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栄養コラム

餃子について

No.206

2021年2月1日

管理栄養士 田中希歩

中国では旧暦の正月にあたる日を「春節(しゅんせつ)」といい、盛大にお祝いする風習があります。春節は太陰太陽暦に基づいて定めているため、2019年は2月5日、2020年は1月25日と、毎年日にちが異なり、今年は2月12日です。今月は、そんな春節に食べる料理の一つ「餃子」についてご紹介いたします。

餃子の歴史と日本への広まり

中国の北方で小麦の栽培が始まり、紀元前2世紀頃に小麦の食べ方の一つとして根付いたのが点心と言われ、6世紀頃の遺跡の中からは、餃子に似た形の化石が出土しています。中国で古くから親しまれていた餃子は、18世紀以降の多くの書物に登場するようになり、このころから発展したと考えられます。
日本へ伝わったのは江戸時代ですが、その頃は庶民の味として受け入れられず、広く食べられるようになったのは第二次世界大戦後。中国に移り住んでいた日本人が、戦後に帰国し、中国で食べていた餃子を懐かしんで作り、売るようになったのが始まりと言われ、いまでは餃子専門店もあるほど、広く愛される料理となりました。

餃子の「ひだ」はなんのため?

餃子と聞けば誰しもが「ひだ」がついた形をイメージすると思いますが、ひだにはちゃんとした意味があることを知っていましたか?

①形の成形

餃子の多くが三日月型をしているのは、「馬蹄銀(※右写真)」と呼ばれる、20世紀前半まで中国で使われていた貨幣に似せて作られたからだと言われています。由来が貨幣の形とだけあって、餃子は中国では縁起物として食べられることも多く、「お金に恵まれるように」という願いが込められているそうです。

②皮が破れるのを防ぐ

餃子は加熱の際に水蒸気が発生し、わずかに膨らみますが、その時にひだがあることにより皮に伸縮性を持たせ、皮が破れるのを防いでいます。

餃子の良さ

①うま味が詰まっている
餃子の一番の特長といえば、食べた瞬間にうま味があふれ出るところですよね。通常、炒め物などの加熱調理では、うま味である肉の脂は野菜の水分とともに外に出てしまいますが、餃子は具材を皮で包み込み、外に逃がさない作りになっているため、うま味を閉じ込めることができています。餃子のおいしさは「皮で包まれている形」がポイントと言っても過言ではありません。

②栄養バランス
栄養バランスの整え方として、以下の3つの食品を組み合わせる方法があります。
1.「おもにエネルギーのもとになる食品」(黄色)
2.「おもに体をつくるもとになる食品」(赤色)
3.「おもに体の調子を整える食品」(緑色)
一般的にバランスが良い食事とされる「焼き魚定食」と、「餃子」を比較し、それぞれ3つの分類に分けて表したときを見てみると、餃子は、焼き魚定食と同じように3つの分類が揃っていることが分かります。

(焼き魚定食) (餃子)

③アレンジ性の高さ
手作り餃子では中に包む具材をいろいろと変えることができるので、アレンジがしやすい料理です。様々な食材を使った組み合わせがありますが、その中でもおすすめの追加食材をご紹介します。
・大葉・・・細切りにして具材に混ぜ込むとさっぱりした風味に。
      大葉が余ったときの消費方法としてもオススメ。
・キムチ・・・細かく刻んで具材に混ぜ込むことで、キムチの辛さがアクセントに。
・チーズ・・・チーズのうま味と野菜がよく合う。
       ピザ用のチーズなどは加熱すると伸びるので、食べていても楽しい。

ここに少し注意

①脂質が多め
具材に使用する豚ひき肉に含まれる脂に加え、焼くときに油を使用する影響で、脂質量が多く、1人前(5個)あたりフライドポテトMサイズと同じくらいの脂質が含まれています。脂質量に比例してカロリー高めでもあるので、食べ過ぎには注意しましょう。

②気になる臭いへの対処法
餃子を食べた時に気になるのがにんにくの臭い。にんにく臭の原因は、「アリシン」と呼ばれる成分で、48時間ほど臭いが続くと言われています。対処方法として、歯磨きやガムを噛むなどの口臭ケアも大切ですが、アリシンを分解する成分を持つリンゴを食べたり、消臭効果がある緑茶などを飲むのもおすすめです。また、牛乳に含まれるたんぱく質や脂質にはアリシンの臭いを包み込む作用があり、食前に飲むことで、食後の口臭効果があるといわれています。 

おすすめレシピ

餃子を食べる機会は外食だけでなく、手作りをしたり冷凍食品を利用したりと、家庭でも食べることがあると思います。通常はポン酢や酢醤油で食べることが多いかと思いますが、家で食べる際には普段とは違ったたれを用意して気分を変えてみるのはいかがでしょうか。複数のたれを用意するとパーティー感覚で楽しめますよ。

1.濃厚!ごま味噌だれ

【材料】
・すりごま(白)    大さじ3
・味噌         大さじ1
・みりん        大さじ1
・砂糖         小さじ1/2
・水          大さじ3

【作り方】
①全ての材料を混ぜ合わせる
②電子レンジ500wで1分加熱する

 

2.野菜たっぷりサルサだれ

【材料】
・トマト       中1個
・玉ねぎ       30g(1/4個)
・レモン汁      大さじ2
・砂糖        小さじ1
・塩         少々
・こしょう      少々

【作り方】
①トマトは5mm角に切り、玉ねぎは5mmくらいのみじん切りにする
②①にレモン汁、砂糖、塩、こしょうを入れ、混ぜ合わせる