「食べることは、命の源」といいますが、食べ物がまず一番に入るところといえば口ですね。
口の中でも、歯は食べ物を噛み砕いて消化を助けるために欠かすことのできない器官です。
最近では、 歯の健康が生活習慣病の予防や体力の維持に関連していることがわかってきました。
そのため、高齢社会のなかで歯の健康を守ることは、いつまでも元気で生活できる人を増やすためにも重要だと位置づけられ厚生労働省を中心に8020運動という歯科に関する国民運動が行われています。
弊社のコラムも、おかげさまで80回目となりました。
と、いうことで!?
今回は8020運動にちなみ、歯の健康についてお話します。
8020運動
皆さんは、「8020運動」をご存知でしょうか。
「8020運動」は、厚生労働省や歯科に関係のある団体が中心となって呼びかけているもので、
親知らずを除いた28本の歯のうち少なくとも20本あれば年をとっても食べ物をしっかりと噛み砕くことができ、
おいしく食べられるということで‘80歳になっても自分の歯を20本以上保ちましょう’という運動です。
さらに近年では、歯の健康が体力の維持や全身の病気とも深く関係していることが明らかになり、
高齢になっても自分の歯をできるだけ失うことなく生活することは、いつまでも介護を受けずに自立した生活を送るためにも欠かせないこととされています。
歯の健康が寿命を左右する!?
私たちが食べるために欠かせない歯ですが、歯を失う原因は主に歯周病と虫歯といわれています。
歯周病は、糖尿病や高血圧症とともに生活習慣病に位置づけられていて、成人の約80%がかかっているといわれています。
歯周病は、歯垢の中に含まれている細菌が引き起こす感染症で、最近の研究により心臓病、肺炎や骨粗しょう症など全身の疾患と関連していることがわかってきました。
また、虫歯になると歯を削ったり、神経をとったりと治療を行いますが治療によって歯の寿命が短くなってしまうといわれています。
つまり、虫歯で治療を繰り返した歯はどんどん老化し弱った状態に…。
さらにそのような歯では、食べたものをよく噛むことができません。
その結果、食べやすいものだけを食べるようになり、栄養も偏りがちになってしまいます。
このように、いつまでも健康な体で生活するためには、歯の健康は欠かせないものなのです。
歯の健康を保つためには、歯磨きや歯科医院での口腔ケアに栄養バランスのとれた食事、十分な休養と運動が大切です。また、よく噛んで食事することも歯の健康につながります。
唾液の重要性
よく噛むことが歯の健康によいとお伝えしましたが、なぜよく噛むことがよいのでしょうか?
それは、単に食べ物を細かく噛み砕くことができるだけではなく、「だ液」が分泌されるからです。だ液には、多くの働きがあり、消化を助けるほか、口の動きや抗菌作用にも大きく関係があります。
《唾液の役割》
① でんぷん消化作用
だ液アミラーゼ と呼ばれる消化酵素の働きにより、でんぷんを消化します。
② 食べ物を飲みこみやすくする
口の中をなめらかにし、食べ物を噛み砕き、飲み込むまでの流れをスムーズにします。
③ 食べ物の味を感じやすくする
食べ物に含まれる味物質を溶解し、味覚を舌で感じやすくさせます。
④ 口の中(舌)の動きをスムーズにする
口や舌の動きをなめらかにし、発音や会話をスムーズにします。
⑤ 口の中を清潔に保つ
食べ物のカスを洗い流し、口の中をきれいにします。
⑤ 抗菌作用がある(虫歯を予防する)
リゾチーム、ラクトフェリン、ペルオキシダーゼなどが細菌などの病原微生物に抵抗して
口の中を清潔にします。
よくかむための食事の工夫
よく噛んで、唾液の分泌を促進し、歯を健康に保つための工夫をご紹介します。
歯の健康だけでなく、ダイエットや全身の健康のためにもぜひ取り入れてほしいものばかりです。
1. かみごたえのある食材を取り入れよう!
以下にご紹介するのがかみごたえのあるおすすめ食材です。食材選び時の参考にしてみましょう。
①野菜:れんこん、ごぼう、ブロッコリーなど食物繊維の多いものを
レンコンやごぼう、ブロッコリーなどは、食物繊維が多く消化のためにもよく噛んで食べたい野菜です。
食物繊維が多いので、便秘解消にも役立ちます。
②ごはん:白米よりも玄米や発芽米を
白米よりも硬いので、玄米や発芽米に変えるとかむ回数が増えます。
また、発芽米や玄米は不足しがちなビタミンやミネラルが白米より多く
含まれているのでオススメです。
③パン:白い食パンよりもフランスパンやハードブレッドを
フランスパンや皮の硬いパンは、よく噛んで食べるだけでなくちぎって
食べることで早食い防止にも役立ちます。
さらに、ナッツやドライフルーツの入ったハードタイプのパンでもよく噛むことができます。
2. 調理の際に一工夫!よく噛んでゆっくり食べるための調理法
食材の切り方や調理方法などのちょっとした工夫で、噛みごたえをアップさせることができます。
①野菜、肉は繊維にそって切る
野菜、肉は繊維に沿って切るとしっかりとした食感になって噛みごたえが出ます。特に炒め物ではしゃきっとした食感で、水分も逃げにくくなりおいしく仕上がります。
②食材は大きめに切る
同じ量のキャベツやにんじん、大根などをつかった野菜サラダを食べる場合、千切りにしたものと一口大にザックリと切ったものでは、どちらのほうが食べごたえがあるでしょうか。千切りは、食感もふんわりして軽いのですぐに食べられますが一口大に切ったものは一口で食べられる量が少なく、よく噛んで食べることにつながります。
③すこし硬めにゆでましょう
野菜をゆでるときは、少し硬めにゆでましょう。硬めにすることで食材の食感を味わいながら食べることができます。また、よく噛むことで食材の甘みやうまみを感じやすくなり、よりおいしく食べることができます。
歯の健康は全身の健康に!!
いつまでも自分の歯でおいしく食事をし、元気に体を動かせるように歯の健康を保ちましょう。
そして、何よりも食べた後の歯磨きをお忘れなく。