最近は、天候不良により野菜の価額高騰が続いていますね。そのような中でも常に価額が安定している野菜の一つが「もやし」です。もやしは、屋内で人工栽培されているため天候には左右されず、価額の変動がほとんどありません。また、栽培期間は1週間ほどで大量に生産できることから、他の野菜に比べて安価です。そのため普段からよく食べている方も多いのではないでしょうか。今回は「もやし」についてお話します。
もやしの種類
もやしにはいくつか種類がありますが、中でも代表的なものが以下3つです。
●緑豆もやし
原料は「緑豆」で、主に中国やミャンマーから原料を輸入しています。現代の日本では、最も生産量が多いもやしで、値段が安く大量に売られているもやしのほとんどが緑豆もやしです。茎は白く、やや太めで、もやしの中でも水分が多いため、シャキっとしたみずみずしい食感が特徴です。クセのない味で、炒め物や和え物、鍋などの具に使うことがおすすめです。
●ブラックマッペ(黒豆もやし)
原料は「黒緑豆」で、主にタイやミャンマーなどから輸入しています。日本で緑豆もやしが生産される前までは、ブラックマッペが主流で食べられていました。緑豆もやしに比べると細めの茎で少し固めの食感が特徴です。火を通してもシャキっと感が残りやすく、焼そばやお好み焼きなどの鉄板焼、ラーメンのトッピングなどに多く使われています。
●大豆もやし
原料は「大豆」で、アメリカやカナダ、中国などから輸入しています。茎が太めで豆がついているのが特徴で、歯ごたえがあり、豆の旨みが味わえ、他の2つよりもたんぱく質や食物繊維、カリウムが多く含まれています。韓国料理のナムルやチゲによく利用されていて、サラダやスープ、和え物などの料理と相性が良いです。
もやしの栄養的特徴
もやしは「野菜」ですが、豆から発芽したものなので、豆の栄養と野菜の栄養を共に含む食品で、野菜の中でも優れた特徴があります。
【特徴1】たんぱく質を含む
原料が豆類のもやしには、野菜に少ないたんぱく質が多く含まれています。特に豆がついたままの大豆もやしに最も多く含まれ、キャベツと比較すると約3倍、レタスでは約6倍にもなります。
たんぱく質は、皮膚や筋肉、血管など体をつくるために重要な栄養素です。料理にもやしをプラスするとたんぱく質を補うことに繋がります。
【栄養成分(100g中)】
(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)
【特徴2】食物繊維がとれる
もやしは軽くゆでて食べる野菜なので、生で食べる野菜に比べると、1食分の食物繊維量を多くとることができます。例えば、生野菜サラダでよく食べるレタスと比べると約2倍です。
食物繊維は、不溶性と水溶性のものがあり、もやしは前者の不溶性の割合が多く、腸内で水分を吸収して便の嵩を増すため、腸の蠕動運動を活発にして便通を良くしてくれたり、有害物質を便と一緒に体外に排泄し腸内環境を整えるなどの効果があります。食物繊維が不足しているときに追加する野菜として、もやしを選ぶのも良いでしょう。
【1食あたり】
※もやしは緑豆もやしにて計算
(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)
【特徴3】豆よりビタミン類が多い
豆から発芽したもやしは、豆に比べると様々なビタミン類が増加しています。特にビタミンCは豆にはほぼ含まれていないですが、もやしに発芽すると増加します。また、その他のビタミン類の中では、葉酸が約2倍、ビタミンKが約8倍で最も増加しています。
ビタミン類は、他の栄養素が効率よく働くように手助けをしています。ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンで皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。葉酸は、赤血球の生成を助けて血液をつくる働きがあるため貧血予防になり、ビタミンKは、骨の健康維持に不可欠で、骨の形成を促し、骨粗鬆症予防に良いビタミンです。
【栄養成分(100g中)】
(※)Tr(微量)
(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)
もやしの活用
もやしはクセがないため、他の食材と一緒に合わせやすく、様々な料理に活用できます。また、もやしの成分は約95%が水分で低カロリーなため、料理に追加することでカロリーを抑えて全体のボリュームを増すことができます。さらにもやしは食感がよく歯ごたえもあるので、食べすぎ防止に繋がります。
●カロリーや糖質を抑えたいときに活用
もやしはたんぱく質を適度に含み、カロリーや糖質(炭水化物)が少ないため、ご飯を半分もやしに変えるとカロリーや糖質を抑えられます。例えば、チャーハンのご飯半分をもやしに変えると、ボリュームは変わらずカロリーは約190kcal、糖質は約40gの削減に繋がります。ダイエット中の方や、夜遅い夕食なるときは、ご飯を減らして代わりにもやしを追加して食べるのも一つの方法です。
【栄養成分】
エネルギー(kcal) | 炭水化物(g) | |
通常のチャーハン | 645 | 98.7 |
ご飯1/2+もやしのチャーハン | 454 | 55.7 |
(食品標準成分表2015年版(七訂)追補2016年より)
●購入した惣菜と混ぜて活用
お店やコンビ二で購入した惣菜は、味が濃いものが多いため、もやしを追加すると塩味を抑えることに繋がります。さらに、低価格で1品のボリュームを増やすことができるので、おすすめの活用法です。ゆでたもやしをストックしておくと、すぐに使えて便利です。
追加方法例) 肉などの炒め物
野菜などの和え物
サラダ(野菜サラダ、ポテトサラダ、マカロニサラダなど)
もやしの保存方法
水分の割合が多いもやしは、鮮度が失われやすく日持ちがしづらい野菜です。少しでもおいしいまま食べられるように保存していきましょう。
①冷蔵庫で保存
低温で保存すると水分が出づらく日持ちします。野菜室ではなく冷蔵庫またはチルド室に入れておくと比較的鮮度を保ったまま保存できます。2~3日ほどで食べきりましょう。
②水につけて保存
蓋付きの保存容器に、もやしと、全体が浸るくらいの水を入れて冷蔵庫で保存します。毎日水を変えながら保存すると、1週間ほどシャキシャキ感を維持したまま保存できます。
③冷凍保存
保存用の袋に入れて冷凍庫に保存します。未開封の場合は、包装のまま冷凍庫に入れても良いでしょう。2週間ほど保存可能ですが、冷凍するとシャキシャキの食感がなくなるので、汁物や和え物などに使用するのがおすすめです。
④ゆでて保存
すぐに使用しない場合は、ゆでて保存するとより日持ちします。ゆでるときはさっと火を通すとシャキっと感が残ります。緑豆もやし、ブラックマッペは10~15秒、大豆もやしは3~5分ほどゆでるのが目安です。さらにゆでたあと水にさらすと水っぽくなるので、バットなどの平らな容器に広げて冷ましましょう。
もやしのおいしい食べ方
もやしには、「ひげ根」と呼ばれる細い根がついています。このひげ根を取り除くともやし臭さがなくなり、口当たりがよくなるため、そのまま食べるよりおいしいといわれます。もやしの白さが強調され、見た目も良いため、中華料理屋などのお店では、もやしのひげ根をとって調理しているところが多いです。少し手間はかかりますが、もやし本来のおいしさが味わえます。
おすすめレシピ
もやしの特徴をより強化したレシピをご紹介します。切り干し大根を組み合わせて食物繊維量をアップさせ、さらにツナ缶をプラスして、1食分の1/3のたんぱく質が補えるようにしました。レンジで簡単にでき、もやしや切り干し大根の歯ごたえを残した食べ応えのある1品です。
●歯ごたえばっちり!もやし和え
【材料】(2人前)
・緑豆もやし ・・・1/2袋
・切り干し大根 ・・・15g
・かいわれ大根 ・・・小1/4パック(約10g)
・ツナ缶 ・・・1/2缶
[合わせ調味料]
・すりごま ・・・大さじ1
・砂糖 ・・・小さじ2
・しょうゆ ・・・小さじ2
・酒 ・・・小さじ2
【下処理】
(1)緑豆もやしは、水につけて軽く洗い、ひげ根を全てとります。
※ひげ根をとるのが大変な場合は、とらずに調理しても構いません。
(2)合わせ調味料を全て合わせて、混ぜておきます。
【作り方】
1.ボウルに水を入れ、切り干し大根をほぐしながら軽く洗い、食べやすい大きさに切ります。
2.かいわれ大根は、根の綿を切り落とし、2等分の長さに切ります。
3.耐熱容器に緑豆もやしを入れ、空気が通るように少しすき間を空けてラップをし、600Wの
レンジで約2分加熱します。
4.3に1の切り干し大根、2のかいわれ大根、ツナを入れ軽く混ぜます。
5.4に合わせ調味料を入れ、全体をよく混ぜたら完成です。
※もやし1袋分使って、常備野菜料理として、保存しておくのも良い方法です。
その際は、分量やレンジの加熱時間が記載内容の2倍になります。
【アレンジ】
・卵と合わせてオムレツにすると、よりたんぱく質量を増やすことができ、歯ごたえのある
オムレツになります。たんぱく質と野菜が不足しやすい朝食にはおすすめです。
・レタスなどの葉物野菜と合わせて、サラダにしてもおいしくいただけます。