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栄養コラム

ひじき

No.248

2024年8月1日

管理栄養士 豊泉友加里

日本は世界有数の長寿国です。日本人の健康を支えてきた要素の一つとして、海藻を食べる習慣があげられます。日本人が食べている海藻は、昆布やわかめ、海苔、もずくなど種類も様々ですが、今回は和定食の定番「ひじきの煮物」などでお馴染みの『ひじき』の魅力をお伝えします。
ひじきには不足しやすい栄養素が含まれています。ぜひお食事に取り入れていきましょう。

ひじきについて

海藻の仲間である「ひじき」は、健康維持に必要な栄養素がとれる食材です。
そのため、産地の一つである三重県では「ひじきをもっと食べて健康に長生きして下さい」
との願いを込めて、1984年から9月15日(旧 敬老の日) を【ひじきの日】 に制定し、
1985年から毎年お祭りも行われています。


ひじきには、お惣菜でも使われることが多い「芽ひじき」と「長ひじき」の2種類があります。

●芽ひじき
先端の葉や芽、小枝のやわらかい部分は「芽ひじき」と呼ばれており、水で5~10分戻して使えるため、お料理にサッと取り入れやすいです。また、加熱する場合は水洗い後すぐに使えます。
例)和え物、混ぜご飯 煮物など

●長ひじき
茎の部分(主枝)は「長ひじき」と呼ばれており、しっかりとした歯ごたえの食感や、海藻らしい風味を楽しめます。また、ほかの食材と合わせたときに、芽ひじきよりも箸に絡みやすいので食べやすいです。芽ひじきに比べて戻す時間が20~30分と時間がかかるため、急ぐときはぬるま湯で10分ほど戻すのもおすすめです。
例)煮物、炒め物、サラダなど


ひじきの栄養で得られる効果

ひじきに含まれる栄養素には、こんな効果が期待できます。

1.ストレスの改善

ひじきには、骨や歯の健康に関わるカルシウムだけでなく、カルシウムとバランスをとっているマグネシウムも多く含まれ、神経の興奮を抑える働きによって日々のストレス改善にもつながります。また、カルシウムを多く摂りすぎると、マグネシウムの排泄が増えてしまうのでカルシウム:マグネシウムの摂取量の比率は2:1が望ましいとされています。
1食当たりのひじき・牛乳・ししゃもで比較してみると、ひじきに含まれるマグネシウムとカルシウムのバランスが整っているのがわかります。1食でカルシウムとマグネシウムをバランスよくとれるので、食事に上手に取り入れてみてください。 

2.血糖値のコントロール

ひじきの成分の大半には食物繊維が含まれ、血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑え、便通改善も期待できます。
普段召しあがるご飯を例に、ご飯のみと、ご飯にひじきをプラスした状態で比較すると、1食で摂れる食物繊維が2倍までアップします。ご飯とあわせて食物繊維を取り入れることで、血糖値が急激に上がることも抑えられ、血糖値コントロールにもつながります。混ぜご飯や副菜などでひじきを積極的に取り入れて、普段のお食事の栄養価をアップしていきましょう。また、お食事にプラスする際は、消化しやすいようによく噛んで食べることも心がけていきましょう。

3.血圧コントロール 

ひじきには余分な塩分を排出するカリウムも多く含まれ、むくみ解消や血圧のコントロールにつながります。塩分を摂り過ぎると体内の塩分濃度を薄めようと体の水分量が多くなり、むくみや血管圧迫による血圧上昇などにつながります。塩分過剰を防ぐためにも、ひじきも煮物ばかりではなく、野菜と合わせてサラダや和え物にしたり、ご飯に混ぜるなど、味付けや調理法も変えて楽しみましょう。


おすすめの組み合わせ

より効果的に栄養素を取り入れられる、おすすめの食べ方をご紹介します。

+ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、相性抜群の組み合わせです。
ビタミンDの多い食品・・・鮭、サバ、きのこ類など
例)焼き魚or刺身+ひじきの煮物 など

+ビタミンC、クエン酸

ひじきに含まれる鉄分を吸収しやすくする上で、ビタミンCやクエン酸との組み合わせがおすすめ。酸味のあるものでさっぱりと楽しめるので今の時期にもぴったりです。
ビタミンCの多い食品・・・ブロッコリー、パプリカ、にんじんなど
クエン酸の多い食品・・・レモンなどの柑橘類、梅干し、お酢など
例)サラダ、マリネなど


おすすめレシピ

暑い時期にもさっぱりと召しあがれるマリネは、今の時期におすすめのレシピです。
また、煮物よりも塩分が抑えられ、様々な食材でのアレンジやお料理にも活用できるので
定番の煮物以外の食べ方で、ひじきを上手く取り入れましょう。

ひじきのマリネ

【材料】2人分
乾燥芽ひじき      大さじ3(約10g)
蒸し大豆        大さじ4(約60g) 
かいわれ大根      1/2パック(約20g)
ポン酢しょうゆ     大さじ1
オリーブオイル     小さじ1
塩           ひとつまみ
こしょう        少々

①ひじきは、たっぷりの水に10~15分浸して戻す。
 戻した後、2~3回水洗いをして水気を絞る。
※戻した水は調理などに使わないようにしましょう
②フライパンにオリーブオイルを熱し、①、大豆、根を切ったかいわれ大根を入れて炒める。
③汁けがなくなったらボウルに移し、ポン酢しょうゆで和え、塩・こしょうで味を調える。
 器に盛り付けて完成。

食材や味付けのアレンジで、様々なバリエーションが楽しめます。


―食材のアレンジ例―
・「蒸し大豆」を枝豆やミックスビーンズに変えると彩りも楽しめ、ご飯に混ぜてアレンジも楽しめます。
・「かいわれ大根」をパプリカやブロッコリー、冷凍ミックスベジタブルなどに変えて、さらにケチャップ小さじ1杯ほど加えると、また一味変わった洋風レシピになります。

そのまま副菜としてだけでなく、他の食材と合わせておかずの1品にしたり、ご飯に混ぜる、パンに添えるなどアレンジもお楽しみください。


また、ひじきは低カロリーの上に栄養価も高いため、積極的に取り入れていきたい食材ですが、食べすぎには注意が必要です。煮物なら小鉢1杯分(乾燥ひじき量としては約3g)程度を目安にバランスよく摂ってください。

こちらもご参考ください。
(厚生労働省: ヒジキ中のヒ素に関するQ&A)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html