ヘルスケアトータルソリューションズ株式会社

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栄養コラム

鯖(さば)

No.119

2013年11月1日

管理栄養士 田原 佳奈

鯖は日本で多く水揚げされる魚でもあり、皆様にも身近な魚だと思います。秋に脂がのって美味しくなる旬の魚です。旬の魚は美味しさも増しますが、身体に良い働きをする栄養も多く含まれますので、是非おすすめしたい食材です。旬の食材、鯖を食べてみませんか。momoji


旬の鯖

今が旬の鯖はマサバで、青魚として有名です。青魚の中でも鯖に多く含まれる栄養素はIPA(EPA)・DHAとビタミンB12、ナイアシンです。よく食卓に並ぶ魚の「鯵」と比べました。

● IPA(EPA)・DHA
鯖は魚に含まれているIPA(EPA)・DHAを特に多く含みます。

1食分(80g)に含まれるIPA(EPA)・DHA量
 IPA(mg)DHA (mg)
400560
184352
鯖1食分(80g)で1日に必要な
IPA(EPA)・DHAが摂れます。

IPA(EPA)・DHAは血の固まりを作りにくくするため、動脈硬化の予防になったり、血管の収縮をやわらげるので血圧を下げたりする効果があると言われています。

旬の鯖は脂がのり、脂質量は通常の1.5倍以上となるので、IPA(EPA)・DHAをより多く摂ることができます。
ただし、脂質が多い分、食べ過ぎるとエネルギー過剰になりますので注意して下さい。

● ビタミンB12、ナイアシン
魚の中でもビタミンB12、ナイアシンを多く含みます。

1食分(80g)に含まれるビタミンB12、ナイアシン量
 ビタミンB12 (μg)ナイアシン(mg)
8.58.3
0.64.3
鯖1食分(80g)で1日に必要な
ビタミンB12が摂れます。

ビタミンB12は赤血球を作る際に必要なもので、不足すると悪性貧血を起こし、疲れやだるさを感じます。
ナイアシンはエネルギーを作り出す代謝に関わっており、特にお酒を飲んだときに二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解に必要な栄養素で、二日酔いを予防しますのでお酒のおつまみにも最適です。


IPA(EPA)・DHAを効果的に摂る

 鯖に含まれるIPA(EPA)・DHAは酸化に弱いため、新鮮な刺身などを生で食べるともっとも効率的に摂る事ができますが、鯖は鮮度が落ちやすいので生で食べることがまれです。酸化を抑える食材と組み合わせIPA(EPA)・DHAを効果的に摂りましょう。

● 酢
 酢には抗酸化作用があります。酢で漬け込んだり、調味料として加えましょう。
 代表的な料理にしめ鯖があります。

yasai● 緑黄色野菜
 β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEは抗酸化作用が高く、これらを多く含む
 緑黄色野菜を一緒に摂ることでIPA(EPA)・DHAの酸化を防ぎます。特にこ
 れらの栄養素が多いにんじん、ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ、ピーマ
 ンなどを付け合わせにしましょう。また、β-カロテン、ビタミンEは脂溶性
 ですので鯖に含まれる脂質と一緒にとることで吸収率もあがります。

● オリーブオイル
 オリーブオイルはビタミンEやポロフェノールを多く含むため、抗酸化作用が高い油です。鯖の脂質が
 酸化されることを防いでくれますので調理に使用しましょう。 oilve oil


鯖を食べよう

● 選び方
 「鯖の生き腐れ」ということわざがあります。これは鯖の鮮度は落ちやすく、見た目が変わっていなくても、食べるとあたってしまうことからできたことわざです。鮮度の良いものを見分けることが大切です。次の点に注意してみましょう。

1. 目が透明で、濁っていないもの
2. 身に張りがあるもの(特にお腹のあたり)
3.皮がキラキラした輝きのあるもの

切り身の場合は血合いが赤くきれいで、身が割れていないものを選びましょう。

● 臭みをとる
 鯖は塩焼き、味噌煮、揚げ物など様々な料理方法で食べることができます。ただ、鯖は臭みが強く、食べにくいと感じられている方も多いのではないでしょうか。
魚の臭みは死後にうまみ成分が分解されることによって作られます。そのため、なるべく新鮮なものを選ぶことが大切ですが、下処理や調理によって臭みを抑えることもできます。

下処理
 塩・・・魚の2%の塩を振り、10分程置きます。出てきた水分をキッチンペーパーで
     ふきとります。
 酒・・・魚の旨味を増す作用があります。上記の塩とあわせて酒を振りかけ、
     10分程置いて、出てきた水分をキッチンペーパーでふきとります。
 霜降り・・・お湯をさっとまわしかける、または沸騰したお湯に入れ、白くなったら冷水に
       取り出し、灰汁などを洗います。

調理
 酸味・・・酸は臭みのもとと反応して臭みを抑えます。(例:酢やレモン、梅干し)
 生姜・・・魚の臭みを除去する効果があります。煮物を作る際に、鍋へ鯖を入れてひと煮立ち
      してから生姜を入れると効果的です。
 味噌、香辛料、ハーブ・・・これらの持つ強い味や匂いが魚の臭みを抑えます。


おすすめレシピ

鯖は塩焼き、味噌煮など和風料理で食べられることが多いですが、ムニエルやトマト煮、マリネなどの洋風料理も臭みが抑えられお勧めです。今回は鯖の酸化を抑えるオリーブオイルを使い、魚の臭みをハーブで抑えたメニューをご紹介します。

● 鯖のハーブ焼き
オリーブオイルとローズマリーの香りを生かした洋風の簡単メニューです。

【材料】 2人分recipe
・鯖 ・・・2切れ(140g)
・塩・・・小さじ1/2
・白ワイン ・・・大さじ1
・ニンニク ・・・1片(約5g)
・オリーブオイル ・・・大さじ1
・ローズマリー ・・・2本またはドライ小さじ1/2

【作り方】
1.鯖に塩をふりかけ10分おき、出てきた水分をキッチンペーパーでふき取ります。
2. スライスしたニンニクと白ワイン、オリーブオイル、ローズマリーに鯖を
  30分漬け込みます。
3. フライパンにオリーブオイルを入れ、2.で鯖を漬け込んだニンニクとローズマリーを
  加えて熱し、鯖を皮目から焼きます。両面を焼いて火が通ったら出来上がりです。

お好みで付け合わせにブロッコリーやパプリカなどの緑黄色野菜を一緒に焼いたり、盛り付けにレモンを添えてお召し上がりください。