前回に引き続き、最新の「国民健康・栄養調査」より、現状の日本人の食生活を見直していきたいと思います。第2回目は「野菜の摂取不足について」です。外食の機会が増え、忙しくて食事をとる余裕がないなど、現代には野菜不足を招きやすい生活習慣が増えています。今回は野菜の健康効果や、今より摂取量をアップさせる一工夫をご紹介します。
現在の野菜摂取量について
「健康日本21」(平成12年より厚労省より発表され、生活習慣病の予防を目的とし生活習慣を改善するための目標を示したものである)では、野菜摂取量の目標値を1日当たり350g以上としています。平成15年から22年の野菜摂取量の年次変化と、平成22年の年代別の野菜摂取量を下記に表示しました。
(参照:厚生労働省 平成22年国民健康・栄養調査結果の概要より)
年々野菜の摂取量が減ってきている傾向であることが分かります。目標値の350gに対して、現在の野菜の摂取量は8割程度の約280g、年代別の結果でも、すべての年代において目標値は達成されておらず、特に若い年代で野菜の摂取不足です。今後、野菜の摂取量を増やしていく必要性があります。
野菜の健康効果
野菜は低エネルギーで、体の調子を整えるためのビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が多く含まれています。また野菜の色素成分にも健康効果があります。つまり「色とりどりの野菜を沢山食べること」は生活習慣病の予防や健康維持につながります。様々な健康効果が期待できますので、たっぷりと野菜をとるようにしましょう。
●肥満防止
野菜を食べることによって、噛む回数が増え、その結果食べ過ぎ防止に繋がります。噛む回数を増やすためには、 根菜類(大根、にんじん、ごぼうなど)がおすすめです。また、大きめに切ることや、加熱の際には歯ごたえが残る程度の硬さにすることで、より一層噛む回数が増えます。
●血圧の改善
野菜に含まれるカリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を体外に排出する効果があります。そのため、血圧を健康に保つうえで良い効果が期待できます。
●血糖値、コレステロール値の改善
野菜に多く含まれる水溶性食物繊維は、糖の吸収をおだやかにする作用をもち、食後の急激な血糖値上昇を抑える効果が期待されます。また、コレステロール値を改善する作用も期待できますので、血糖値やコレステロールが高めの方にもおすすめです。
●骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症の予防に必要な栄養素は、カルシウムです。カルシウム源の食品といえば「牛乳」はよく知られていますが、意外に野菜にも多く含まれています。例えば、野菜の中でもカルシウムが多く含まれている水菜には、100g(約4~5株)あたり牛乳コップ1杯分(200g)と同じ程度のカルシウムが含まれているのです。乳製品が苦手な方は、野菜をしっかり食べることも大切です。
1日に必要な野菜量
野菜には、赤や黄色、緑といった鮮やかな色をしている緑黄色野菜と、淡い色をした淡色野菜の2つに分けられます。
【緑黄色野菜】 にんじん、ピーマン、ほうれん草、ニラ、ブロッコリー、トマト、
かぼちゃ 等
【淡色野菜】 玉ねぎ、キャベツ、もやし、大根、白菜、レタス、きゅうり 等
厚生労働省が「健康日本21」で推奨する1日の野菜目標摂取量は350g以上です(緑黄色野菜120g以上、淡色野菜230g以上)。350g以上の野菜をわかりやすくすると、サラダやお浸しなどの料理を5、6皿程度が目安となります。朝食、昼食、夕食で2皿ずつとることを目標にしてみましょう。
例 朝食:温野菜サラダ、筑前煮
昼食:ほうれん草のお浸し、野菜サラダ
夕食:きゅうりとわかめの酢の物、かぼちゃの煮物
※注意※
煮物は塩分が多めなので、煮物ばかりに偏らず、サラダやお浸しや酢の物など、様々な食べ方で野菜をたくさん食べるようにしましょう。
野菜の摂取量をアップさせる一工夫
日頃から野菜を食べることを意識しているけれど、なかなかとれていないという方も多いのではないでしょうか。
野菜をたくさんとるための一工夫をご紹介します。
●加熱して食べる
加熱することにより「かさ」が減り、生でそのまま食べるよりも量をとることができます。
また、加熱する際は、煮る・茹でるよりも、蒸す・焼く方が、ビタミンなどの栄養素の損失を抑えることができます。
※電子レンジを使うのもポイント!
野菜の下処理が大変だという方に、手軽に野菜をとるためにおすすめ
なのが電子レンジの活用です。
手軽というだけでなく、栄養素の損失も少ないので、とても便利です。
☆ほうれん草などの葉野菜など
丸ごとラップに包んで加熱
加熱の目安時間:ほうれん草1束 500W 約2分
(長時間加熱すると水分がとんでパサパサになるので注意しましょう)
☆かぼちゃ、にんじんなど
一口大に切った食材は重ならないように耐熱容器に入れ、大さじ1程度の水を
全体にかけ、ふんわりとラップをしてから加熱
加熱の目安時間:にんじん1本 500W 約3~4分
●つくり置きのできる野菜を活用する
にんじん、ブロッコリーなど好みの野菜を、下処理してから冷凍庫にストックしておきます。ストックしておくことで、様々な料理に活用することが出来ます。
また、市販の冷凍のカット野菜もおすすめです。
●外食では主食、主菜、汁物に野菜が入っているものを選ぶ
主食(ご飯、パン、麺類など)や主菜(肉、魚、大豆製品など)、汁物等でもなるべく野菜が入っているメニューを選んで、野菜の量を増やしましょう。
例)主食なら…野菜サンドイッチ、タンメン 等
主菜なら…肉野菜炒め、付け合せにたっぷりの野菜がついている
料理(例:豚のしょうが焼き)
汁物なら…けんちん汁、豚汁 等
まずは今より野菜の摂取量をアップするためにも、出来ることからはじめていきましょう