12月に入り急に寒さが厳しくなってきましたね。街はすっかりクリスマス風景となり、イルミネーションも冬の寒さで綺麗に輝き、クリスマスが待ち遠しく感じます。皆さんはクリスマスにどのようなケーキを食べますか?今回はクリスマスケーキについてのお話です。
各国の代表的なクリスマスケーキ
日本のクリスマスケーキといえば、スポンジケーキを土台にホイップクリームが塗られ、上にいちごやチョコプレート、サンタのシュガードールなどが乗っている「ショートケーキ」が主流で、クリスマスになるとクリスマス仕様のショートケーキがお店に並んでいるのをよく見かけますね。他の国では、どのようなクリスマスケーキを食べているのでしょうか。世界の代表的なクリスマスケーキをご紹介します。
●フランス「ブッシュ(ビュッシュ)・ド・ノエル」
フランス語で「ブッシュ」は切り株、「ド・ノエル」はクリスマスの意味を
持ち、ロールケーキの周りにココアパウダーで茶色くした生クリームを塗り、
切り株のような形をしたクリスマスケーキがフランスでは有名です。
メレンゲでつくったキノコなどを飾り付けたりします。
●ドイツ「シュトーレン(シュトレン)」
周りが粉糖で真っ白に覆われたパウンドケーキのような形で、ブランデー
などの洋酒に漬け込んだドライフルーツやナッツ類が生地に練り込んで焼
かれたずっしりと重いパン菓子のようなケーキです。ケーキというには珍し
いほど日持ちがするため、ドイツでは11月末頃から切り分けて食べ始め、
クリスマス気分を盛り上げているそうです。
●イギリス「クリスマスプディング」
日本人が一般に想像する「プリン」とは大きく異なり、ブランデーなどの
洋酒に漬け込んだドライフルーツやアーモンドなどのナッツ類がぎっしりと
入り、ねっとりとした食感で、濃厚なお酒の味がする濃い茶色のケーキです。食べる前にブランデーをかけて火をつけた後に食べます。昨年の後半から今年の春にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説「マッサン」で、マッサンとエリーが結ばれたときのケーキや、ハリーポッターの秘密の部屋で出てきたケーキがこのクリスマスプディングです。
日本やフランスは、スポンジケーキに生クリームを使用した生菓子なのに対し、ドイツやイギリスでは、ブランデーなどの洋酒に染み込ませたドライフルーツを利用した焼き菓子のようなものが一般的のようです。
ドイツのクリスマスケーキ「シュトーレン」について
シュトーレンは日持ちすることが特徴で、贈りものや持ち運びに便利なことから、近年日本でもクリスマスの定番ケーキとなってきており、12月頃になると店頭に並び始めます。シュトーレンは焼き菓子でケーキの一種ですが、強力粉も合わせて使用して作るためパンにも似ており、パン屋さんで販売されていることが多いようです。
●シュトーレンが日持ちする理由
【1】ドライフルーツ+ブランデーなどの洋酒が使用されているドライフルーツはそのままでも日持ちする食材です。これに菌の繁殖を抑えるアルコール成分のブランデーなどの洋酒をたっぷり染み込ませることによって、更に日持ちするようになります。長期保存することで、フルーツの風味やブランデーの味が生地へと移り、日ごとに味が変わり熟成されておいしくなるので、
まさに一石二鳥です。
【2】周りがバターと砂糖でコーティングされている
周りにバターを塗り油脂膜としてコーティングすることで、生地の乾燥を防ぎます。さらに、酸化しやすいバターの上に粉糖をたっぷりかけ、砂糖でコーティングすることで酸化を防ぎ、保存性に優れた食品になります。
シュトーレンは、クリスマスの1ヶ月前から少しずつ食べるので、長期保存ができるように工夫して作られており、1~3ヶ月くらいの保存が可能です。かつて冷蔵庫がない時代からシュトーレンは食べられており、長期的に保存するための知恵が詰まったケーキです。
シュトーレンの食べ方
日本のケーキは、生クリームを利用したクリスマスケーキが一般的で、料理最後のデザートのクリスマスケーキが醍醐味とされ、クリスマスの当日にケーキを食べることが楽しみとなっています。しかし、ドイツのケーキ「シュトーレン」は、クリスマス前のアドイベントとして1ヶ月くらい前から作成して少しずつ食べるケーキとされています。そのため、クリスマス当日は、ケーキよりもディナー料理の食事を中心として楽しむため、日本のように生クリームを使用した豪華なケーキではなく、焼き菓子のようなケーキを食べることが多いようです。ケーキからも食習慣の違いが良くわかりますね。
●切り方と保存方法
食べるときは半分に切り、中央から1枚ずつ切り取って食べます。そして食べる分を切ったら、切り口面を合わせてラップでしっかり包み、その上からアルミホイルを包んで保存します。できるだけ湿気のない、乾燥した冷暗所に置きましょう。
●トッピング
そのまま食べてもおいしいですが、一味変えたいときにおすすめのトッピングです。
・クリームチーズ
甘めのシュトーレンに、クリームチーズを加えることで、チーズに含まれる塩味と甘味の相乗効果でおいしさが増します。朝食時におすすめです。
・生クリーム
洋酒が効いたシュトーレンには生クリームを加えてもおいしい一品になります。午後のデザートにおすすめです。
おすすめレシピ
電子レンジを活用し、短時間で作れるシュトーレンをご紹介します。通常よりも発酵時間を約1時間短縮することができます。
●シュトーレン
【材料】(25cm1本分)
[生地]
・強力粉 ・・・180g
・薄力粉 ・・・20g
・ドライイースト ・・・6g(小さじ2)
・砂糖 ・・・20g(大さじ2強)
・塩 ・・・2.4g(小さじ1/2弱)
・牛乳 ・・・40cc(大さじ1.5強)
・卵 ・・・Mサイズ1個
・水 ・・・30g(大さじ2)
・バター(無塩) ・・・50g
・シナモン ・・・5ふり
・くるみ ・・・20g
・ドライフルーツブランデー漬け
a.ドライミックスフルーツ ・・・80g
b.ブランデー30cc(大さじ2)
(・打ち粉)
[仕上げ]
・溶かしバター ・・・約20g
・粉糖 ・・・適量
【下準備】
(1)耐熱容器(またはレンジで使える器)にドライミックスフルーツ、ブランデーを入れ、
ラップをしてレンジ600 Wで1分程温め、ブランデー漬けにしておきます。
(2)強力粉と薄力粉は合わせて振るっておきます。(以下:粉)
(3)卵と水を合わせてよく混ぜておきます。
(4)大きめの耐熱ボールに牛乳とバターを入れ、レンジで30秒程温めてバターを溶かしておき
ます。
【作り方】
[生地]
1.温めた牛乳とバターに卵水を入れて混ぜます。
2.1にドライイーストと砂糖を加えて、泡だて器で良く混ぜた後、塩と粉1/3量を加えてさら に混ぜます。
3.残りの粉を加えて菜箸で混ぜ全体が混ざったら、ブランデーに漬けたドライフルーツとくる み、シナモンを入れて手で軽く混ぜます。
[一次発酵]
4.生地を一塊にし、ラップをしてレンジ弱(150~200W)で30秒加熱します。
※30秒以上加熱するとイーストが働かなくなるので、注意しましょう。
5.打ち粉をした台に生地を取り出し軽くまとめ、塗らしたキッチンペーパーをかけて室温で20 ~30分程生地をねかせます。
★指に粉をつけて生地に穴を開け、指を抜いても穴がそのままの状態であれば一次発酵完了
です。
[形成]
6.一次発酵した生地を軽く押さえてガス抜きをし、再度ひとつに丸めて楕円形にめん棒で伸ば した後、半分折りにしてシュトーレンの形に整えます。
[二次発酵]
7.耐熱皿にクッキングペーパーを敷き、形成した生地をのせラップをかけ、レンジ弱(150~ 200W)で30秒加熱します。
8.耐熱皿を取り出し、クッキングペーパーごと生地を天板に移し変え、生地の上に塗らしたキ ッチンペーパーをかけて室温で10~15分程ねかせます。
★1.5倍くらいの大きさに生地が膨らんだら二次発酵完了です。
※二次発酵中にオーブンを180℃で予熱しておきます。
[焼き]
9.180℃のオーブンで約15~20分焼きます。
[仕上げ]
10.焼きあがったら、仕上げ用の溶かしバターを全体にまんべんなく塗ります。
11.全体に粉糖をかけたら完成です。
※ブランデーの味を強くしたい方は、2~3日前からドライフルーツを漬けておくとしっかり味が染み込みます。