ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

すき焼き

No.193

2020年1月6日

管理栄養士 板橋彩子

けましておめでとうございます。
2020年はいよいよ東京でオリンピックが開催され、印象に深く残る年になりそうで楽しみですね。
2020年の最初のコラムは、すき焼きについてご紹介します。すき焼きは、お正月やお祝いの時などに食べられることが多く、どんな世代にも親しまれている料理です。また、坂本九の「上を向いて歩こう」が英語タイトルで「SUKIYAKI」と名付けられるなど、「すき焼き」は日本を連想させる言葉となっており、天ぷらや寿司と並んで日本を代表する料理として知られています。


歴史

すき焼きは、江戸時代に農夫たちが農具の鋤の金属部分で魚や豆腐を焼いたことがはじまりと言われています。すき焼きの語源は、この鋤で焼くことから「鋤焼き(すきやき)」と呼ばれるようになったという説が有力ですが、他にも肉を薄く切った剥き身の肉を使うから「剥き焼き(すきやき)」と言われるようになったという説もあり、語源の由来には諸説あります。

日本では、江戸時代まで肉を食べることは禁止されていましたが、明治に入り明治天皇が牛肉を食べたことをきっかけに肉食が解禁され、肉を食べることが文明開化の象徴と考えられ牛肉が食べられるようになり、関東では平鍋にお肉や野菜を入れて割り下で煮る「牛鍋」が流行しました。一方関西でも、鉄鍋で肉を焼いてから鍋で調味料を入れて味付けする「すき焼き」が楽しまれていました。

ところが、関東大震災をきっかけに関東の牛鍋屋が次々と姿を消してしまい、関西のすき焼きが関東に伝わるようになります。すると、関東の牛鍋が次第にすき焼きと呼ばれるようになり、現在では関東でも関西でも「すき焼き」と呼ばれています。


関東と関西のすき焼きの違い

すき焼きは調理法によって「関東風」と「関西風」に大きく分けられます。
「関東風」と呼ばれるすき焼きは、醤油やみりん、砂糖、酒などを合わせて作る「割り下」を使用することが大きな特徴となっています。割り下をあらかじめ鍋に入れておき、肉や豆腐、野菜類、白滝などの具材を一緒に煮ていきます。
「関西風」のすき焼きは、関東風のように煮るのではなく焼いて食べるのが一般的な調理法です。そのため「割り下」は使用しません。まず、鍋に肉を入れて火を通し、砂糖や醤油で味付けをしてから水気の多い野菜や豆腐などを鍋に加えていきます。具材からの水分で調理されるので、煮詰まってきたら酒や水を加えて味を整えます。
以上のように、関東風と関西風では調理法に違いはありますが、溶き卵をつけて食べることは共通しています。


すき焼きの魅力

(1)野菜がたくさん摂れる

すき焼きは、野菜がたっぷり含まれているので、普段野菜が不足気味だったり、野菜を食べる機会が少ない人に特におすすめです。緑黄色野菜(春菊やにんじんなど)と淡色野菜(ネギや白菜など)どちらも食べられるというのも嬉しい点です。
野菜は1日350gを摂取することが推奨されており、1食あたり約120gとなりますが、平成29年度国民健康・栄養調査によると、日本人の野菜摂取は1食あたり成人男性で98g、成人女性で94gと男女ともに推奨量には程遠い摂取量となっています。すき焼きは、1人前で150gの野菜を摂ることができ、1食当たりの推奨量を優に超える量を摂ることができます。

(2)たんぱく質がしっかり摂れる

すき焼きは、肉、卵、豆腐と複数の食品からしっかりたんぱく質を摂ることができます。たんぱく質は、3大栄養素の1つで、体の筋肉や、体内で働くホルモン、酵素、免疫物質を作る材料となる非常に重要な栄養素です。
たんぱく質の推奨量は、1食当たり成人男性で21.7g、成人女性で16.7gです。すき焼き1人前当たりでは28.5gのたんぱく質が摂れるので、成人男性、成人女性の推奨量を十分に満たすたんぱく質を摂ることができます。

(日本人の食事摂取基準(2020年版)より)

(3)食べられる食品の種類が多い

すき焼きは、1食で食べられる食品の種類が多いことも魅力の1つです。すき焼きの一般的な具としては、肉・ねぎ・春菊・白菜・にんじん・しらたき・えのき・しいたけ・豆腐・麩などがあり、付けて食べる卵も含めると1回のすき焼きで食べられる食品の種類は10種類以上にもなります。

また、どんな食材でも合うというのも良い点です。例えば、すき焼きの肉は牛肉を使用するイメージがありますが、豚肉や鶏肉でもおいしく食べられます。野菜類に関しても、地域によってはたまねぎ、大根、ごぼう、トマト、じゃがいもなどを入れるところもあるようですので、その時の旬の食材を入れて楽しむのもおすすめの食べ方です。

この冬は手軽な食材で、家族や友人と温かく栄養のあるすき焼きを食べる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。


おすすめレシピ

余ったすき焼きはアレンジして活用しましょう。ごはんとトマト缶で手軽に作れる、洋風のリゾットにアレンジしたレシピをご紹介します。

●余ったすき焼きでトマトリゾット
【材料・分量(1人分)】
・ごはん        150g
・余ったすき焼きの具  80~100g
・トマト缶(ダイスカット) 130g(1/3缶)
・水          50ml
・コンソメ       小さじ1/2杯
・スライスチーズ    1枚
・バター        小さじ1
・にんにく       1/2カケ
※トッピング用
・粉チーズ       適量
・乾燥パセリ      少々

【作り方】
1.にんにくは、みじん切りにしておきます。
2.温めたフライパンにバターを敷き、にんにくを焦がさないように炒めます。
3.余ったすき焼きの具、トマト缶、水、コンソメを加え、全体を馴染ませます。
4.ご飯を入れて水気が無くなるまで煮込みます。水分が飛んだら火を止め、スライスチーズを手で小さくちぎりながら入れ、混ぜ合わせます。
5.お皿に盛り、トッピング用の粉チーズと乾燥パセリを散らして完成です。