まだまだ寒い日が続きますが、3月21日は春分の日です。この日を過ぎると徐々に春らしくなってきます。みなさまは春の訪れをどのように感じていますか。忙しい時期ではありますが季節の移り変わりを旬の食材から感じてみてはいかがでしょうか。
春を知らせる山菜
春は木々が芽吹きだす季節ですので食材にも山の幸が多くみられます。山菜は冬の終わりから春にかけてが旬で、春を知らせてくれる食材の一つです。季節の変わり目は体調がすぐれないことも多いと思いますが、旬の食材にはその時季に合った栄養を含みますので、山菜を食べて体調を整えていきましょう。
山菜の苦み成分
「春は苦味を盛れ」と言われているほど春の食材は苦みが多いことが特徴です。この苦みはポリフェノールやアルカロイドという成分で冬から春へと身体を目覚めさせる働きがあります。主な作用についてご紹介します。
ポリフェノールは数千種類あり、抗酸化作用を持つため、がん予防や免疫向上などが期待できるといわれています。また血糖を下げるなど生活習慣病を予防する作用が話題になっています。山菜に含まれるポリフェノールは、ふきのとうに含まれるフキノール酸、ケルセチン、ケンフェロール、たらのめに含まれるエラノサイド、こごみやうどに含まれるクロロゲン酸などがあります。
緑茶やコーヒーに含まれているカフェインやジャガイモの芽に含まれているソラニンもアルカロイドの一種で、種類や量によっては毒となるものですが、昔から生薬などにも含まれており、うどのジテルペンなど代謝を活発にし、老廃物などの排泄促進作用があるといわれています。下処理をして食べましょう。
いろいろな山菜
○ふきのとう ‐蕗の薹‐(2月~3月)
雪の合間に芽をだすこともあり、他の食材より早く春の訪れを知らせてくれます。花茎を食べるのでふきよりも栄養が豊富です。ほろ苦いですが食べたときには春の香りが口に広がります。
○たらのめ ‐楤の芽‐(3月~4月)
タラノキの新芽で、山菜の中ではたんぱく質を多く含みますので食べたときに滑らかさがあり、山菜の王様ともいわれています。ハウス栽培が多くなり、スーパーでも比較的長い期間目にすることができますが、天然物は香りも強く、美味しいです。
○うど ‐独活‐(3月)
漢方では根を乾燥させたものを生薬として用いています。
香りとシャキシャキした歯触りが特徴です。
○ぜんまい ‐薇‐(4月~5月)
渦巻状に巻いた葉があり、ワタ状の繊維で覆われています。生だとアクが強いので下処理が欠かせませんが下処理済みの水煮や乾燥したものが売られており、手軽に活用できます。
○こごみ(4月~5月)
ぜんまいより濃い緑色をしており、葉の先が丸まった若芽で、ぬめりが少しありますが、歯ごたえがよく、アクが少ないため山菜の中でも比較的食べやすい山菜です。
選び方 | 保存方法 | 主な料理 | |
ふきのとう | 葉が開いておらず、 つぼみが硬いもの | 湿らせたキッチンペーパーに包み、ビニール袋へ入れ冷蔵庫へ | 天ぷら 胡麻和え ふき味噌 |
たらのめ | 緑が鮮やかで芽の先が少し開き、ふっくらしているもの | 新聞紙で包み、野菜室へ | 天ぷら お浸し |
うど | 茎が白く太くまっすぐで、うぶ毛が全体にしっかりついているもの | 新聞紙で包んで冷暗所へ | 酢味噌和え 酢の物 サラダ きんぴら |
ぜんまい | 干しゼンマイは太くて黒いもの | 生:アク抜きし、乾燥させる 乾物:戻して使用し、残った分は 水に浸した状態で冷蔵庫へ | 和え物(ナムル) 炒め物 |
こごみ | 葉先の開いていないやわらかいもの | 新聞紙に包み、野菜室へ | 天ぷら 和え物 |
下処理
山菜はアクが強く、苦みやえぐみを抑えるためにアク抜きが必要になります。しかし、アクにはポリフェノールが含まれていますのでアク抜きし過ぎないことも大切です。
○塩茹でする(こごみ、たらのめ、ふきのとう)
たっぷりのお湯に約2%の塩を加え、沸騰させたところでさっと茹でて、冷水にさらします。まだ苦味が残っている場合には冷水にさらす時間を長くします。
○酢水につける(うど)
皮をむいて、すぐに酢水にさらします。
○重曹をかける(ぜんまい、わらび)
重曹を山菜にふりかけ、熱湯をかけます。重曹が全体に届くように上下を返し、一晩置いた後、1~2時間水にさらします。
○油で揚げる
苦味成分は油に溶けやすいため、揚げると苦みが抑えられます。
おすすめレシピ
山菜の中でも生で食べることのできる「うど」に春野菜の「菜の花」を使った洋風レシピです。
シャキシャキとした食感が楽しめ、味をなじませて作り置きもできるのでちょっとした前菜に便利なメニューです。
●うどの春野菜マリネ
【材料】 2人前
・うど・・・1/3本(約60g)
・菜の花・・・50g
・玉ねぎ・・・1/6個(約30g)
・にんじん・・・1/3本(約30g)
・ミニトマト・・・2個
・マリネ液
a. 白ワインビネガーまたは酢・・・大さじ1.5
b. オリーブオイル・・・大さじ2
c. 砂糖・・・小さじ1/2
d. 塩・・・小さじ1/4
・粒こしょう・・・お好みで
【作り方】
1. うどの皮をむき、千切りにして酢水につけ、ザルに上げ水分を切ります。
2. 鍋にお湯をわかし、菜の花を冷水で冷まします。しっかり水分を絞り、2~3等分に切ります。
3. 玉ネギを薄くスライスし水にさらし、辛みがとれたらしっかり水分を絞ります。
にんじんを千切りにし、ミニトマトを半分に切っておきます。
4. 1~3をボールに入れ、調味料を混ぜ合わせたマリネ液をかけ、和えます。
5. お皿に盛り、お好みで粒こしょうをかけてお召し上がり下さい。
※マリネ液はお好きなドレッシングでも代用でき、サラダとして簡単に食べられます。