3月に入り花粉症本格シーズンとなりました。また今年は新型ウイルスの流行もあり、個々人の体調管理が必要になりそうです。
近年、免疫力を高めるためには「腸」の働きが重要であることが明らかになっており注目されています。腸の働きを整えるためには、腸内での善玉菌の割合を多く保つことが重要なポイントですが、効率的に善玉菌を摂取する食品として発酵食品があります。
そこで今回は発酵食品の一つとしてよく知られているヨーグルトの中で、特定保健用食品として認められているヨーグルトの有効性について紹介したいと思います。
ヨーグルトの起源
ヨーグルトは、木桶や革袋に入れておいた乳に偶然入りこんだ乳酸菌によってできたのが始まりといわれています。紀元前数千年前、人間が牧畜を始めたころから作られており、世界各地で特色のあるヨーグルトが食べられていたようです。
主に、東ヨーロッパから中央アジア、北アフリカの遊牧民たちにより、羊・山羊・馬・牛などの乳から作られていました。生乳より保存性がよく、また、自然発酵により現在のヨーグルト状になったものを、動物性たんぱく質やビタミン、ミネラル源を含む貴重な日常の食糧として利用していたようです。
世界のヨーグルトの種類
日本でもすっかり定着し、頻繁に食べられているヨーグルトですが、世界にはたくさんの地域でヨーグルトが作られています。海外で食べられているヨーグルトをいくつかご紹介します。
①ブルガリア
日本では牛乳から作るのが一般的ですが、ブルガリアでは羊や水牛の乳からも作られています。主食として食卓に並ぶことが多く、また家畜の健康と豊饒を願う行事の日にヨーグルトを食べる文化があるなど、日本よりも食文化に強く根付いている食品だと言えるでしょう。
日本ではブルガリアから提供してもらった菌で製造している為、味の差はあまりないですが、羊乳から作るものは酸味と味が薄く、獣臭が強いヨーグルトになります。
②ギリシア
一般的なヨーグルトは乳を発酵させて作りますが、ギリシャヨーグルトはさらに「水切り」という行程を踏みます。そのため濃厚でクリーミーな食感のヨーグルトとなります。
日本の一般的なヨーグルトよりたんぱく質量が約2倍多いため、ギリシアでは肉や魚にも負けない栄養源として、毎日の食卓に並んでいます。野菜や肉料理にかけて食べたり、ソースにしたり食べ方は様々です。
③インド
インドのヨーグルトは、酸味が控えめで、粘りがなく、豆腐のように硬いのが特徴です。このようなヨーグルトになるのは、水牛の乳を原料として作られているためであり、日本のヨーグルトと大きく異なります。
インドでも食卓によく並び、サラダのソースや飲み物として親しまれています。インドヨーグルトを使って作られている飲み物が「ラッシー」です。日本でも身近な飲み物ですね。
このように世界には様々な特徴のヨーグルトが存在しています。
(参考:https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/yogurt/ )
特定保健用食品のヨーグルト
ヨーグルトといっても、巷のスーパーやコンビニでは様々な種類の商品が販売されていますが、
それぞれ違った働きを持つ「菌」が含まれています。そこで、消費者庁で「特定保健用食品」(通称「トクホ」)として登録されているヨーグルト商品を紹介したいと思います。
「特定保健用食品」とは、からだの生理学的機能などに影響を与える成分を含み、特定の保健の目的が期待できることが国の審査によって認められた食品を指します。
特定保健用食品に認められたヨーグルトには主な効果として大きく3つに分類できます。
Ⅰ:腸内細菌のバランスを整えて、おなかの調子を良好に保つ
LB81乳酸菌
Ⅱ:腸内の環境を改善し、おなかの調子を良好に保つ
ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・ラクティスBB-12)、ガセリ菌SP株(L.ガセリSBT2055)、ビフィズス菌SP株(B.ロンガムSBT2928)
Ⅲ:良い菌を増やし悪い菌を減らして、腸内の環境を改善し、おなかの調子を整える
乳酸菌シロタ株(Lカゼイ YIT 9029)、B.ブレーベ・ヤクルト株、乳酸菌ラクトバチルスGG株、ビフィズス菌
<トクホヨーグルトの有効性>
報告① 1日あたり100gの摂取を6週間続けることで、排便回数の増加が見られました。...(1)
また、1日当たり100gの摂取を2週間続けることで、適正な便性と考えられる「バナナ
状+半練状」の便の割合の増加が見られました。...(2)
(1)のグラフ
報告② 1日あたり80gもしくは150gの摂取を2週間続けた場合の比較を行うと、150gの摂
取でより排便量の増加が認められました。
報告③ 便秘・下痢双方の症状に対して、排便回数を正常化する効果が分かりました。
参考 ①https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/lb81/02/
②https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/53/3/53_133/_pdf/-char/ja
③https://www.yakult.co.jp/y400/about.html
Ⅳ:その他の働き
豆乳を原料としたヨーグルトには血清コレステロールの低下が期待でき、コレステロールが気になる方の食生活の改善に役立ちます。
難消化性デキストリンという食物繊維が含まれているヨーグルトには糖の吸収をおだやかにする効果があるため、食後の血糖値が気になる方の食生活の改善に役立ちます。
特定保健用食品に登録されているヨーグルトは約50種類にも及びます。ヨーグルトを買う際にトクホの表示を意識して購入し、継続して食べることで腸の働きを整える効果が期待できます。ぜひ、お店で探してみてください。
おすすめレシピ
ヨーグルトと食物繊維を一緒に摂取することは、「腸内に菌を届ける食品(ヨーグルト)」と「腸内で菌を育てる食品(食物繊維)」を同時に摂取することになります。これは「シンバイオティクス」と呼ばれ、片方の食品のみを食べるより、腸内環境の改善に繋がることがわかっています。
そこで今回はこのシンバイオティクスレシピとして、ヨーグルトとおからパウダーで作る白和えを紹介します。通常、白和えは豆腐を使いますが、ヨーグルトとおからパウダーを使うことで簡単に作ることができ、また豆腐で作るより食物繊維量も多くなります。そして具材をきのこにすることで、より多くの食物繊維を摂取できるようにしました。
生活習慣病予防として推奨されている成人の1食あたりの食物繊維量は約7gですが、このレシピの食物繊維量は1人前5.7gで、1食分推奨量の2/3以上をとることができます。また低カロリーなのでダイエット向きにもなるレシピです。
●ヨーグルトおからの白和え
【材料】(2人分)
・舞茸 100g(1パック)
・しめじ 100g(1パック)
・プレーンヨーグルト 60g(大さじ4)
・おからパウダー 10g(小さじ4)
・白すりごま 小さじ1
・めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1
・砂糖 小さじ1
・塩 ふたつまみ
・万能ねぎ 適量
【作り方】
1.ボウルにプレーンヨーグルトとおからパウダーを入れ、ディップ状になるまで混ぜておきます。
2.万能ねぎはさっと洗い、小口切りにします。
3.舞茸としめじは小房に分け、耐熱容器に入れてラップをし、600Wの電子レンジで1~2分程加熱します。
4.1に白すりごま、めんつゆ、砂糖、塩を混ぜ合わせます。
5.3を4に入れ、和えます。
6.お皿に盛り付け、上に万能ねぎを添えて完成です。
【アレンジ】
きのこ以外に、食物繊維が多く含まれるホウレン草や人参・サツマイモ・ひじきなどの野菜や海藻類を使うのも良いです。