ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

たこ

No.217

2022年1月4日

管理栄養士 若林美和

あけましておめでとうございます。
2022年最初の栄養コラムは、たこについてご紹介します。たこは茹でると色が紅白になること、また「多幸」
という字が当てはめられることから、とてもおめでたい食品とされ、おせち料理に使われることも多いようです。
今年もたくさんの幸せが訪れることを願いつつ、たこをいただきましょう。


日本はたこの消費量が世界一!

日本では、刺身や煮物やたこ焼きなど様々な調理法でたこが食べられており、世界のたこの消費量の約6割を占めています。日本においては、弥生時代の「たこつぼ」と思われる土器が見つかっていたり、平安時代や鎌倉時代の料理の書にもたこを使用した料理が登場することから、古くからたこを食べる文化が根付いていました。
しかし、世界では宗教上の理由などからたこを食べない国も多く、マイナーな食品でもあります。


主なたこの種類

日本でよく食べられているたこは主に3種類です。種類や産地によって旬の時期が異なることから、たこは1年を
通して食べられています。含まれる栄養素に大きな差はありませんが、特徴が異なるので、料理や時期に合わせて
たこを選んでみてはいかがでしょうか。

種類旬の時期特徴適した調理法
マダコ6~8月(瀬戸内)
11~12月(三陸)
しっかりとした歯ごたえと味が特徴
兵庫県の明石だこなど高級品が多い
刺身
しゃぶしゃぶ
ミズダコ主に12~1月別名オオダコ、大きさはたこ類最大水分が多くて
やわらかく、甘みが強い
塩茹で
煮物
イイダコ1~3月たこのなかでは小型
旬の時期のメスには卵が詰まっている
おでん
煮物

たこの特徴

①低カロリーなたんぱく質源

たんぱく質を摂ろうと思った時、皆さんはどんな食材が思い浮かびますか。最近ではコンビニなどで高たんぱく質と宣伝されているサラダやサンドイッチもよく見られるようになりました。それらには鶏肉や鶏卵が使用されていることが多いのですが、実はたこにも鶏肉と同じ程度、また鶏卵よりも多くのたんぱく質が含まれているのをご存じでしたか。さらに、エネルギーや脂質は鶏肉や鶏卵よりもかなり少ないので、たこはエネルギーや脂質を抑えたいときのたんぱく源としてとても適しています。

栄養素の比較(ゆで100gあたり)

(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)

②肝臓を助ける「タウリン」が豊富

たこやいかなどの軟体動物や、かきやあさりなどの貝類にはタウリンというアミノ酸とよく似た成分が多く含まれています。タウリンは体の臓器や組織に多く含まれていることから、人が生きていくうえで必要な成分と考えられており、他にも以下のような様々な働きがあると言われています。

タウリンの働き
・胆汁酸の分泌や肝細胞の再生を促進する
・コレステロールの吸収を抑える
・肝臓の働きをよくし、アルコールや薬などの解毒作用を強化する
・血圧を正しく保ち高血圧を予防する
・血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす
・母乳に多く含まれ、乳児の発達を促す

年末年始は食べすぎやお酒を飲みすぎてしまうことが多く、肝臓に負担がかかるので、肝臓を助け、アルコールを分解する働きを持つタウリンを豊富に含んでいるたこは、まさに今の時期にぴったりの食材です。タウリンは水に溶けやすい性質を持つため、茹でずに刺身など生のまま食べるか、たこの煮物や汁物、ピラフやパエリア、リゾットなどにすると効率よく摂取することができます。
また、たこにはコレステロールも多く含まれていますが、コレステロールの吸収を抑える働きがあるタウリンも同時に摂取できるため、コレステロールの吸収率を下げることができます。とはいえ、血液中のコレステロール値が高い方は食べすぎに注意し、医師から指示がある場合は従うようにしてください。


たこをやわらかく仕上げるコツ

たこおいしいけどなかなか噛み切れなくて、食べるのが大変という経験はありませんか。たこをやわらかく仕上げるコツはいくつかありますが、中でも簡単にできる2つの方法をご紹介します。

①棒でたたく

1つ目はすりこ木などの棒でたたく方法です。たたくことでたこの硬い筋肉繊維を壊していき、やわらかく仕上がります。最初は触ると張りがあって芯がある感触ですが、身が芯のないへたっとした感じになるまでしっかりとたたいてください。この方法は加熱する前の生の状態で行うのが効果的です。

②弱火で長時間加熱する

2つ目は弱火で長時間加熱する方法です。40分以上加熱すると弾力がなくなり、やわらかく仕上げることができます。時間が長い方がたこはやわらかくなりますが、旨味が流れ出してしまうので、酢の物などで召し上がるときは40分~1時間ほどにするのがおすすめです。スーパーなどで購入した茹でだこでもこの方法は活用できます。


おすすめレシピ

たことあさりのトマトスープの作り方をご紹介します。
あさりもたこ同様にタウリンを多く含む食材です。また、タウリンは水に溶けやすい性質がありますが、スープにすることで食材に含まれるタウリンを無駄にすることなく摂取できます。
食べすぎや飲みすぎで肝臓に負担がかかるこの時期にぴったりのレシピですが、トマトと合わせることでβ-カロテンやビタミンCがアップし、免疫力を高め、風邪予防にもお勧めです。また、温かいスープは体も温めますので、寒い冬の朝食にいかがでしょうか。

●たことあさりのトマトスープ
【材料】2人分 
・たこ       40g
・あさり(殻付き) 60g(中6~8個)
・トマト      200g(中1個)
・たまねぎ     50g(1/4個)
・にんにく     10g(1かけ)
・コンソメ(顆粒) 大さじ1/2
・塩こしょう    少々
・水        300ml
・オリーブオイル  大さじ1

【作り方】
1.あさりは水につけて砂抜きをし、よく洗う
2.たこは小さめの一口大に切る
3.トマトとたまねぎは1cm角に切り、にんにくはみじん切りにする
4.鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて火にかけ、香りが立つまで炒める
5.あさりとたこを加えて軽く炒めたら、トマトとたまねぎを加えてしんなりするまで炒める
6.水とコンソメを加え、蓋をしてあさりの殻が開くまで煮る
7.塩こしょうで味を調え、器に盛ったら完成