達成できます。
③噛む回数アップ
先ほどの食物繊維はセロリの食感にも関わっています。水分が多くみずみずしいセロリのぽりぽりとした食感はよく噛むことに繋がります。噛むことは嬉しい効果がいっぱいです。
<噛むことの効果>
1.ダイエット効果
早食いの方は満腹中枢が刺激される前に食べ過ぎてしまうので
肥満になりやすいと言われています。よく噛んで食べる事に
よって満腹中枢が刺激され、適量でもお腹いっぱいになった
感じがするのです。
セロリの噛み応えは、お腹もいっぱいになりやすいので、
低カロリーであることに加えてダイエットにとても適した野菜といえます。
2.脳機能アップ
よく噛むと、脳に流れる血液の量が増えることで脳が活性化し、
記憶力の向上や認知症の防止にも有益であると言われています。
よく噛んで食べることで、脳の健康にもいい影響があるなんて
嬉しいですね。
④香り成分が多様
セロリといえばなんといってもあの特有の香りです。
セロリには約40種類もの香り成分が含まれており、香りの成分にも様々な効果が期待されています。ここでは代表的な2つをご紹介します。
『アピイン』『セネリン』
この2つの香り成分は、精神を落ち着かせる沈静効果があり、イライラや頭痛を和らげると言われています。古代ギリシャ、古代ローマ時代には薬効のある野菜として重宝されていたとも言われており、薬膳でも気分をすっきりさせ、リラックスさせる効能があるとされています。香り成分による薬効を昔から利用していたのかもしれません。
セロリの選び方と調理のポイント
・美味しいセロリの選び方
①葉につや、ハリがある
②葉にしおれ、黄ばみがない
③茎は厚くて筋がくっきりと入っている
④茎の凸凹がはっきりしている
⑤茎に丸みがある
⑥茎が割れていない
以上が選ぶときのポイントです。1枚ずつになっているものは、切り口を見て、
褐変していない、※「す」が入っていないものを選びましょう。
特に「す」が入っているものは、筋が硬く、歯ざわりが悪いので、切り口に注目して
選んでくださいね。
※すかすかになっていて野菜の中が空洞になっていること。
・食べやすくする方法
セロリの香りが苦手な方は、刻んでスープに入れてよく煮込むと良いでしょう。
他にも、使う前にゆでこぼしを行うと香りが弱まります。
また、カレー風味や佃煮などの味付けにしても食べやすくなります。
・葉の活用方法
捨てがちな葉ですが、香りが強めなのでハーブとして使うとお肉やお魚の臭みが取れます。
他にも、刻んで肉や魚の下処理に使い、そのままソースにするのもおすすめです。
おすすめレシピ
厚生労働省が発表している日本人食事摂取基準では、1日の野菜摂取の目標は350gとなっています。小鉢にするなら5皿〜6皿です。ただ、毎日の食事で、5つも副菜を準備するのはなかなか大変ですので、そんなときに活用いただきたいのが常備菜です。
セロリは常備菜にもぴったり。香りがアクセントになり、付け合わせとしても様々なおかずに合い、存在感を発揮します。(例えばピクルスや、きんぴら、浅漬けなど)
独特の香りや歯ごたえが減塩や満腹感の向上にも一役買ってくれますので、ぜひ冷蔵庫にセロリの常備菜をストックしてください。
今回は常備菜の一つとして、セロリを丸ごと使い、様々な料理にアレンジ可能でとっても便利な「スープストック」と、それを使ったアレンジ例として、「ミネストローネ」を紹介します。
「スープストック」
味付けはできるだけシンプルで薄味にしておくと、どんな料理にもアレンジできます。たっぷり作ってタッパーに常備すれば、スープストックとして大活躍します。
【材料】
・セロリ1茎 ※茎も葉もまるごと使います
・にんじん 1/2本
・玉ねぎ 1/2個
・キャベツ 1/4玉
(その他お好みの野菜)
・にんにく(刻んでもチューブでも可)1かけ
・オリーブオイル 大さじ1
・塩こしょう お好みで
【作り方】
1.上記の材料を細かく刻む
(フードプロセッサーやミキサーをお持ちの方は、
材料をすべて入れて回すと刻む手間が省け、簡単に作ることができます)
※セロリは刻む前に硬いすじを取り除いておきましょう。
香りが苦手な方は葉を茹でこぼしてから刻んでいただくか、
刻んだ葉に湯通しをしてください。
2.オリーブオイルを敷き、にんにく、玉ねぎ、にんじんから炒める
3.玉ねぎの辛味が抜けたところで、セロリとキャベツを入れ、歯ごたえが残る程度に炒める
「トマト缶で簡単ミネストローネ」
【材料】(4人分)
・カットトマト 缶1缶 ※汁も使います
・薄切りハーフベーコン 5枚
★上記の常備菜スープストック
・固形ブイヨン 1個
・水 500cc
・塩 小さじ1/2
・こしょう お好みで
【作り方】
1.薄切りベーコンは1cm角に切る
2.スープストックとトマト缶を汁ごといれる
3.水、固形ブイヨン、塩、こしょうを入れ、煮立ったらあくを取り除き、完成
アレンジ
・スープ
忙しい朝には、カップにスープストックと固形ブイヨンまたは中華だしとお水を加えて
レンジでチン
・カレー
スープストックとひき肉を炒めて、カレールーを絡めればキーマカレーに
・カルパッチョ
スープストックにレモン汁と砂糖、酢を加えて混ぜ、上にサーモンの刺身を乗せれば
カルパッチョに
・ソース
塩、こしょうとレモン汁を加えると、肉や魚のムニエルやソテーにぴったりの
爽やかなソースに