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栄養コラム

ドライプルーン

No.201

2020年9月1日

管理栄養士 小林真由子

ドライフルーツの中でも、比較的手に入りやすいドライプルーンは、食材との相性が良く、パンやお菓子、料理などに広く活用されています。そのまま食べるほかにも、フランスでは、ハムやチーズと巻いてピンチョスにしたり、モロッコでは肉や魚と煮込んで煮込み料理として食べられています。世界でも幅広く親しまれているドライプルーンの魅力についてご紹介します。

ドライプルーンについて

ドライプルーンの原料となる生のプルーンは、西洋プラムの一種であり、8月中旬から9月にかけて秋に旬を迎えます。中でもドライフルーツに適しているプラムのみをプルーンと呼びます。 プルーンの原産地である西アジア地方では、「生命の実」「ミラクルフルーツ」などと呼ばれるほど、栄養価が高い果物として重宝されており、ローマ時代初期から食用として珍重されてきました。 

 

ドライプルーンの特長

(1)糖質量が少ない                                  一般的にドライフルーツは糖質量が多いですが、その中でもドライプルーンは比較的糖質量が 少なめです。他のドライフルーツと比べると約6割程度です。 

               (日本食品成分表2015年版(七訂)より)

 

(2) 水溶性食物繊維が豊富                              プルーンは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を約50%ずつバランスよく含んでいます。中でもプルーンに多く含まれている水溶性食物繊維の「ペクチン」は、善玉菌を増やし、腸内環境を 整える効果があります。ほかにも、体内でコレステロールや糖分の吸収を抑え、コレステロール値を下げたり、血糖値の上昇を抑えたりする効果が期待でき、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防にも繋がります。

             (日本食品成分表2015年版(七訂)より)

 

(3)豊富な微量栄養素                                 ドライプルーンはビタミンが多く、ドライレーズンと比較するとビタミンAは110倍、ビタミンB群のナイアシンは3.7倍も含まれています。                      特に豊富なビタミンAは眼や喉などの粘膜や皮膚の健康維持に重要な役割を果たしており、 不足すると、風邪にかかりやすくなったり、肌が荒れやすくなったりします。また、ナイアシンにはアルコールの分解を助ける働きがあり、二日酔いを防いだり、血行を促進し肩こりや頭痛を改善する効果があると言われています。他にも、エネルギー代謝に関わるビタミンB1、B2、 むくみ改善に良いとされているカリウムなども含まれています。簡単な栄養補給として間食に 取り入れたり、飲み会が続く、疲れ気味などの際にドライプルーンを選んでみるのはいかがで しょうか。

 

ドライプルーンの適量 ※摂りすぎに注意※

他のドライフルーツより糖質が少なく食物繊維も豊富ですが、摂り過ぎてしまうと血糖値の急な上昇を招きます。プルーン1個(約10g)は約25kcalです。血糖値が高めの方や、カロリーが気になる方は1日約2個程度までに抑え、摂り過ぎには気を付けましょう。また、整腸作用もあるためお腹の調子を整えたい方は1日約3個が目安です。

 

ドライプルーンの活用例

①そのまま生で                                    刻んで野菜サラダやヨーグルトに加えることで食物繊維を多くとることができ、腸内環境の改善に繋がります。また、ドライプルーンの甘みとほのかな酸味が、野菜やヨーグルトと良く合います。

②ピューレにして                                   プルーンに含まれる天然の糖類 (ソルビトール、ペクチンなど)には、自然な甘味を付けたり、食材にしっとりとした食感(保湿性)を与えることに利用できます。そのため、ミキサーなどで ピューレ状にして、お菓子やパンに加えると、バターや油脂を加えたようななめらかな食感を 出したり、砂糖の代わりとして甘みを出したりと、低糖質低脂肪にヘルシーに仕上げることが 出来ます。食パンにつけるジャムの代わりや、油や砂糖の量を減らし、プルーンピューレを  料理に用いるのも良いでしょう。

③煮込み料理として                                  肉と一緒に煮込むとプルーンの持つ酵素が働き、肉が柔らかくなります。また、砂糖を使わなくてもプルーン本来の甘みと酸味が加わることで調味料の量を少なくしても美味しく仕上がり、 砂糖や塩分の量を減らすことができます。

 

ドライプルーンのおすすめレシピ

ドライブルーンに不足しているビタミンCが多い「さつまいも」と組み合わせた秋向けのレシピをご紹介します。本来熱に弱いと言われるビタミンCですが、さつまいもに含まれるビタミンCは熱で壊れにくいことが特徴です。また、疲労回復に良いとされるクエン酸を多く含むレモンも加え、これから寒くなっていく季節に向けて免疫力を高めるおすすめレシピです。

 ★さつまいもとプルーンのレモン煮(2人前)

さつまいも      130g (中1/2本)                       レモン       80g(中1/2個)        ドライプルーン     30g(3~4個)      砂糖         18g (大さじ2)   水          200g(1カップ)

①プルーンは水で戻しておく。                             ②さつまいもは8ミリ幅の輪切りにする。輪切りが大きい場合は半月切りにする。      ③レモンもさつまいもと同様に、8ミリ幅の輪切り、もしくは半月切りにする。       ④鍋に②③で切ったさつまいも、レモン、水、砂糖を入れ落し蓋をして弱火で煮る。     ⑤さつまいもに火が通り、爪楊枝で中心を刺し柔らかくなっていたら、プルーンを加え    さらに3分ほど煮る。                                 ⑥器に盛り付け、煮汁をかけて完成。

※作りたては酸味が強いですが、一晩置くとプルーンの甘さが染み出て酸味が和らぎます。  より酸味を出したい際は、お好みでレモン汁を追加するのもお勧めです。

 

★アレンジ・・・レモンをリンゴに変える                        リンゴにはプルーンと同じく「ペクチン」が多く含まれており、水溶性食物繊維を多く摂ることができます。酸っぱいものが苦手な方や、ダイエット中に少し甘味が欲しい方は、リンゴで甘さを出すと良いでしょう。また、リンゴを加えることで低カロリーでかさ増しができ、食べ応えもアップします。