ずいぶん秋が深まってきました。皆様は様々な「秋」を楽しんでいらっしゃるでしょうか。
さて、秋の果物と言えば「柿」。柿は日本を代表する秋の果物の一つです。
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」という俳句は有名ですが、法隆寺を訪れた正岡子規が茶屋で一息ついたときに詠んだ句です。その時の秋の風景が浮かんできますね。
他にも柿には「柿が赤くなると医者が青くなる」などのことわざなどがあり、古くからその栄養も注目されていた果物です。
現在では色々な種類の柿も出回っていますので、是非この時期ならではの秋の味覚を味わいましょう。
世界に通用する「KAKI」
柿は日本原産の果物と言われ16世紀頃からヨーロッパへ、その後アメリカへと広まっていきました。
学名にも「KAKI」という名が使われ、今では国際的にも「KAKI」で
通用するようです。
また英名は「Persimon」(パーシモン)と言うのですが。。。
「パーシモン」といえば、ゴルフがお好きな方なら聞いたことがありますよね。
そう、かつてのゴルフクラブ(ウッド)のドライバーヘッドには柿材を使ったものが
多かったため、「パーシモン」の名で呼ばれ、多くの方に愛用されていたのですが、今では打ちやすい金属製のメタル、チタンなどが普及したため、あまり使われなくなってしまいました。
ボールの変化とともに飛距離が追及された結果なのですが、やはり飛距離の魅力には勝てませんね。
渋柿も「甘い柿」です!
柿の品種数は多く、1,000を超えるとも言われていますが、大まかには、渋柿と甘柿とに分かれます。
〇渋柿・・・実が熟しても果肉が固いうちは渋が残る柿
〇甘柿・・・渋柿の突然変異種と考えられており、日本特産の品種。
未熟時は渋いが、熟すにしたがって渋が抜け、甘みが強くなっていく。
今月あたりより多く出回る柿、「富有(ふゆう)柿」「次郎柿」などは甘柿の代表的な品種です。渋柿といっても店頭に並ぶ際には「渋抜き」がされており、渋抜き後の柿はそれぞれの種類によって、果汁が増えてやわらかくなり、まろやかな甘味になったり、まったりとした甘味をもつ、とても甘~い美味しい柿となります。種類としては、たねなし柿、刀根柿、庄内柿、西条柿などがあります。
柿の栄養・・・先人の知恵は正しい!
さて冒頭の「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざ。これには2つの解釈があるようで、一つは柿に含まれる栄養が、特に風邪の予防に役立つ栄養が豊富なので、柿の季節には風邪をひく人が少なくなり医者が困ってしまうということ、もう一つは、柿が赤くなる秋は季節的にも過ごしやすいため、食欲も増し、体調が回復する季節なので、病人が少なくなり、医者が困ってしまうということで、どちらの意味もあるようです。
他にも「柿の豊作、医者いらず」と言われてきたように、先人達は柿に素晴らしい栄養があることを知っていて、この時期にしっかりと柿を食べるよう伝えています。
以下に特筆すべき柿の栄養成分をまとめます。
・ビタミンC:免疫力を高め、風邪などのウィルスの働きを抑えます。
また血管の老化防止に役立ちます。
甘柿1個で1日のビタミンC必要量を満たすことができます。
・タンニン:柿の渋み成分のシブオールは甘柿、渋柿問わず全ての柿に含まれています。
胃腸をコーティングし、炎症を防ぎます。また血管を強くして血圧を下げる
働きがあり、高血圧や脳卒中などの予防効果が期待されています。
・β-カロテン :体内でビタミンAに変わり、皮膚や鼻、喉などの粘膜を強くし、
ウィルスが体内へ侵入するのを防ぎ、風邪予防に役立ちます。
また抗酸化作用があり、生活習慣予防にも役立ちます。
・カリウム :利尿作用があり、血圧が上がるのを防ぎます。
●先人の教え:アルコール編・・・「二日酔いには柿」「酔い覚ましに柿」
昔からよく熟した柿を食べると二日酔いになりにくい、酔いが覚めやすいと
言われています。これは柿に含まれる糖分、ビタミンC、渋みのタンニン、そして酵素がアルコールの分解を促進させ、さらにカリウムが利尿作用を進めることで、早くアルコールを排出させるという事なのです。
先人の教えは素晴らしいですね。食欲の秋、ついついお酒も進んでしまう場合は是非柿をお召し上がり下さい。
但し度を越しますと柿パワーも通用しませんが。。。
「柿の葉」も優れもの!
柿は実ばかりではなく、葉もしっかり利用されています。
例えば関西地方でお土産売り場などで目にする「柿の葉寿司」。
押し寿司を柿の葉で巻くことで柿の葉のさわやかな香りが移って美味しくなることと柿の葉に殺菌効果があることから、お寿司の保存に役立てています。
またお茶を楽しむ際の和菓子などの添え物にされることもありますが、柿の葉は
殺菌効果以外にも葉の彩りが美味しさにも貢献しているようです。
さらに、葉にはもっと優れものとされる理由があります。
柿の葉には血管を強化する作用や止血作用をもつとされ、柿の葉を煎じて飲用するなどで古くから民間療法として用いられてきたのです。
柔らかい若葉は天ぷらやサラダや和え物などにすることもできますが、「柿の葉茶」がとりやすいですね。
さらに最近は花粉症予防としての研究も進み、柿の葉の有効成分をサプリメント等に加工し商品化されているものもあります。
柿の選び方
まずはヘタを良く見てください。柿の生育にはヘタが重要な役割を担っています。
ヘタが4枚揃ってしっかりしていると実も大きくなり、美味しく成長します。したがってヘタがしっかりしたものを選びましょう。特に果肉とヘタの間に隙間ができる「ヘタ隙き」となっていないかを確認して下さい。また、全体的に赤く色づき、形が整ったものがお勧めです。
ちょっとご注意
柿は消化があまりよくなく、鉄の吸収を妨げたり、体を冷やす作用もあります。
貧血や冷え性の方は一度に沢山食べるのは控えるようにしましょう。
柿のレシピ
お酢にも、高血圧予防効果や抗酸化作用があります。
柿とお酢を一緒にとることで、健康効果倍増です!
●柿の三色なます●
【材料】2人分
・大根 100g
・きゅうり 1/2本
・柿 1個
・柚子の皮 少々
《調味料》
・酢 大さじ3
・砂糖 大さじ2
・水 大さじ2
・塩 小さじ1/2
【作り方】
①大根、柿は皮をむいてせん切りにしておきます。
②きゅうり、柚子の皮も洗ってせん切りにしておきます。
③調味料を全て合わせ、大根、きゅうり、柿と和えて、お好みで柚子の皮を
散らして出来上がりです。