空気が乾燥し、風邪やインフルエンザの流行が2月も続きます。手洗いやうがい、食生活などこれからも気をつけましょう。 現在では一年中売られている納豆ですが、昔は大豆の収穫後の秋から冬に仕込まれるため、冬の食べ物とされていました。「納豆時(なっとうどき)に医者要らず」という諺もあり、古くから体にとても良い食品として日本人に親しまれています。今回は、「納豆」についてお話します。
納豆は日本の文化
納豆は、大豆を納豆菌で細菌発酵させた発酵食品で、世界でも日本独自の食品として知られています。大豆を細菌発酵した食品は、中国で有名な大豆を麹菌で発酵した「豆鼓(トウチ)」やインドネシア発祥の大豆をテンペ菌で発酵する「テンペ」など世界でも様々ありますが、あの独特なにおいや粘りを有する食品は、納豆菌を用いた日本の納豆だけです。 また、食べ方や調理法にも違いがあり、豆鼓(トウチ)は主に調味料として味付けのために料理で使われることが多く、またテンペは炒め物や煮物、スープやシチューなどに入れて肉の代わりとして使用されることが多いのに対し、納豆は調理の必要もなくそのまま手軽におかずとして食べることができます。納豆は、日本の朝食の定番おかずとして食卓に並ぶ日本の伝統的な食品です。
納豆は大きく分けて、納豆菌を使用してつくる「糸引き納豆」とカビを増殖させてつくる「寺納豆」の2つに分けられます。普段私たちが食べている納豆は「糸引き納豆」のことをいいます。今回は「糸引き納豆」の魅力をご紹介します。
糸引き納豆の魅力
納豆は、大豆が原材料であるため栄養価が高く、また納豆に含まれる成分には、様々な効果が期待され、体に良い健康食品として注目を浴びています。
●ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは、納豆菌によって産生される酵素のことで、納豆にしか産生されない納豆特有の酵素です。納豆のネバネバは、このナットウキナーゼによりたんぱく質が分解されて起こります。ナットウキナーゼには、血栓溶解酵素とも言われ、血栓を溶かしやすく血液の流れを良くする作用があり、動脈硬化や脳卒中を予防する効果が期待されています。
●ビタミンK
ビタミンKは、出血した血液を止めたり、骨の形成を促す働きがあるので、不足すると出血傾向となり血が止まりにくかったり、骨折や骨粗鬆症に繋がりやすくなります。
健康を保つために重要なビタミンKは、納豆菌の発酵により増加するため納豆には豊富に含まれています。1日に必要なビタミンKをとるためには、同じ大豆製品の木綿豆腐では4丁も摂らなければならないのに対して、納豆は1/2パック摂るだけで簡単に満たすことができます。
また、2015年に改定された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、18歳以上のビタミンKの摂取目安量が男女とも増加しました。近年、骨粗鬆症による骨折が多く、寝たきり患者が増えていることが重篤な問題となっています。今後の健康寿命延伸のために重要視されているビタミンでもあります。
【納豆を摂るときの注意点】
納豆にはプリン体が多く含まれているため、尿酸値が高めの方は1日1/2パック程度にし、食べ過ぎないように気をつけましょう。また、血栓や塞栓症の治療や予防でなどで血液を固まりにくくする薬(例えばワーファリン等)を飲んでいる方は、納豆に含まれるビタミンKが薬の効きめを弱めてしまうため、納豆は厳禁なので注意してください。
<納豆とおすすめの組み合わせ>
どんな食品にも相性が良い納豆ですが、おすすめの組み合わせをご紹介します。
●長いも
納豆はもともと消化の良い食品ですが、たんぱく質の消化吸収を助ける長いもと組み合わせるとより消化がよくなります。長いもには、抗酸化成分などが含まれ、新陳代謝を上げたり、疲労回復や免疫力を上げるのにおすすめです。
●野沢菜
納豆のにおいが苦手な方にはおすすめです。野沢菜などの漬物と一緒に食べると漬物に含まれている乳酸菌によりにおいが緩和されます。
おすすめレシピ
「ご飯と納豆」という定番の組み合わせを「うどんと納豆」という組み合わせに変えた山形県の郷土料理をご紹介します。手軽に作ることができ栄養価の高い優れたメニューです。
●ひっぱりうどん
【材料】(2人前)
・うどん(乾麺) ・・・200g
・納豆 ・・・1パック
・さばの水煮缶 ・・・1/2缶
・長いも ・・・1/4本
・ねぎ ・・・適量
・かつお節 ・・・適量
・しょうゆ ・・・小さじ1
【作り方】
1.長いもはすりおろし、ねぎは小口切りにし、さばの水煮缶はほぐしておきます。
2.納豆を粘りがでるまで混ぜ、1の材料とかつお節、しょうゆを入れ混ぜ合わせておきま
す。
3.うどんを鍋に入れ、ゆでます。
4.うどんがゆであがったら完成です。ゆでたうどんを鍋からとりながら2に絡めて食べます。
※卵をプラスしてもまた一味違った味が楽しめます。
※さばの水煮缶ではなく、オクラやキムチなどに変えたり、その他いろんな具材をプラスしても
おいしくいただけます。