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栄養コラム

レタス

No.235

2023年7月3日

管理栄養士 板橋彩子

気温が高く暑い日が増えてきました。暑い時はさっぱりとしたものが食べたくなりますが、そんな時にぴったりの野菜がレタスです。レタスは水分が多く、生のままサラダなどでさっぱりと食べられます。今回は、今が旬で、これからの暑い時期に美味しく食べられるレタスについてご紹介いたします。


レタスについて

レタスは和名を「ちしゃ」と言います。レタスの茎を切ると断面から乳液が出ることから「乳草(ちちくさ)」と呼ばれており、それが変化して「ちしゃ」になったとされています。現在の一般的な丸いレタスは「たまちしゃ」と呼ばれ、江戸時代末期から日本に入ってきたと言われています。明治時代以降、本格的に栽培が始まり、現在のように一般的なレタスとして定着したのは第二次世界大戦後のようです。今では、品種改良が行われ、様々な種類があります。

<レタスの仲間>
●サラダ菜
ゆるやかな結球性のレタスです。葉は光沢のある鮮やかな緑色をしており、
やわらかく少し厚みがあるのが特徴です。葉はクセがないので扱いやすく、
サラダや付け合わせなどに利用できます。また、食材の引き立て役としても
重宝します。

●サニーレタス
結球しない葉レタスの一種。葉脈に沿って葉が縮れていて、葉先が細かく
カールしているのが特徴です。成長するにしたがって葉が赤紫色に染まります。ふんわりとした葉はやわらかくてクセがなく、苦みもほとんどありません。サラダやサンドイッチなど様々な楽しみ方ができます。

●ロメインレタス
長楕円型をした半結球型のレタスです。ギリシャのコス島が原産とされる
ことから「コスレタス」とも呼ばれ、葉は厚めで軸が太く、パリッとした
食感でわずかに苦みがあります。シーザーサラダによく利用されますが、
生で食べる以外にも、炒め物やスープ、お浸しなどでも生とは違った食感
が楽しめます。

●サンチュ
結球しないレタスで、焼き肉を巻いて食べる葉としてよく知られています。
サンチュというのは韓国の呼び名で、日本名では「包み菜」と呼ばれたり、
他のレタスのように株ごとに収穫するのではなく、外側から葉を1枚ずつ
掻きとって収穫されることから「搔きちしゃ」などとも呼ばれます。葉は
大きめの楕円形で、明るい緑色です。肉厚で歯切れが良くシャキッとした
歯ごたえがあります。


レタスの特徴

(1)水分が多い
レタスは95%が水分の野菜です。体への水分補給は、飲み物から摂取している水分と食事から摂取している水分があり、1日に必要な水分の約半分は食事から摂取しています。食事も大切な水分補給になっているため、水分の多いレタスは食事からの良い水分補給になります。
また、薬膳でレタスは「熱」「温」「平」「寒」「涼」の5つの分類のうち、「涼性」に分類
され、体の余
分な熱を冷ます効果があると考えられています。水分補給ができて体も冷やして
くれるレタスは、暑い時期には欠かせません。

(2)低カロリーで幅広い栄養を含む
レタスは、ほとんどが水分の野菜のため、低カロリーです。体重増加が気になる、つい食べ過ぎてしまうという方は、レタスであればたっぷり食べても摂取カロリーを抑えることができます。サラダで食べる場合は、よく噛んで食べることに繋がり満足感も得られやすいです。たっぷり食べる場合は、ドレッシング類からのカロリー摂取が増えないよう、ポン酢やノンオイルドレッシングなどを利用すると良いでしょう。
また、量は少ないですが、抗酸化作用や免疫力アップなどが期待できるβカロテン、ビタミンC・Eの他、血液や細胞を作るのに必要な葉酸、細胞内外の水分量を調整してむくみ改善や高血圧予防が期待できるカリウムなど、ビタミン・ミネラル類を幅広く含んでいます。

(3)食べ方が多彩
レタスは、淡泊な味で他の食材の味への影響が少なく、様々な食べ方ができます。例えば、生のままサラダで食べる場合、海藻サラダやシーザーサラダなど、いろんな食材と合わせやすいです。さらにドレッシングも和風、中華、ゴマ、フレンチ、サウザンなど、様々な味と合いますので、レタスが主役のサラダは種類が豊富で、毎日でも多様な食べ方ができます。
また、サラダ以外にも、焼いたお肉を巻いて食べたり、サッと火を通して炒め物にしたり、鍋やスープの具材として食べるのも良いです。火を通すことで、カサが大きく減るのでたっぷり食べることができます。


レタスの食物繊維量について

「レタス〇個分の食物繊維」という表記を見かけることがあります。このような表記を見て、
レタスには食物繊維が多いような印象を持った方もいらっしゃるかも知れませんが、実際の
レタスの食物繊維の量はどのくらいなのでしょうか。
平均的な大きさ(300g)のレタス1個分の食物繊維は3.3gです。レタス1個を食べようと思うと大変ですが、例えば、きんぴらごぼう1人前でレタス1個分、野菜炒め、ほうれん草のお浸し
1人前では、レタス1個分とまではいきませんが、2/3個分以上の食物繊維を摂ることができます。           (日本食品標準成分表2020年版(八訂)より算出)
このように、レタスの食物繊維量は、野菜類の中で特別に多いということはなく、適度に含まれていると理解しておくのが良さそうです。「レタス〇個分の食物繊維」という表記は、あくまで表現として使われていると認識して、レタスも食物繊維を摂取できる野菜の1つとして、ぜひ日頃から取り入れ美味しく食べてください。


レタスと眠りとの関係

1902年イギリスで出版されたピーターラビットシリーズの「フロプシーのこどもたち」の本の中で、子ウサギたちがレタス畑でレタスを食べ過ぎて眠ってしまい、畑の持ち主であるマクレガーさんにつかまってしまう…という場面が出てきます。このような話から、ヨーロッパではレタスが睡眠に関係していると考えられていたことが分かります。
レタスの芯を切った時に、切り口から出てくる白い液体には、ラクチュコピクリンと呼ばれる苦み成分が含まれており、このラクチュコピクリンには、気持ちを穏やかにする鎮静作用や眠りを促す睡眠促進効果があることが分かっています。
ラクチュコピクリンは、レタスの種類によって含まれている量が違い、一番多く含まれているのは中南米産のワイルドレタスです。現在、日本で一般的に食べられている丸いレタス(たまちしゃ)は、ラクチュコピクリンがあまり多く含まれていない品種のため、睡眠効果はそれほど期待できないかもしれないですが、効果には個人差もあるため、気になる方はレタスを食べて、効果を検証してみてはいかがでしょうか。


 レタスの選び方と保存方法

生で食べることが多いレタスを美味しく食べるには、鮮度が大切です。新鮮なレタスの選び方、保存方法をご紹介いたします。 

<選び方>
葉にハリがあって、みずみずしく元気なものが良いです。適度にふんわりと巻いていて、大きさと比べて軽めのものがおすすめです。芯の大きさは10円玉くらいで、切り口が変色していないものを選びましょう。

※芯の切り口について
芯の切り口が赤く変色しているのは、切り口から出る白い液体に含まれているポリフェノール類が空気に触れて酸化するためです。日が経つと変色が進みますので、切り口が白いものほど新鮮です。

<保存方法>
レタスは乾燥に弱いため、乾燥しないよう濡れた新聞紙などで包む、または霧吹きなどで水を吹き付けてからポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜庫で保存しましょう。葉先が上に向くよう軸を底にして立てるようにした方が長持ちします。
カットしたレタスを保存する場合は、切り口をキッチンペーパーで覆うようにすると、切り口から水分が抜けるのを防げます。ラップで包む、またはポリ袋に入れて切り口を下にして冷蔵庫で保存しましょう。
また、興味のある方は、鮮度を長持ちさせるグッズも活用してみてください。
 ・芯に刺すグッズ…芯を3箇所程刺すことで、成長点の働きを抑え鮮度を保ちます。
          芯に刺すだけですので手軽です。楊枝でも代用できます。
 ・鮮度保持袋…袋に野菜の熟成を進めるエチレンガスの吸着や殺菌効果などの加工が
        されており、鮮度を保ちます。

※レタスの食べ方
基本的には、あまり長持ちはしないため2~3日以内に食べきるのがおすすめです。生で食べる場合は、直前に冷水につけるとパリッとした食感になります。また、カットする際は、刃物を
使うと切り口が赤く変色するため、手でちぎるようにすると良いです。あるいは、刃物で切ってもすぐには変色しませんので、早めに食べるようにしましょう。


おすすめレシピ

レタスを丸ごと1個使い切れるレシピをご紹介いたします。レタスは、火を通してカサを減らすことで簡単に1個使い切ることができます。新鮮で美味しいうちにレタスを全て食べられるレシピです。レタス以外に使う材料は、常備されているような食材・調味料ですので、わざわざ材料を買いに行かなくても気軽に作れます。中途半端に余ったレタスの消費にもおすすめです。
レタスのシャキシャキとした食感をお楽しみください。

<レタスの中華風卵炒め>
【材料・分量(2~3人前)】
・レタス:1個(約300g)
・にんにく:1~2片(量はお好みで調整してください)
・ごま油:大さじ2
・醤油:大さじ1~1杯半
・卵:3個
・砂糖:小さじ1
・ごま油:大さじ1/2

【作り方】
1.レタスは芯をくり抜き、外側から葉を外して洗います。水気をよく切ったら、手で大きめの
 サイズにちぎりボウルに入れます。
2.1のボウルに、ごま油大さじ2を入れて混ぜ、レタスにまんべんなくごま油を行き渡らせま
 す。
3.にんにくは皮を剥き、おろしにんにくにします。
4.卵はボウルに割り、砂糖を加えて溶きます。フライパンにごま油大さじ1/2を引いて、強火で
 あたためます。
5.卵液を垂らすとジュっと音がするぐらい、フライパンがしっかりあたたまったら、強火のまま
 卵液を流し入れ、すばやく混ぜて、卵が半熟の状態で一度お皿に取り出します。
6.そのまま同じフライパンに、2のレタスを入れて強火で炒めます。レタスのカサが半分ぐらい
 になったら、おろしにんにくと醤油を加えて全体に絡めるように炒めます。
7.5でお皿に取り出した卵をフライパンに戻して、レタスと混ぜながらサッと炒め、卵に火が
 通ったら完成です。

【ワンポイントアドバイス】
・レタスは、時間が経つと水分がどんどん出てきますので、短時間で素早く作ることがポイント
 です。また、火加減は強火にして炒めましょう。
・7でフライパンに戻した卵にレタスの水分、うま味をしっかり吸わせるのが美味しく作るコツ
 です。そのためには、5で炒める卵を半熟でふわふわの状態にしておき、火を入れすぎない
 ようにするのがポイントです。
・どうしても多少は水分が出ますので、気になる方は、最後に水溶き片栗粉を加えてとろみを
 つけると良いです。