ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

TEL. 03-3962-5100

栄養コラム

あずき(小豆)

No.181

2019年1月7日

管理栄養士 田口瑛里沙

あけましておめでとうございます。
今年は年号が変わるので、変化のある年になりそうですね!
皆さんは、お正月の後に小正月があるのはご存知ですか。1月15日が小正月といわれ、主に東北地方や北陸地方では家族の無病息災を願って「あずき粥」を食べる習慣があるそうです。おめでたい席で食べるイメージのある「あずき」ですが、今ではコンビ二やスーパーなどでもあずきを使った赤飯や和菓子などが簡単に食べられます。そこで今回は、あずきについてお話します。


あずきの歴史

あずきは縄文時代の遺跡から発見されるなど、とても歴史のある食材です。食用としてはもちろんお手玉や枕の詰め物、温めて袋に入れてカイロとしても使われ、日本の生活文化に深く根付いています。あずきの赤は魔よけの力があるとされ、行事や儀式で重用されるようになり、日本では平安時代から小正月にあずき粥を、江戸時代から行事の席で赤飯を用意するようになったといわれています。日本の伝統的食文化として古くから親しまれ、今もなお食べ続けられているあずきには多くの魅力があります。


あずきの栄養

豆類であるあずきは栄養が豊富なため、料理に追加することで様々な栄養が補われます。また、あずきは昔から漢方としても親しまれており、健康効果も期待できる食品です。

(1)たんぱく質

豆類の仲間なので、たんぱく質が豊富です。たとえば、白ご飯にあずきを入れて「あずきご飯」にするだけで、たんぱく質は約1.4倍になります。(※茶碗1杯分のごはんのうち、あずき量は約1.5割)
たんぱく質は、皮膚や筋肉、臓器などの体をつくるために重要な栄養素なので、不足せずとりたいところです。現代人は全年代で20年前よりたんぱく質の摂取量が減少傾向にあります。特に痩せ型の若い女性や高齢者、働き盛りの男性が不足しがちといわれているので意識してとると良いでしょう。
ご飯などの主食は血糖値が上がりやすいので、たんぱく質も一緒にとると急激な血糖値の上昇を抑え、さらに腹持ちも良くなります。また、主食からたんぱく質がとれると、おかずとプラスしてよりたんぱく質が補えます。コンビ二などでおにぎりを買うときは赤飯おむすびもおすすめです。

(2)食物繊維

あずきの皮には食物繊維が多く含まれています。そのため、白ご飯とあずきご飯を比較すると約6.4倍もあずきご飯の方が食物繊維が多くとれます。(※茶碗1杯分のごはんのうち、あずき量は約1.5割)
食物繊維は、大腸内で分解されるとビフィズス菌が増えて腸内環境が改善され、整腸作用によい成分です。特にあずきに含まれている食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して膨らむため、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を整えて腸を健康にしてくれます。「第二の脳」ともいわれる腸を健康にすることは、全身の健康に影響を与えるため、積極的にとりたい成分です。また、繊維質でよく噛んで食べることにも繋がるので、早食いによる食べすぎを防止できます。

(3)ポリフェノール

あずきの赤色は、赤ワインと同じポリフェノールの成分で、赤飯を作ったときに白米が赤く染まるのは、このポリフェノールの色がお米に浸透しているからです。ポリフェノールは、赤ワインに多く含まれていることが有名ですが、あずきは赤ワインの1.5~2倍も多く含まれているといわれています。強い抗酸化作用があり、体に悪影響を及ぼす活性酵素を除去し、生活習慣病予防など健康に良い効果が期待されています。


あずきの活用

あずきは甘い味付けにするイメージがあり、すり潰して砂糖を加えて“餡子(あんこ)”として食べることが多いと思います。最近では、健康意識の高まりから豆を積極的にとろうと、赤飯やあずき粥のように甘くしないあずきの食べ方も増えてきました。お店では、甘いゆであずきだけでなく、無糖のゆであずきの缶詰などもあります。余ったあずきがあれば普段の料理に追加することもおすすめですので、活用方法を少しご紹介します。

◆米料理に追加
炊き込みごはん、リゾット、ピラフ、チャーハン など

◆おかずの具に追加
カレー、シチュー、チリコンカン、餃子、白和え、サラダ、マリネ など

◆スープに入れる
ミネストローネ、野菜スープ、ポタージュスープ など

◆焼き菓子に追加
パンケーキ、パウンドケーキ など


あずきのゆで方

あずきを一度に多くゆでて保存しておくと、様々な料理にすぐ使えるので便利です。鍋で普通にゆでるだけでなく、圧力鍋を使ったり、保温ポットや炊飯器を使ってもあずきがゆでられます。今回は炊飯器を使ったゆで方をご紹介します。

【材料】
・あずき(乾) ・・・1カップ(160g)
・水 ・・・3カップ(600cc)

【ゆで方】
1.あずきを水で洗います。
2.炊飯器に1と水を入れて、炊飯のスイッチを押します。
3.炊飯が完了したらゆであずきのできあがりです。
※1粒食べて、まだあずきが硬いようでしたら、もう一度炊飯しましょう。


ゆであずきの保存方法

ゆでたあずきは冷蔵または冷凍で保存ができます。

【冷蔵保存】
プラスチックの容器やタッパー、ビンなど蓋つきの密閉容器で保存しましょう。おおよそ1週間は保存が可能です。

【冷凍保存】
一回で使いきれる量をラップで小分けに包み、ジッパー付きのビニール袋に入れて保存しましょう。おおよそ1ヶ月は保存が可能です。使用する際は、自然解凍させるか、またはスープなどの加熱する料理であれば凍ったまま使用しましょう。


おすすめレシピ

あずきを使ったチリコンカンをご紹介します。チリコンカンはアメリカで親しまれている国民食で、ひき肉と豆をトマトソースでピリ辛に煮込んだ料理です。本来は大豆や赤えんどう豆を使用することが多いですが、あずきを使うと柔らかく、ペースト状にもしやすいので、歯が悪い方やご高齢の方などでも食べやすいチリコンカンです。

●柔らかあずきのチリコンカン

【材料】(2人分)

・ゆであずき ・・・2/3カップ強(約100g)
・牛肉(こま切れ) ・・・100g
・たまねぎ ・・・1/4個
・にんじん ・・・1/4本
・にんにく ・・・1かけ
・チリパウダー ・・・小さじ1杯
・クミンパウダー(またはカレー粉) ・・・小さじ1杯
・赤ワイン ・・・1/2カップ
・カットトマト ・・・1/2缶
・ケチャップ ・・・大さじ2杯
・ウスターソース ・・・小さじ1杯
・コンソメ ・・・小さじ1杯
・塩 ・・・少々
・こしょう ・・・少々
・オリーブオイル ・・・大さじ1/2杯
(・クラッカー ・・・お好みで)

※ゆであずきは、乾燥あずきをゆでたものでも、赤飯用の無糖ゆであずきでも構いません。

【作り方】
1.たまねぎ、にんじん、にんにくをみじん切りにし、牛肉は大きければ小さく切ります。
2.フライパンにオリーブオイルと、にんにくを入れて炒め、香りが出てきたら、たまねぎと
  にんじんを入れてさらに炒めます。
3.たまねぎがしんなりしてきたら牛肉を入れて炒め、牛肉に軽く火が通ったらチリパウダーと
  クミンパウダー(またはカレー粉)を加えて、全体にからむように炒めます。
4.3に赤ワインを加え、ひと煮たちさせたら、ゆであずき、カットトマト、ケチャップ、
  ウスターソース、コンソメ、塩、こしょうを入れて軽く混ぜながら15~25分ほど煮ます。
5.汁気がなくなってきたら完成です。

【アレンジ】
・にんじん以外に、ピーマンやマッシュルームなどにしても違った味わいが楽しめます。
・牛肉は、ひき肉に変えるとさらに細かくなり食べやすいです。
・クラッカーと一緒に食べてもおいしいですが、トルティーヤに挟んだり、バケットや
 コーンチップスなどに乗せて食べるのもおいしいです。