近頃、ダイエット食品として注目され始めているオートミールをご存じですか。
初めて聞いた方にも、興味はあるけどどんな食品か分からないという方にもオートミールの特長や調理法などをご紹介します。
オートミールとは
オートミールとは、燕麦(オーツ麦)を脱穀して調理しやすく加工した食品です。アメリカなどでは朝食としてよく食べられていましたが、最近は日本でもダイエット食品として注目され始め、食べられるようになりました。
燕麦は世界で6番目に生産量の多い穀物なのですが、実が硬いことや小麦のようにそのままパンなどに加工することができないため、主食としては扱いにくく、あまり食べられていませんでした。しかし、1870年代に燕麦をフレーク化する技術がアメリカで発明され、手軽に調理できるオートミールが誕生したことで燕麦も主食として食べられるようになったとされています。
オートミールの特長
①低GI食品
食後の血糖値の上昇度を数値化したものをGI値といいます。
このGI値を白米、食パンや他の主食と比較してみるとオートミールは55と低いことが分かります。
血糖値が上がると血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンは、血糖値を下げる働き以外に、糖を脂肪に変換し体内に脂肪を溜めこむという働きもあるため、たくさん分泌されると肥満の原因になることがあります。したがって、GI値が低いほどインスリンの分泌が抑えられることから、オートミールは他の主食と比べて太りにくい穀物と言えます。これがダイエット食品として注目されている要因の1つです。
しかし、オートミールも他の穀類同様にエネルギーは高いので、食べ過ぎには注意が必要です。ダイエットを意識するなら、1回30g(大さじ4杯程度)が目安です。多くても50g(大さじ6杯程度)までとしましょう。オートミール30gのエネルギー量は105kcalで、これはごはん茶碗1/2杯、食パン6枚切り2/3枚と同じくらいです。また、50gだと175kcalとなり、ごはん茶碗3/4杯と同じくらい、食パン6枚切り1枚より少し高いくらいになります。
②食物繊維が豊富&バランスも良い
食物繊維は体内で消化・吸収されない成分で水溶性と不溶性の2種類に分けられます。
●水溶性食物繊維
小腸での栄養素の吸収スピードを緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える効果や、コレステロールをスムーズに体外に排出するのをサポートする働きがあります。さらに、ナトリウムを体外に排出し、高血圧予防も期待できます。
●不溶性食物繊維
体内で水分を吸収して膨み、便の体積を大きくして腸を刺激することで排便を促す効果があります。
以上のようにそれぞれ異なった働きを持つことから、食物繊維はどちらかではなく、水溶性と不溶性の両方をバランスよく摂取することが大切です。
オートミールは食物繊維が豊富なイメージのある野菜類と比較しても多く含んでいることが分かります。また、食品群別にみると食物繊維は穀類からの摂取量が1番多く、穀類に含まれる食物繊維はほとんどが不溶性ですが、オートミールは水溶性も多く含んでおり、両方をバランスよく摂取できる食品です。 (日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
③鉄分も豊富
鉄は血液中の酸素を運搬する役割があり、体に必要な必須ミネラルの一種です。不足すると貧血になってしまい、特に女性は月経や妊娠・授乳により、不足しやすいとされています。
主食のなかでもオートミールには鉄分が多く含まれており、1食をオートミールに変更するとパンや白米よりも4,6倍、鉄分を多く摂ることができます。また、ビタミンCを一緒に摂ると鉄の吸収率を上げることができるので、ビタミンCの多い食材と合わせてとることをお勧めします。例えばトッピングとしてオレンジやいちごなどの果物を追加したり、小松菜やほうれん草などをのおかずを組み合わせると良いでしょう。 (日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
オートミールの主な食べ方
オートミールにはいくつか種類があり、インスタントオーツのようにそのまま牛乳をかけて食べることができるものもありますが、ロールドオーツや
クイックオーツは調理が必要です。以下の方法で調理をするとさらにおいしく食べることができ、オートミール料理のレパートリーを増やすことができます。
●ふやかす
牛乳や豆乳、熱湯などを注いでふやかし、好みの味付けやトッピングをすることでおいしく食べられます。
加熱する必要がないので手軽で、夜に準備しておいて朝は食べるだけにしておくと、時間がない朝ごはんにもぴったりでおすすめです。
●電子レンジや火にかけて加熱する
ふやかすだけだと少しオートミールの芯が残ったような食感のため、苦手な方は加熱するのがおすすめです。電子レンジの場合はオートミール30gと
水や牛乳を2分ほど加熱し、一度混ぜてからさらに30秒~1分加熱すると炊いたお米のようにふっくらと仕上がります。吹きこぼれやムラができるのを防ぐためになるべく2回に分けて加熱しましょう。
また、鍋にオートミールと水や牛乳を入れてとろとろになるまで火にかけるとお粥のように仕上がります。雑炊のようにしたいときは火にかけるのが
おすすめです。ごはんのようにしたいときはオートミール30gに対して水分は50mlが適正量ですが、お粥のようにしたい時や鍋で加熱する際はオートミールの3~4倍の水分で作るのが良いでしょう。
おすすめレシピ
今回はオートミールを使ったキムチチャーハンのレシピをご紹介します。
具材が入ることでオートミールの量は抑えても量が増えて食べ応えもあり、キムチが入ることでオートミール独特の香りを和らげてくれるので、
オートミールを初めて試してみる方にぴったりです。
また、このチャーハンのエネルギー量は338kcalで、ごはん(茶碗1杯150g)で作った場合と比較すると30%ほどカットすることができます。
オートミールのキムチチャーハン
【材料】2人分
・オートミール 30g
・水 60g
・鶏卵 1個
・豚肉 30g
・キムチ 50g
・鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1/2
・塩こしょう 少々
・ごま油 小さじ1
【作り方】
1.豚肉とキムチをやや細かめに切る
2.ボウルにオートミールと水を入れ、ふんわりとラップをし、600wの電子レンジで1分30秒ほど加熱する
3.フライパンにごま油を熱し、豚肉を炒める
4.豚肉の色が変わってきたら、キムチを加えて軽く炒める
5.溶いた卵と2.の加熱したオートミールを加え、炒め合わせる
6.鶏がらスープの素と塩こしょうで味付けをし、器に盛ったら完成