夏の暑さもようやく一息つき、いよいよ秋本番!
お店に並ぶ食材も旬物が出回り始めるこの時期、今回の栄養コラムでは、ホクホクとした食感と甘さが美味しい秋食材の一つ、さつま芋について取り上げたいと思います。
さつま芋の歴史
さつま芋といえば定番の焼き芋を始め、洋食や焼酎の原料にも使用されるなど、 その用途は様々。
今ではとても馴染みのある食材ですが、日本へ伝わったのは江戸時代初期頃、 沖縄から薩摩、本州へと広まっていきました。
荒地でも生育がよいさつま芋は江戸時代初期~中期、戦後にわたり、不作の年や 戦後の混乱期など食糧事情が悪い時に、時には米の代用にもなり、人々を飢餓から 救う作物として日本人の食に大きく寄与することになったのです。
このような便利なさつま芋を本土に伝え広めた人達はその功績をたたえられ、 祀られている神社が現代にも存在しているようです。
種類豊富なさつま芋
昔ながらの品種もあれば、最近は黄色ばかりでなく紫色やオレンジ色など今は日本各地で様々な種類が出ています。
以下各色の品種に一部をご紹介します。
● 紅あずま:市場でも見かけることの多い品種です。食感はホクホクとして甘味も強いので、焼き芋をする際にはこの種がオススメです。
● アヤコマチ:中身はオレンジ色をしています。切り口の変色が少ないのでサラダなどに良いです。焼酎の原料にも使われます。
● パープルスイートロード:中身は鮮やかな紫色、その色味を活かして和菓子などの彩りにも最適です。
<さつま芋を選ぶポイント>
品種によって差はありますが、主に以下の事を参考にして選んでみましょう。
① 表皮は全体的に均一な色をしていること。
② ひげ根の跡が少なくデコボコしていない滑らかなものを選びましょう。
③ 手に持った時、ずっしりと重さを感じる物は繊維が少なく甘みも強い傾向にあります。
④ 黒い斑点がある物や変色している場合は古いので避けましょう。
さつま芋の栄養
さつま芋を切ると切り口から白いものを目にしたとはありませんか?
あれはヤラピンという成分で腸のぜん動運動を促してくれる働きがあります。
さつま芋には食物繊維も豊富に含まれており、ヤラピンとの相乗効果によってお通じをよくしてくれます。
またさつま芋はビタミンCやビタミンB群などのビタミンも多い野菜です。
特にさつま芋のビタミンCは加熱調理をしてもでんぷんが糊化して膜を作るので、壊れにくく残存率が高いというのが特徴です。
その他ミネラルではカリウムやカルシウムが多く、ナトリウム排泄作用を持つカリウムは、血圧を正常に保つ働きがあります。
カルシウムは意外にも肉質部より皮部に多く含まれているので、皮ごと食べることによって重要なカルシウム供給源になります。
<さつま芋を甘く食べるコツ>
さつま芋を焼くと甘くなるのはなぜなのか・・・
これはさつま芋の主成分であるデンプンが、糖化酵素のβアミラーゼの働きにより、麦芽糖という糖分に変わるからです。βアミラーゼは50~60℃の加熱が長く続くほど活発に作用します。
焼き芋はこの温度でじっくり加熱されるので、アミラーゼがよく作用し甘みが強くなるのです。
一方、電子レンジなどの高温で一気に加熱する場合は、逆に酵素がうまく働かず甘みが引き出されません。
さつま芋の甘さを楽しみたい場合は、丸ごと蒸すかオーブンでじっくり焼いて食べるのが良いでしょう。
さつま芋のレシピ
甘すぎずしっとりした口当たりです。さつま芋の甘みを生かしたレシピ、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
●さつま芋入りスコーン
<材料>
約6個分
・さつま芋(紅あずま) 60g
・バター 25g
・牛乳 約35cc
・薄力粉 100g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・砂糖 15g
・塩 少々
< 作り方>
①さつま芋は皮ごと茹で、フォークなどを使用して少し形が残る程度につぶしておきます。
②ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖、塩を入れて混ぜ合わせます。
③常温に戻したバターを加え、粉とバターをもみこむように混ぜ、バターの大きな塊がなくなり
全体がそぼろ状になるまで混ぜ合わせます。
④③に、①と牛乳を加えて切るように混ぜ合わせます。まとまってきたら生地を真ん中で切り、
2つになった生地を重ねる、この作業を5回程繰り返したら手で丸めて形を作っていきます。
⑤できた生地はオーブンシートを敷いた天板にのせ、あらかじめ200℃に温めておいたオーブ
ンに入れます。約18分軽く焼き色がつくまで焼いたら出来上がりです。