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栄養コラム

黒豆

No.52

2007年12月3日

国立健康・栄養研究所認定 栄養情報担当者(NR)  管理栄養士 杉田 恭子

早いもので2007年も残り1ヶ月を切りました。
昔は年末になると、各家庭で、様々な食材を買い込み、おせちの準備などに時間をかけたものですが、
最近では、デパートやスーパーなどにおせち料理のパンフレットがたくさん並び、数万円もする
料亭おせちがすぐに売れ切れるなど、「作る」ものから「買う」ものに変化しているようです。
その一方で、お正月の三が日でもスーパー、飲食店とも営業している店が多いので、保存食である
おせち料理を食べない方も増えているようで、伝統行事としてのお正月の形も段々と変化している
ようです。
「おせち」については、No.30にてご紹介しておりますので、今回はおせち料理の定番、
「まめ(健康)に暮らせるように」という意味で食べる「黒豆」 に注目してみたいと思います。
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黒豆は薬?!

黒豆は、大豆の品種のひとつで「黒大豆」とも呼ばれています。原産は中国
nodoといわれており、栽培の歴史は5000年にも及ぶそう。中国では古くから薬膳料理でも活用されており、日本でもぜんそくやせき止め、たん切りなど「のど」に関連した症状に効果があるとして民間療法などでも珍重されてきました。
これは黒豆をはじめとする大豆製品に多く含まれる「サポニン」の効果によるもの。
サポニンには「たんを切る」働きがあり、現在では「鎮咳去たん薬」として
サポニンが配合されている薬もあります。
風邪を引きやすいこれからの季節には「うがい」「手洗い」、そして「黒豆」
の摂取も心がけてみては・・・?


黒豆といえば・・・丹波の黒豆!

黒豆といえば、「丹波の黒豆」が有名ですね。丹波の黒豆は他の黒豆と比べて、大粒でしっかりとしていて、皮のツヤやハリも抜群です。
江戸の頃は将軍家への献上品であり、明治以降は宮内省の御用達でもあるようです。
これほどの高い評価を得られる黒豆が生産できた理由としては、丹波の環境が昼夜の寒暖差が激しく黒豆の実が締まりやすいこと、黒豆の栽培に適している粘土質の黒土という環境であったことがあげられます。


女性に嬉しい成分がいっぱい?!・・・黒豆の栄養

黒豆は大豆の一種ですので、たんぱく質、鉄、カリウムなどが豊富に含まれています。
その他にも特長的な成分が多く含まれていますので以下にご紹介いたします。

●イソフラボン
大豆の一種ですのでイソフラボンが豊富。女性が心配な更年期障害・骨粗鬆症の予防に効果的です。

●リノール酸
リノール酸が多く含まれています。リノール酸はコレステロールなどの血中脂質を減らす効果が期待できます。ただし、とり過ぎると善玉コレステロール(HDLコレステロール)も減少させてしまいますので注意が必要です。

●アントシアニン
大豆には無い黒豆特有の成分としては「アントシアニン」があります。アントシアニンはポリフェノールの一種で、黒豆の色を作っている色素です。
アントシアニンは活性酸素の生成を抑え、老化防止に役立ちます。また、活性酸素の抑制により、動脈硬化や血栓症も防ぎやすくなるため、脳血管障害、虚血性心疾患などにも効果があると言われています。ヨーロッパでは、脳血管障害の医薬品成分としてアントシアニンが使われているようです。

また、アントシアニンは視神経の働きを調整するロドプシンという色素のzyuketu
再合成を促す働きがあります。
パソコン作業やデスクワークで疲れ目が気になる場合にアントシアニンを摂取するとロドプシンの再合成が促され、疲れ目が軽減されやすくなります。

[最新研究情報!]
煮豆を扱っている某老舗食品メーカーから発表された最新研究によりますと、黒豆に含まれているアントシアニンの90%も占めている「シアニジン 3-グルコシド」に脂質代謝促進、内臓脂肪型肥満を抑える効果が見られたということです。
研究対象は過食による内臓脂肪蓄積、高血糖、高脂血症などを自然発症するマウスで、そのマウスに餌の量は変えずに「シアニジン 3-グルコシド」を与えたところ、内臓脂肪の蓄積や体重増加、脂肪肝が抑制されたということです。今後益々の研究を期待したいですね。


黒豆商品多種多様!

昨年位より黒豆ブームに火がつき、最近では様々な黒豆商品が販売されています。
中には生産が追いつかないほどの売れ行きのものも・・・。
代表的な黒豆商品について、特徴をご紹介致します。

●黒豆茶
黒豆を焙煎して作っています。普通のお茶同様に、お湯を注いだ抽出液をuron_kyusuいただきます。
抽出されたお茶にはサポニンやアントシアニンが。さらに抽出した後の豆も食べれば、黒豆の栄養も丸ごととることができます。
またノンカフェインですので、これからの寒い夜、体を温めてから就寝したい際にも
ピッタリです。

●黒豆コーヒー
焙煎した黒豆とコーヒーをブレンドした商品が多いようです。
レギュラーコーヒーのようにコーヒー豆と黒豆を挽いた粉にお湯を注いで抽出液を飲むもの、
インスタントコーヒーに黒豆の粉末をブレンドして、お湯を注ぐだけで飲めるものなど様々な商品が出ています。
より健康効果を得たいのであれば、後者の方が黒豆を丸ごととることができるので
宜しいでしょう。
ただし、コーヒーが加わることでカフェインがプラスされますので、cafe3
カフェインが苦手な方は控えた方が宜しいかもしれません。

●黒豆ココア 
粉状に挽いた黒豆とココアをブレンドしているので、黒豆を丸ごととることができます。
一時はスーパーの棚から消えてしまうほどの人気商品になりましたね。 kokoa
黒豆と一緒に、こちらも健康効果期待できるココアを取れるのが魅力。
ココアに含まれる「カカオポリフェノール」には動脈硬化の予防、ストレスへの抵抗力のアップ、集中力などの精神活動のアップが期待できます。
また、食物繊維や鉄が豊富という点も特に女性には嬉しいところです。
ただし、ココアは脂質も多いので飲みすぎには注意が必要です! 

●黒豆きなこ
きなこは大豆をじっくり炒った後、挽いて作られます。つまり、大豆の粉末です。
黒豆きなこも同様に作られていますので、黒豆きなこをとることで、黒豆の栄養成分を丸ごと
とることができます。
普通のきなこ同様に、きなこもちにしてもよし、ヨーグルトに混ぜてもよし、牛乳や豆乳にまぜてもよし!工夫次第で様々な料理に合わせられるのも魅力です。


黒豆のレシピ

黒豆を使ったスイーツのご紹介です。
市販の黒豆煮でもOKですが、お正月を過ぎて余ったときでも是非作ってみてください。

●黒豆の抹茶パウンドケーキ●

【材料】パウンドケーキ型1台分
・無塩バター 100gpaundo
・卵     2個
・砂糖    90g
・抹茶    小さじ2
・薄力粉   120g
・ベーキングパウダー 小さじ1/2
・牛乳    大さじ2(無糖ヨーグルトでも可)
・黒豆煮   100g(市販のもので可)

【作り方】
①卵とバターは予め冷蔵庫から出して、室温に置いておきます。
②抹茶、薄力粉、ベーキングパウダーは全て一緒にして2度ふるいにかけておきます。
③砂糖も固まりがないようにふるいにかけておきます。
④オーブンは180℃に温めておきます。
⑤室温で柔らかくなったバターを泡立て器でよく混ぜます。バターが白っぽいクリーム状に
 なるまで行ないます。
⑥砂糖を2回に分けて加え、よく混ぜます。
⑦溶いた卵を少しずつ加えます。
 (一度に加えると生地と卵が分離してしまい、焼き上がりのキメが荒くなってしまうので
  注意)
⑧②の粉類、牛乳を加え、粉っぽさがなくなるまでさっくり混ぜる。
 (こねてしまうと、焼き上がりが硬くなってしまうので注意)
⑨黒豆を加えて、さっくり混ぜます。
 (黒豆に薄力粉をまぶしておくと、焼き上がりの際に黒豆が下に沈んでしまうのを防げます)
⑩薄くバターを塗った型に生地を流しいれ、180℃に予熱したオーブンで40~50分程焼きま
 す。
 (オーブンによって、焼き上がり時間がことなりますので、様子を見ながら焼いてください)
⑪焼きあがったら、型から外して金網などの上で冷まします。

※パンを作る際に混ぜてもとても合います。またカロリーが気になる方は寒天やゼリーにすると
 低カロリースイーツになります。