植物が芽吹き、また新入生や新入社員の希望で満ちたとても清々しい季節になりました。
“きぼう”と言えば先月、宇宙飛行士の若田光一さんが飛び立ちました。今回は日本人初の宇宙長期滞在で、約3ヶ月も国際宇宙ステーションで暮らすそうです。一体どんな感じなのでしょう。皆さんは想像できますか?
近い将来、私たちも気軽に宇宙旅行ができるようになるのでしょうか。そして私たちの子孫は宇宙に暮らすようになるかもしれません。そこで今回は宇宙での暮らしに(食生活を中心に)注目してみました。
国際宇宙ステーションとはどんなところ?
地上から400km上空を秒速約7.9kmで飛行しており、完成するとサッカー
場程の広さになるそうです。ヨーロッパ11カ国と、ロシア、アメリカ、カナ
ダ、日本が協力して宇宙の発展を目指す夢の基地です。宇宙飛行士たちの1日
は朝6時に起床、夜9時30分には就寝。
作業時間は6.5時間で週休2日ですので私たちの生活とさほど違いはありません。
ただし地球を90分で1周、つまり45分ごとに昼と夜が訪れます。また、無重
力の世界ですから、地上と同じような感覚での生活はできないことは確かです。
地上の10倍の速さで老化する!?
宇宙での生活をたとえると“頭を6度ほど低く傾けたベッドで、寝たきりで生活し
ている状態”だそうです。無重力空間で生活するにあたっての深刻な問題は、地上
ほど力を使う必要がないので骨格の機能の衰えが著しいことです。筋肉量は毎日
0.5~1%ずつ減っていきますし、骨の量は1か月で最大2.5%も減ります。これは骨粗しょう症患者の10倍もの速さに相当します。よって宇宙飛行士には飛行前はもちろんのこと、宇宙での生活においても筋肉、骨量の減少を最小限に留めるべく毎日2.5時間ほどの体力訓練が必須です。
宇宙で暮らすにはこんなリスクや苦労があるのですね。地球に生まれてきたこと、
また“重力”のありがたみを改めて実感させられます。ちなみに今回、若田さんは
骨粗しょう症の治療薬“ビスフォスフォネート剤”が宇宙でも効くかどうか、自身
を被験者として週1回服用しているそうです。
宇宙では味覚が変わる!?
宇宙空間においては、骨格機能の変化のみならず“味覚”にも変化が現れ、
地上にいる時よりも薄味に感じるそうです。よって宇宙食は濃い目の味つ
けになっています。
その他、味覚に関するエピソードとしては、大のチョコレートバー好きの宇宙飛行士が、宇宙でもそれを食べようとしたところ“腐ったような味”がして食べられなかったということです。
これら味覚の変化のメカニズムについてはまだ解明されていません。
もし明らかになったら、ダイエットしたい人向けに「大好きなドーナッツ
を食べても美味しく感じなくする錠剤!?」などの開発にも役立つのでし
ょうか。
とってもグルメ!?宇宙飛行士のお献立
宇宙飛行士は、日々どんな宇宙食を食べているのかご存知ですか?
ちなみに、これまでは10日のサイクルメニューでしたが、宇宙飛行士たちの強い要望で今回から16日サイクルになりました。宇宙での生活では娯楽が限られるので、“食事”の重要度、楽しみが増すそうです。
若田光一さんの3月17日(宇宙生活2日目)の食事を例にみてみましょう。
●朝食●
・オートミール(ブラウンシュガーで)
・メキシカン スクランブルエッグ
・ブルーベリー&ラズベリーヨーグルト
・オレンジ&マンゴージュース
・緑茶
●昼食●
・ライス&チキン
・シュリンプカクテル
・クラッカー
・アーモンド
・チョコレート(あめコーティング)
・グレープフルーツジュース
●夕食●
・トルティーヤ 2枚
・鶏のささみ(サルサソース)
・パンプディング
・マカデミアナッツ
・いちご
・レモネード
この日のメニューは“緑茶”を除くとすべて洋食メニューですね。現在、認められている日本の宇宙食は28種類(ごはん、さばの味噌煮、蕎麦にネギマまで!)ありますので3か月の滞在期間には日本食ももちろん食べられると思われます。献立名だけから想像するに、“野菜”が不足しているのでは?と気になるところではありますが、宇宙滞在中はサプリメントも摂取しているとのことです。
初体験!!宇宙食を食べてみました!
宇宙食の一部は筑波宇宙センター、もしくはネットからも購入できます。
価格はいずれも普通の商品の約4~5倍とやや高めなので、
厳選した次の4商品にトライしてみました。
弊社の管理栄養士の評価は次の通りです。
★★★★★:おいしい。地上でも宇宙でも食べたくなる味、食感。
★★:宇宙で食べると、よりおいしいのかもしれない味、食感。
★ :宇宙で食べると、おいしく感じるのかもしれない味、食感。
①シナモンアップル ★★
「口の中によみがえる生のりんごの食感!」というキャッチコピーに魅かれて購入してみたのですが、実際に食べてみるとそうでもありませんでした。生りんごを加熱したような感じ。味は悪くありません。
②ビスケットアイス ★
この商品名から「アイス」をイメージして食べると期待外れです。もちろん冷たくはありませんし、食感はアイスというよりもメレンゲの砂糖菓子です。
③レトルトカレー ★★★
無重力空間では味覚が鈍るので、より辛さを感じるようにスパイスの配合を
変えているそうです。また宇宙での紫外線対策として、抗酸化作用のあるウコンは通常の2倍使用。骨量減少対策としてカルシウム(250mg)も強化されています。期待して食べてみたところ、普通のレトルトカレーとの違いは感じられませんでしたが、普通においしくいただけました。
他国の宇宙飛行士たちにも日本のレトルトカレーは人気だそうです。
④パン(缶入り) ★★★
おいしいの一言です。飲み物と一緒でなくても食べられる、ほど良いしっとり感のある、ふわふわソフトパンです。
このパンは、今回初めて若田さんと一緒に宇宙へ行きました。
①、 ②:NASAで開発された技術を活用して作られたフリーズドライ加工の宇宙食。
実際の宇宙食と同じものではないそうです。
③:カレールーで有名なH食品の商品。実際、宇宙で食べる商品とは保存方法などの点で異なる
そうです。無重力空間ではお湯で温めずに専用の過熱トレーで温めて食べるそうです。
④:栃木県の那須にあるパン屋の商品。レーズン・はちみつレモン・チョコレートなど全部で
14種類もあるそうです。
これで宇宙旅行も安心!骨量アップのレシピ
宇宙旅行に必要なのは、パスポートではなく丈夫な骨です。“成長期も、とうに過ぎたし、今さら無駄”なんてあきらめないでください。骨の細胞は生成と破壊が繰り返されていて全身の骨は
2~3年で生まれ変わっているのです。
ちなみに成人に1日に必要なカルシウムの量は女性で600mg、男性で650mgです。
今回は1日に必要なカルシウム量の約1/3が摂れるレシピを紹介いたします。
●イワシのバルサミコ酢煮●
イワシの缶詰を利用して、お手軽なイタリア料理に仕立てたメニューです。バルサミコ酢はぶどうから作られたお酢です。日本ですとサラダのドレッシングとしての利用法が主ですが、今回のようにたっぷり使って煮詰めていくと、鋭かった酸味がまるくなり、コクが出て美味しいソースとしていただけます。ご家庭の料理がいつもよりお洒落に変身すること間違いなしです。
【材料】1人前
・ 味付イワシの缶詰 1缶(固形量70gくらい)
・ しめじ 1/3~1/2パック
・ プチトマト 2~3個
・ バルサミコ酢 100cc
【作り方】
① 小鍋にイワシ、バルサミコ酢を入れ火にかけます。
② 沸騰してきたら中火にし、しめじを加えます。
③ イワシが焦げ付かない程度までに、バルサミコ酢が煮詰まったら出来上がりです。
彩りにプチトマトを添えてお召し上がりください。
※ サンマ、サバ、サケなどの缶詰でも結構です。
※ バルサミコ酢の代わりに、ホールトマトを使っていただいても美味しいです。
※ お好みでパルメザンチーズを適量かけていただくと、さらにカルシウムを摂ることができま
すし 、より一層イタリアンな一皿となります。