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栄養コラム

大根

No.54

2008年2月1日

管理栄養士 奥田 志おり

毎朝、気合を入れないと布団から出られない寒さが続いています。春までもうしばらくの辛抱ですね。
しかし、この寒さのおかげで美味しく育つ野菜が沢山あります。今回はその中のひとつ「大根」に注目してみたいと思います。一年中出回っておりますが、今(12月~2月)が一番みずみずしく、甘くて美味しい時期なのです。
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大根の歴史

原産地は地中海沿岸説、華南高地説、中央アジア説などと様々で、まだ定説はないそうです。しかし野菜としての歴史は古く、古代エジプトでピラミッド建設時に食べられていたという記録が残っています。
日本での大根の歴史も古く、奈良時代に勅撰された「古事記」に記載があります。日本へは中国から伝わり、各地に広がり土地々々に合った品種が栽培されています。


大根の種類

大根はアブラ菜科で、日本で栽培されているものだけでも100種類以上あります。
大きいものでは30kgも超える世界最大の「桜島大根」、極早生で二十日大根と
radi_1も呼ばれ10~15gと小型な「ラディッシュ」、直径は3cm程、長さは1m以上と世界最長の「守口大根」など、大きさ・形ひとつとってもバラエティ豊かです。
現在、主に流通しているのは「青首大根」です。辛味が少なく、みずみずしいのが特徴です。大きさも三浦大根や練馬大根ほど大きくないため、農家の方は収穫に便利、そして消費者にとっても扱い易い点が好まれている理由のようです。


大根の栄養

●大根の根
抗酸化作用や免疫機能の働きを助けるビタミンCや余分な塩分を体外に排出してくれるカリウムが豊富です。ビタミンCは中心部分より、皮に近づくほど多く含まれています。また、皮にはビタミンPというビタミン様のフラボノイド化合物が含まれています。ビタミンPはビタミンCの吸収・働きを助けたり、毛細血管を強化する働きがあります。また、高血圧予防や血中の中性脂肪を減らす作用も期待されています。

●大根の葉
肌の健康を保ったり、抗酸化作用のあるカロテンが豊富な緑黄色野菜です。また、同量の根と葉で比較すると、ビタミンCやカリウムは根よりも多く含まれています。また、日本人に不足しがちなカルシウムや鉄などのミネラル含有量は野菜の中でもトップクラスです。大根の葉(100g)で、1日に必要なカルシウムの約40%、鉄の約30%をとることができます。
最近では葉がついた大根の入手が難しいですが、入手できたら是非上手に活用しましょう。


納得!美味しい食べ合わせ

大根に含まれる栄養として、さらに注目したいのは大根の根に含まれるさまざまな消化酵素です。
以下に、大根に含まれる消化酵素と、料理の組合せをご紹介致します。私たちが普段何気なく食べている料理の組み合わせが理にかなっていたことがわかります。

●アミラーゼ
でんぷん等の消化を助けてくれる酵素です。大根おろしで食べる「からみ餅」や「おろしそば」は定番ですね。お餅やお蕎麦の消化を良くします。

●リパーゼ
脂肪の消化を助けてくれる酵素です。「鶏唐揚」や「ハンバーグ」「天ぷら」も大根おろしと食べると、美味しいだけではなくこんな効果があったのです。胃もたれが予防できます。

●プロテアーゼ
たんぱく質の消化を助けてくれる酵素です。「刺身」の“つま”に添えられている大根も残さずいただきたいものです。

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[酵素の効果を得るためには。。。]
消化酵素は熱に弱いので、大根おろしのように生で、あるいはあまり加熱せずにさっと温める程度で頂くとよいでしょう。


部位別おすすめ調理法

大根は「根」と「葉」の違いばかりではなく、「根の部位」でも違いがある面白い食材です。それぞれの特徴を活かした調理法で大根を丸ごとおいしく味わいましょう。

●葉
カロテンが豊富なので油炒めなど油を使った料理でいただくと吸収率もアップします。

●根
・葉に近い部分
辛みが弱いのでサラダ、大根おろし、なます等の生食に向いています。

・真ん中の部分
最も甘味が強く、太さもそろっているので、おでん、ふろふき大根などの煮物に向いています。

・先端部分
辛みが強いので味噌汁など味の濃い料理に向いています。辛味の正体である
「イソチオシアネート」が先端部分に最も多く含まれており、葉に近い部分orosidaikonの約10倍にもなります。イソチオシアネートには抗菌作用や、血栓ができるのを抑える作用、抗酸化作用があります。大根をおろしたり、切ることにより、細胞が壊れることで、細胞内にあるミロシナーゼという酵素が反応した時に、イソチアシアネートが生成されます。あえて先端部分を大根おろしにして食べ
るとイソチオシアネートの効果が最も期待できます。
またイソチオシアネートは揮発しやすいので大根をおろす際は食べる直前にお
ろしていただくことをおすすめします。

●皮
中心部に比べ固いので、きんぴらなど食感を楽しむ料理に向いています。


大根のレシピ

皮ごと食べられるレシピです。皮を剥いていないことを忘れてしまうくらいホクホクとした食感、是非体験してみてください。

●ホクホク蒸し大根のステーキ● 
【材料】2人分daikon2
・大根200gくらい(中央部分を使って頂くのがおすすめです)
・塩 ひとつまみ
・バター 10g
・しょうゆ 適量

【作り方】 
①大根は皮ごと使うのでよく洗い、2~2.5cm厚さの輪切りにします。
 (隠し包丁を入れると蒸し時間を若干短縮できます)
②大根に塩をひとつまみ、まぶします。
③②を蒸し器で、竹串がスーッと通るくらいまで蒸します。
 (蒸し時間は20分が目安です)
④フライパンを中火にかけ、バターを入れ、溶けたところに
③の大根を加え、こんがり焼き目がつくまで両面をソテーします。
 しょうゆをまわし入れれば出来上がりです。


せっかくですので大根の葉を使ったレシピもご紹介します。

●大根の葉ふりかけ風●

【材料】
・大根の葉 適量         
・ちりめんじゃこ 適量furikake
・かつお節  適量
・ごま   適量
・ごま油  適量
・しょうゆ  適量

【作り方】 
①大根の葉を細かく切り、空炒りして少し水分を飛ばします。
②①にごま油を入れ、炒めます。
③ちりめんじゃこ、かつお節、ごまも加え一緒に炒め、しょうゆで味を調えて出来上がりです。

※大根の葉以外の材料はお好みで追加していただいても結構です。