明けましておめでとうございます。
新しい1年がスタートしました。今月はたらをご紹介いたします。たらは、冬が旬で、寒い季節に食べたい鍋料理には欠かせない、ちょうど今が食べごろの魚です。また、消化が良く、胃腸にやさしい食材ですので、年末からお正月にかけて胃腸が疲れやすい時期にもぴったりです。
たらについて
たらは、代表的な白身魚の1つで、身は脂肪が少なく淡白でくせがないのが特徴です。たらの白子もなめらかな食感ややわらかな味が好まれています。日本で獲れるたらの種類は、まだらやすけとうだらなどの種類があり、一般的にたらと言えば、まだらをさします。
たらを漢字で、魚へんに雪(鱈)と書くのは、字があらわす通り12~2月の寒い時期が旬であることや、身が雪のように白いことなどが由来と言われています。食欲旺盛な魚で腹いっぱいに食べ、お腹が大きくふくらんでいることから、「たらふく食べる」の語源にもなっているようです。たくさん食べられる喜びに繋がる、「多良(たら)」で良い事がたくさん起こりますようにとゲン担ぎになるなど、たらを縁起物とする地域もあるようです。
たらの加工品
たらやすけとうだらを使った様々な加工品をご紹介いたします。
●練り製品
かまぼこやちくわ、はんぺん、さつま揚げなどの練り製品は、魚のすり身に調味料を合わせて成形し、蒸す、焼くなどして作られます。すけとうだらは、切り身として売られているのをあまり見かけることがありませんが、身はほとんどが練り製品の原料として使用されています。
●たらこ
すけとうだらの卵巣を塩漬けにしたものです。赤い食用色素で色付けされていることが多いですが、近年は無着色の商品も増えてきています。たらこと言えば、辛子明太子が福岡県の名産品として有名です。これは、朝鮮語ですけとうだらを「明太」と書き、すけとうだらの卵(子)を明太子と呼ぶことから、唐辛子で味付けしたたらこを辛子明太子と呼ぶようになったと言われています。
●でんぶ
たらの身を蒸す、または茹でてから細かくほぐし、砂糖、みりん、酒、醤油などで味付けして、水分が無くなるまで煎ったものです。主にちらし寿司やのり巻きの具などに用いられており、薄紅色に着色したものは桜でんぶと呼ばれています。
●干だら
たらの乾燥品のことで、まだらを開いて素干しにした棒鱈やすけとうだらを塩干しにしたすきみだらなどがあります。いずれも水で戻して、塩抜きしてから煮物などにします。棒鱈は、関西ではおせち料理として食べられるほか、京都では、えびいも(※)と棒鱈を炊き合わせた「芋棒」が郷土料理として有名です。
※えびいも…里芋の一種で、茶色の縞模様や反り返った形がエビに似ていることから、その名で呼ばれています。
たらの特徴
低脂質、低カロリー
たらは、低脂質で低カロリーの食材です。他の白身魚と1切れ(約100g)あたりの脂質・エネルギーを比較すると、たらは脂質が著しく少ない事が分かります。また、エネルギーも他の白身魚に比べて低いため、食事からのカロリー摂取や、脂質の摂り過ぎを防ぎたいという方におすすめです。特にこの時期は、お正月太りを早めにリセットしたいという方にもぴったりの食材ですので、いつもより食べ過ぎてしまったと気になっている方は、ぜひ取り入れてみてください。 ※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
胃腸にやさしい
体調不良の時や、胃腸の調子が悪い時などは、消化の良いものを食べて胃腸を休めるのが一番ですが、そんな時にたらはおすすめです。身が柔らかく、脂質が少ないたらは消化が良く、胃腸に負担がかかりにくい食材です。低脂質ですが、筋肉や血液など体を作る栄養素として欠かせない、たんぱく質は豊富に含まれているので、しっかりと栄養を摂ることができます。その他、消化力が低下気味のお年寄りや赤ちゃんの離乳食としても安心して食べていただけます。
様々な料理に活用できる
たらの身は柔らかく、淡白でくせのない味で子供からお年寄りまで食べやすい食材です。たらは冬の鍋料理や煮魚など和食には欠かせませんが、和食以外にも、様々な料理を楽しむことができます。ムニエル、ブイヤベース、アクアパッツアなどの洋風料理や、野菜やきのこの甘酢あんをかけて中華風にするなど、料理のバラエティが豊富です。
たらの選び方・下処理・保存方法
新鮮なたらの切り身の選び方から下処理、保存方法についてご紹介いたします。
●選び方
切り身は透明感があり、ほのかにピンク色で張りがあるものを選びましょう。また、皮に光沢感があるのも鮮度が良い状態と言えます。鮮度が落ちると透明感が無くなって色が濁ってきますので、避けるのが望ましいです。
●下処理
たらはそのまま使うと臭みを感じることがありますので、下処理をしてから調理しましょう。
身をバットに並べて塩を振り、10~15分程置きます。水分が出てきたら、キッチンペーパーなどで丁寧に拭き取ります。この処理を行うことで、魚の水分と一緒ににおい成分も取り除くことができるだけでなく、余分な水分が出ることにより身が引き締まり、火を通したときの形崩れも防げます。
●保存方法
下処理を行った後1切れずつ、キッチンペーパーに包んでさらにラップで包みます。保存袋に入れて空気を抜きながら密封し、冷蔵庫または冷凍庫で保存します。冷蔵庫の場合は2~3日、冷凍庫の場合は2週間程度が保存の目安ですが、保存状態によって期間が変わってきますので、なるべく早く使い切るようにしましょう。
おすすめレシピ
<たらのフライパン蒸し>
手軽に作れるたらのフライパン蒸しをご紹介いたします。
お正月シーズンは、つい食べ過ぎてしまったり、味の濃いものが多くなりやすいため、たらのような淡白なさっぱりとした味わいの食材を取り入れて、胃腸を労わりましょう。また、たらの身はくせがないので、青魚のような臭いが苦手という方やあまり魚を食べる習慣がなかったという方にもおすすめです。
今回のレシピでは、食べる時に合わせるたれも2種類ご紹介いたします。たらはポン酢と合わせることが多いかも知れませんが、食材がさっぱりしている分、たれは風味や味がはっきりしたものもよく合います。お好みでお楽しみください。
【材料・分量(2人分)】
・たら 2切れ
塩(たらの下処理用)
・昆布 2-3g
・椎茸 4個(40g)
・白菜 葉1-2枚(100g)
・にんじん 薄切り4-5枚(10g)
・生姜(臭み消し用) 1かけ(5-6g)
・酒 大さじ4(60ml)
・水 大さじ4(60ml)
たれ
(1)ねぎだれ
・こねぎ(小口切り) 5-6本(30g)
・すし酢 大さじ2
・醤油 大さじ1・1/2
・生姜(すりおろし) 1かけ(5-6g)
・炒りごま(白) 小さじ1
(2)味噌だれ
・すし酢 大さじ2
・みそ 小さじ2
・生姜(すりおろし) 1かけ(5-6g)
・ごま油 小さじ1
※たれを作るときは、すし酢を使うと便利ですが、無い場合は酢と砂糖を合わせてください。
【作り方】
1.フライパンに酒、水を入れ、昆布を浸してふやかしておきます。時間があれば30分ほど浸して、昆布をある程度戻しておくと良いです。
2.たらは、両面に塩を振り10~15分程置きます。表面に水分が出てきたらキッチンペーパーなどで丁寧に拭き取ります。
3.椎茸は石づきを取り、表面を軽く拭きます。傘が大きいものは半分に切ります。
4.白菜は、3~4cm幅に切り、にんじん、生姜(臭み消し用)は薄切りにします。
5.フライパンにたら、椎茸、白菜、にんじん、生姜(臭み消し用)を入れ、蓋をして火にかけます。昆布がある程度戻っている場合は、たらを昆布の上に置くようにすると、フライパンにくっつきにくくなります。
6.最初は強火で、沸騰してきたら中火~弱火にして5~6分蒸します。
7.蒸している時間に、たれの材料を合わせておきます。
8.たらと野菜に火が通ったら、崩れないように気を付けてお皿に盛りつけ、たれをかけて完成です。
【アレンジ】
一緒に蒸す食材は、お好きな野菜やきのこを合わせてください。旬の野菜を使うと季節感を感じながら、年間を通して食べられます。