夏真っ盛りです。照りつける太陽は眩しく、体は気温とともに体温が上昇しています。
夏になるとよく「水分補給」という言葉を耳にしますね。
ではこの水分補給、どういった補給がよいのか?今回はそれがテーマです。
夏はなぜ水分補給が重要?
体は、尿や便、皮膚や呼吸からの蒸発や蒸気などで、1日におよそ2,500mlの水分を排出しているため、それだけの水を補わなければなりません。
このうち、体内で作られる一部の水を差し引いた、およそ2,200mlが、食べ物や飲み物から摂る必要量となります。
体内で水が不足すると、体を構成する細胞の水分が失われ、十分な機能が果たせなくなります。それが、自律神経の乱れ、発熱、めまいといった、いわゆる脱水症状として身体にあらわれます。
夏場は、気温上昇などによる体温調節で発汗が起こり、普段以上に多量の水分を排出します。夏は脱水の危険性が高まるからこそ、水分補給が重要なのです。
水はこまめに
日常生活における水分補給は、普通の水で十分です。
補給の方法は、口に渇きを感じる前から、少量ずつをこまめに飲むこと。
一度に大量に飲んでも、体が吸収しきれなかった分は、尿として排出されて
しまいます。
体での蒸発や汗などで、少しずつ失う水分を、少しずつ補うことが基本です。
普段から、普通の水を、口に渇きを感じる前に、少量ずつ、こまめにとるようにしましょう。
経口補水液(ORS)
近年、高温下や病気による脱水時、災害時などの利用で認知度を増しているのは、経口補水液(ORS)です。体から失われた水分・塩分を補給し、糖分で体内での吸収力を高めるよう設計された、脱水時の水分補給のために最適な飲み物です。味をみると、甘さもありますが、どちらかと言えばしょっぱさがあることが分かります。
日常生活上を越えた、大量の水分を体から失ったときは、体が脱水に陥る可能性が予想されます。
・高温下での作業、運動
・老人や子供の多量の発汗
・深刻な下痢や、嘔吐 など
もしこの時に水を飲んでも、脱水は解決していません。汗などで同時に排出されてしまった、塩分の補給も大切なのです。塩分もたくさん失った状態で、水だけを補給すると、水分を補給しているにもかかわらず、疲労、めまい、頭痛といった、脱水症状と似た現象が発生します。(低ナトリウム血症)
こういった状況では、経口補水液(ORS)を利用し、水と一緒に汗で失われる成分
も補うことが重要です。汗をたくさんかいたり、熱中症の危険がある夏に、覚え
ておきたい大切なポイントです。
スポーツドリンク
「水分補給を謳った、水だけではないもの」の代表格といえば、スポーツドリンクですね。
スポーツ時に体での水分の吸収が速やかに行われるよう設計されているものですが、普段から水の代わりに飲んでいる方も多くいます。
スポーツドリンクは、経口補水液(ORS)と味を比較すると、しょっぱいより甘いものがほとんどです。これは、糖分を多く加えることで、味や口当たりを良くし、運動で消費されたエネルギーを補う目的があるからです。そのため、スポーツドリンクは、通常の清涼飲料水(ジュース)と同等、もしくはそれ以上の糖分を含んでいることがあります。
普段の生活の中で水と同じ感覚で飲むには糖分が多く、飲用のしすぎはエネル
ギーオーバーによる肥満、血糖の上昇から糖尿病、う歯(虫歯)、急性の糖尿病
であるペットボトル症候群などが引き起こされる可能性があります。また運動
中でも、一度にたくさん飲むと、低血糖を引き起こす恐れもあります。
用途で使い分けましょう
水、経口補水液(ORS)、スポーツドリンクは、特性や用途がそれぞれ違うため、自分の目的や好みに応じて選びましょう。
(1) 日常生活の水分補給・・・水
水は、普段の生活においての水分補給のメインです。日本人は普段の食事で塩分を十分に摂取しています。脱水などで多量の水分と塩分が同時に失われていなければ、水だけでの補給で十分です。
(2) 脱水時の水分補給・・・経口補水液(ORS)
経口捕水液(ORS)は、多量の発汗や発熱、下痢、嘔吐などによって大量の水分と塩分が体から失われる時、大いに活躍します。また、熱中症の中には、発汗を生じない症状もありますので「汗がないから、水分は不足していない」とは限りません。舌の渇き、発熱、頭痛、めまい、吐き気、こういった症状が高温下で起きている場合、汗をかいていなくても、脱水の可能性を考えましょう。
(3) 運動時の水分・エネルギー補給・・・スポーツドリンク
スポーツドリンクは、運動時に消費されるエネルギーの補給を兼ねたい時に利用します。近年、様々な用途に合わせた商品が発売されています。
・人工甘味料を用いたカロリーゼロのもの
糖分のエネルギーを含まないので、エネルギー消費を目的とした運動などに用います。
・BCAA(分岐鎖アミノ酸)とビタミンB6を添加したもの
BCAAは、主に筋肉で消費されるアミノ酸です。運動時に利用されるこのアミノ酸を補うと同時に、これを有効に利用するための栄養素である、ビタミンB6が添加されています。
・カテキンが添加されたもの
脂肪を消費する酵素がより活性化するといわれる、茶カテキンが含まれて
ます。運動時の脂肪燃焼を助けるといわれています。
おすすめレシピ
市販品も出回っている経口補水液(ORS)は、自作も可能です。
●基本の経口補水液(ORS)●
【材料】1リットル分
砂糖 大さじ4と1/2杯
食塩 小さじ1/2杯
水 1リットル
レモンやグレープフルーツなどの柑橘系果物の果汁(あれば) 適量
【作り方】
すべての材料をあわせ、完全に溶かしたら完成です。
【ポイント】
その日のうちに飲むのであれば、レモンやグレープフルーツなど、柑橘系果
物の果汁を加えてもよいでしょう。
柑橘の風味で飲みやすくなり、果汁に含まれるクエン酸が疲労回復に役立ち
ます。
※また、スポーツドリンクを水で1.5~2倍に薄めたもの1リットルにつき、食塩小さじ1/2杯を加えることで、簡易的な経口捕水液を作ることもできます。
●スイカORS●
基本の経口補水液(ORS)のアレンジです。果物をベースにすると砂糖が不要です。
【材料】 1リットル分
スイカ(皮と種を取った実の部分) 市販の1/6カットの半分量
食塩 小さじ1/2杯
水 適量
レモン汁 レモン1個分
【作り方】
①スイカの実の部分をミキサーにかけ、布や万能こし器で濾して果汁をとります。
②果汁に食塩とレモン汁を加えて溶かし、全体が1リットルになるように水を加えれば、
完成です。
【ポイント】
経口捕水液に用いる糖分に、夏ならではのスイカを用いたドリンクです。
塩分だけでなく、スイカに含まれるミネラル「カリウム」も摂取できます。
冷蔵保存し、その日のうちに召し上がってください。