前回に引き続き、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に新たに収載された食品第2弾として「アサイー」をご紹介します。近年日本でも広く知られるようになり、スーパーでも商品を目にする機会が増えたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
アサイーとは
アサイーはブラジル・アマゾンが原産のヤシ科植物です。木は25mほどの高さで、直径1~1.2cmほどの丸くて小さな黒紫色の果実が実り、その果実を食します。アサイーは1粒のうち約95%が固い種で、食べられる部分は5%ほどしかないと言われています。
15世紀以前からアマゾン先住民の貴重な栄養源として食されていましたが、現代でもペースト状にしてパックした製品や、果実のまま冷凍された製品などが多く流通しています。アサイーそのものの味は、甘みや酸味やクセもなくあっさりとした味わいです。他の果物や食材とも合わせやすく、利用方法としてはアサイーの果汁のみをジュース状にして飲んだり、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品や、いちご、バナナなどの果物を混ぜてスムージーにして飲むことが一般的です。また、特徴的な鮮やかな紫色は食事に彩りを与えてくれます。
アサイーの有用成分:ポリフェノール
赤道直下の強い紫外線という過酷な環境で育ったアサイーは、環境ストレスによりポリフェノールを多く蓄えています。ポリフェノールは、植物が紫外線や昆虫などから身を守るために作り出された色素や香り成分で、ビタミンCやビタミンEと似た抗酸化作用を示し、身体に悪影響を及ぼす「活性酸素」を除去したり、動脈硬化や生活習慣病の予防、美肌などへの効果も期待されています。
アサイーにはポリフェノールのなかでも特に「アントシアニン」がとても多く、アントシアニンが多い食品として知られているブルーベリーの4倍以上も含まれ、他の食材と比べても多いのが特徴です。
(分析:Brunswick Lab.(米国))
アントシアニンがヒトの生体へ与える効能に関しては、十分な情報は得られていないというのが現状ですが、マウスを用いた実験や、ヒトの組織を用いた実験では、目の細胞へのダメージ抑制を始めとする様々な実験結果が発表されており、今後ヒトへの効能も期待できるでしょう。
アントシアニンは水に溶けやすい成分なので、効率よく摂取するにはジュースやスムージーにして飲むのがおすすめです。
アサイーにはほかの栄養素も豊富
アサイーには栄養素も含まれており、なかでも鉄が豊富です。血液中の赤血球は、全身に酸素を運ぶ重要な役割の「ヘモグロビン」を含み、鉄はそのヘモグロビンの材料となる栄養素です。
そのため、鉄が不足するとヘモグロビンが合成できなくなり、貧血を起こします。
鉄を多く含む食べ物といえばレバーや貝類、ほうれん草などが一般的ですが、アサイーにも含まれていて、果実の中でも圧倒的に鉄を多く含みます。
(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
鉄の体内への吸収は「ビタミンC」を一緒に摂ることで高めることができるので、オレンジや
いちごなど、ビタミンCの多い果物を併せるとよいでしょう。
おすすめレシピ
朝は食欲がない・・・といった方でもさっぱりとしていて食べやすい、アサイーボウルをご紹介します。
ハワイの人気朝食の1つですが、果物には体のエネルギーになりやすい糖が多く含まれ、1日の始まりのエネルギー補給にぴったりです。また、豆乳を併せてたんぱく質をプラスすることもポイントです。朝食にたんぱく質を摂ることで、睡眠時の体温が下がった状態から体温を上げ、自律神経を整えて代謝や免疫などの私たちの身体に備わっている働きを活発にさせます。
旅行や外食がしづらい今だからこそ、このアサイーボウルでお家で気軽に海外旅行気分を味わってみるのはいかがでしょうか。
【材料】 ボウル1杯分
・アサイージュース 100ml
・バナナ(冷凍しておく) 1本
・調整豆乳 100ml
・シリアル 25g
・お好みの果物
(いちご・オレンジ・キウイなど) 適量
【作り方】
①アサイージュースと冷凍バナナ、調整豆乳をミキサーに入れ、
ペースト状になるまでミキサーにかける
②トッピング用の果物を一口大に切っておく
③ボウルに①をいれ、シリアルと②を上に盛り付ける
【ポイント】
通常のアサイーボウルは冷凍アサイーを使って作りますが、スーパーで手軽に購入できるジュースを使いました。スムージー感を出すために、冷凍バナナを使用しています。
また、調整豆乳をヨーグルトで代用すると程よい酸味が加わり、よりさっぱりとした味わいになります。