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栄養コラム

チンゲン菜

No.250

2024年10月1日

管理栄養士 豊泉友加里

チンゲン菜は10月から旬を迎え、気温が下がる今の時期はちょうど身が締まって甘みがアップします。ぜひ美味しい時期にお食事で楽しんでいただけるよう、今回はチンゲン菜の魅力についてお伝えします。

チンゲン菜について

中国の華中地区で作られていたチンゲン菜は、今でこそ身近な野菜になっていますが、日本で食べられるようになったのは1972年日中国交回復後以降と言われており、日本で食されるようになった歴史は案外浅いですが、現在日本に最も広まっている中国野菜の一つです。白菜の仲間で、シャキシャキとして、クセが少なくほのかに甘みがあり、生で食べても美味しく召し上がることができ、煮崩れしないのが特徴で、中華料理はもちろん西洋料理にも合う万能野菜です。


栄養的特長

エネルギーが少ない上に、ビタミンやカリウム、鉄分やカルシウムなどの不足しがちな栄養素を含むため、ぜひ取り入れていただきたい食材のひとつです。

β-カロテン

チンゲン菜にはβ-カロテンが多く含まれています。同量の緑黄色野菜と比較しても、ブロッコリーの約2倍、トマトの約4倍と多いことが分かります。β-カロテンは油と相性のいいビタミンのため、炒め物など中華料理で使いやすいチンゲン菜は、より効率的に取り入れることができます。

カルシウム・鉄分

チンゲン菜にはカルシウムと鉄分の両方が含まれています。なかでもカルシウムは、牛乳と等しい含有量で野菜の中でも多い食材です。カルシウムと鉄分は不足しやすいミネラルなので、栄養バランスを整える上でも多く取り入れたい野菜の1つです。


おいしいチンゲン菜の選び方と保存方法

<選び方> 
チンゲン菜は、葉の色が濃いものは生育しすぎて堅くアクが強くなるため、淡い緑色で厚みがあり、根元がふっくらとしているものを選ぶのがおすすめです。また、鮮度が落ちると葉の色が黄色く変色してきますので、新鮮なうちにいただきましょう。

<保存方法>
保存期間の目安は4~5日です。チンゲン菜は乾燥に弱い野菜ですが、濡れたまま保存してしまうと逆に早く傷みますので、乾燥しないよう濡らしたキッチンペーパーなどで包み、ビニール袋に入れ冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。また冷凍する場合は、一度固めに茹でてから冷水で冷やし、水気をよく絞って小分けにし、ラップなどで包んで保存袋に入れ冷凍しましょう。

チンゲン菜のおすすめ調理法

葉に対して茎は肉厚なので、調理する際にはタイミングをずらす、葉と茎を分けて調理する、 切る大きさや切り方を変えるなどのひと工夫をすることで、より美味しく、且つ効率的に栄養素を取り入れることができます。チンゲン菜におすすめの調理方法やポイントをご紹介します。

【電子レンジで調理】

チンゲン菜はアクが少ない野菜のため、電子レンジで調理するのに適しており、含まれるビタミンB群やビタミンC、カリウムといった水に溶けやすい栄養を逃さず取り入れることができます。

(方法)
チンゲン菜は茎の根元の部分に土がたまっているため、カットしたら茎部分をよく洗いましょう。切り方のポイントは、葉は食べやすい大きさに、茎は縦に細切りにすることです。カットしたら耐熱容器に茎部分を下に(ターンテーブル式の場合は茎部分を上に)入れ、ふんわりラップをかけます。
1株100gあたり600Wで1分30秒~2分加熱し、水分をしっかり切ります。
※味が薄くなる原因となるため、しっかりと水気をきりましょう。

おすすめレシピ「お浸し」
上記の通り電子レンジで加熱したチンゲン菜に、    鶏ガラだし・ごま油・しょうゆ各小さじ1と和え、  10分以上漬けて完成。              ワンポイント:ツナやサバ缶などを加えることでたんぱく質もアップに。

 

【たんぱく質とあわせる】

淡泊な味わいなので、ベーコンや干しエビなどのうま味のある食材と組み合わせるのがおすすめです。また、肉や魚介類との相性がよく、チンゲン菜に含まれる鉄分を効率よく取り入れることができます。

おすすめ調理法
・ベーコンと合わせてスープに。(卵を加えてたんぱく質アップ)
・干しエビと合わせて炒め物に。(ブロッコリーやじゃがいもを加えてビタミンCアップ)

  

【油とあわせてとる】

油とあわせて取り入れることで、脂溶性のビタミンを吸収しやすくなります。中華料理で使用することの多いチンゲン菜は、風味豊かなごま油と合わせるのがおすすめです。茹でるときに油を少量加えることで水っぽい食感を防ぐことができ、炒める際に少量の熱湯を加えて蒸し焼きにすることでも同様の効果があります。

調理時のポイント 
チンゲン菜1株(100g)あたりで炒める・茹でる際に使用する油は、小さじ1/2~1が適量です。油と相性のいい食材ですが、調理での油の摂り過ぎには注意しましょう。

【生で食べる】

生で食べることで、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素を無駄なく摂れます。
茎の部分は硬いため薄くスライスすると食べやすくなり、サラダなどにするとチンゲン菜のシャキシャキとした歯ごたえも楽しめ、満足感にもつながります。
普段召し上がるサラダに、チンゲン菜をプラスしてボリュームアップしてみてください。


おすすめレシピ

チンゲン菜にうま味の多いあさりを合わせることで、美味しさとともに鉄分アップと、カルシウムの多い牛乳を加えて日本人に不足がちな栄養素が補給できるレシピです。

チンゲン菜のクリーム煮

【材料】2人分  
チンゲン菜      1株(100g)
あさり水煮缶     1缶(120g)
エリンギ       1本(50g)
牛乳         150ml
油          小さじ1/2
顆粒コンソメ     小さじ1/4
塩          少々
こしょう       適量
片栗粉        小さじ1 
水          大さじ1

①チンゲン菜は茎と葉に分けて水洗いし、茎は削ぎ切りに、葉は食べやすい大きさに切ります。エリンギは傘と軸に分けて、傘は5mm幅の縦切りに、軸は5mm幅の輪切りにします。
②フライパンで油を熱し、チンゲン菜の茎を入れて炒め、しんなりしてきたら、エリンギ、チンゲン菜の葉、あさり水煮缶を缶汁ごと加えて煮ます。
③煮立ったら牛乳、コンソメを加えて塩こしょうで味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成です。※牛乳は煮立たせ過ぎないように注意しましょう。

【おすすめアレンジ】
・牛乳を豆乳に替えて、脂質や糖質を抑えて低カロリーに。
・コンソメを中華だしに替えて中華風に。
・あさりの水煮缶は、冷凍のものや、シーフードミックスなどに替えてもOK
・生姜を加えて、風味と栄養価をアップ。体がより温まりやすくなります。