秋刀魚、松茸、栗、柿、さつま芋など秋の味覚が美味しい季節となりました。
懐具合も 気にせず、またポッコリお腹も気にせず、食べたいだけ食べられたらどんなにか幸せで しょう。
そんな夢のようなことを現実に近づけてくれる食材が、実は私たちのごく身近にあるのです。
それは「こんにゃく」です。
いつも“わき役”のような地味な存在ではありますが今回はその魅力に主役級のスポットを当ててご覧にいれます。
こんにゃく芋は箱入り娘!?
こんにゃく芋は、じゃがいものように種イモから増やしますが、こんにゃくに加工できる程の大きさに成長するまでに約3年もかかります。
春に植えて秋に堀りおこし、冬は凍らせないように倉庫に保管し、選別してまた春に植えて…を繰り返して大きくしていくそうです。
こんにゃく芋が、ここまで手塩にかけて育てられていたとは、驚きです。
こんにゃくの作り方
① こんにゃく芋を茹でて皮をむき、すりおろします。
② 凝固剤(水酸化カルシウム)を加え、よく練り合わせたら型に流し入れます。
③ 1丁ずつの大きさにカットし、30分から1時間茹で、水にさらしたら出来上がり。
工程はシンプルですが、実に手間がかかっているのですね。
ちなみに“肉のとなりに、しらたきを並べて煮ると肉が硬くなる”とよく聞きますが、その理由は凝固剤のカルシウムイオンの作用によるものです。
日本が誇れる食材
こんにゃくの生産量日本一は、“群馬県”で9割も占めています。
国内生産量は昔に比べると減っていますが、自給率は堂々の86%です。
関税率が米よりはるかに高く、外国産のものから守られているのも大きな要因のようです。
白と黒どちらがお好き?
こんにゃくには白いものと黒いものがありますが、これは製法の違いによるものです。
こんにゃく芋を製粉化した製粉から作るこんにゃくは白い仕上がりになりますが、生芋から作るこんにゃくは、その皮などが混じって黒っぽい仕上がりになります。
現代ではほとんどが製粉からつくられていますので、黒いこんにゃくは海藻の「アラメ」「ヒジキ」「カジメ」などの粉末を混ぜて作られています。
こんにゃくの栄養
こんにゃくは、ほとんどが水分で何の栄養もないイメージがありますが、こんにゃく1枚(250g)でキャベツ6枚分の食物繊維を摂ることができるなど、実は巷で話題の特定保健用食品(トクホ食品)に匹敵する食品なのです。
●水溶性食物繊維
水溶性食物繊維とは文字通り、水に溶けるタイプの食物繊維のことです。
こんにゃくには“グルコマンナン”(“コンニャクマンナン”とも呼ばれています)が含まれており、ヒトの身体には、これを消化できる酵素がないために、高粘度を保ったまま胃、小腸を通過するので食物繊維として作用してくれます。
この食物繊維の素晴らしきパワーは次の通りです。
・血糖上昇抑制作用 ブドウ糖の吸収を遅らせてくれるので、血糖の上昇が緩やかになり、
糖尿病の予防、改善につながります。
・コレステロール吸収抑制作用 小腸で水分を吸収しゲル状となり、この中にコレステロールを
吸着してくれます。
●不溶性食物繊維
水に溶けにくい食物繊維のことです。こちらの秘めたるパワーは次の通りです。
・便秘予防 不溶性食物繊維は水に溶けない分、水を多く吸収して数倍
に膨れます。 これが腸を刺激し、蠕動運動を活発にしてく
れます。
・整腸作用 腸内の悪玉菌が増えるのを抑制し、腸内環境を整えてくれ
ます。
まさにトクホ食品同様の効能ですよね。
その上、どこのスーパーでも手に入りますし、なんといっても家計に優しいお値段が魅力です。
あっぱれ、こんにゃく!!
おいしく食べるために!下ごしらえのABC
ほんのひと手間をかけるだけで、こんにゃくのアクや、特有の臭みを抜くことができます。
●たたく
乾いたまな板に水気をきったこんにゃくをのせ、塩をふってからめん棒で軽くたたきます。
こんにゃくの余分な水分が流れ出し、水っぽさがなくなるため汁物、煮物などに向いて います。
●空炒りする
適度な大きさに切ったこんにゃくを鍋に入れ、中火で炒ります。
こんにゃくの身がしまり、歯ごたえがよくなります。
煮物、和え物に向いていますが、炒め物にする時も、他の材料と合わせる前にからいりすると味がよく馴染みます。
●ゆでる
熱湯にさっとくぐらせて、ざるにあげて水をきります。
おでんやすき焼きに向いています。
こんにゃくのレシピ
こんにゃくの素晴らしさの数々にふれてきましたが、一番のセールスポイントをお忘れではありませんか?
みなさんもよくご存知“低カロリー”であることでしょう。
1枚(250g)でたったの13kcalです。最近は、こんにゃくを配合した米、うどん、パスタなど様々なダイエット商品が出回っていますが、ご家庭でも手軽にできる、こんにゃくのダイエット料理をご紹介します。
●カロリー40%オフ!韓国風しらたきチャーハン●
【材料】1人分
・しらたき 1/2袋
・ごはん 茶わんに半分くらい
・豚肉 40g
・キムチ 40g
・ねぎ 1/4本
・ゴマ油 小さじ 1杯
【作り方】
① しらたきを、さっと熱湯にくぐらせ水気を切ったらみじん切りにします。
② ①のしらたきをフライパンで空炒りしたら、フライパンから一旦 取り出しておきます。
③ ②のフライパンにゴマ油をひき、ねぎ、豚肉、キムチを炒めます。
④ ③に火が通ったところで、ごはんも加えて炒め、だいたい馴染んだら②のしらたきも加えて
炒めれば出来上がりです。
※しらたきの代わりに、こんにゃくでも結構です。小豆大くらいのみじん切りにしてお使いくだ
さい。