現在イタリア・ミラノでは、「食」をテーマとした万博が開催されています。日本も展示館を設置し、様々な日本の伝統的な食文化を世界に伝えています。今回お話しする「かつお節」も日本の和食にはかかせないだしの原料として紹介されているのですが、準備当初はミラノへ持ち込むことができず、交渉の結果特例として持ち込みが許可されたという経緯もあったようです。どうしても他国へ紹介したかった日本独特の食品「かつお節」の魅力をお伝えします。
かつお節について
かつお節は、三枚におろしたかつおを加熱して燻し、水分をとばしてから、カビつけと日干しを繰り返して作られた発酵食品です。 出来上がったかつお節は、木材のような見た目と、金属のようにかなり硬くなっているため、魚のかつおから作られたとは想像ができず、食べ物と思われ
ないこともあるようです。以前の日本の各家庭では、毎朝この硬いかつお節を
削る光景が見られましたが、現在では削られた状態の「削り節」を購入して使うことが多くなりました。
このようにかつお節は日本で発祥した日本独自の食品であり、現代でも日本料理には欠かせない食品です。削り方によっても用途が異なり、いろんな料理に用いることができます。
削り方の違いによる活用法
かつお節は、削りが細かくなるにつれて様々な料理に活用しやすくなり、だしとして使用するだけでなく、そのまま料理にも使えます。以下削りの大きさ順にかつお節をご紹介します。
●厚削り
厚めに削られたもので、だし専用のかつお節です。時間をかけてじっくり煮出すことで、コクや旨味の強いだしをとることができます。
おすすめの活用 うどんやそばなどのつゆ、煮付けなどの濃いだし
●平削り(花かつお)
薄く大きめに削られたもので、短い煮出し時間であっさりしただしがとれます。また、トッピングとしても使いやすいかつお節です。
おすすめの活用 お吸い物や煮物のだし、お好み焼きや焼きそばのトッピング
●糸削り
糸状に削られたもので、主におもてなし料理のトッピングで使われます。
おすすめの活用 冷奴、漬物などきれいに盛り付けたいとき
●砕片
かつお節の繊維に対して水平に削っており、一度花かつおにしたものをさらに細かく砕いたもので、食べやすくなっています。一般的にかつおパックに使われている削り節です。
おすすめの活用 和え物、冷奴、漬物、お好み焼きなどのトッピング
●粉削り
粉末状に削られたもので、近年注目を集めています。だしをとる必要がなく、インスタントのようにそのまま活用でき、いろんな料理に使えるかつお節です。
おすすめの活用 みそ汁のだし、冷奴、漬物、お好み焼きなどのトッピング、和え物など
かつお節の旨味成分
かつお節の一番の特徴は旨味が凝縮されていることです。旨味は日本が生んだ甘味、酸味、塩味、苦味に加わる味の一つで、料理の美味しさに影響します。かつお節はカビが分泌する酵素により脂肪やたんぱく質を分解し、アミノ酸を増やすことでかつお節独特の香りや旨味を生成させます。かつお節の旨味成分はイノシン酸とおよそ20種類のアミノ酸によりつくられており、この旨味を抽出して作られる「だし」は和食の基本として、美味しさを左右する重要な調味料
として使用されています。
旨味成分の相乗効果
旨味成分には、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などありますが、旨味は単独で使用するより、組み合わせることでより旨味が強くなります。中でもかつお節は、昆布と組み合わせることで旨味が強くなり、昔からかつおと昆布だしがよく使われていました。かつお節の旨味成分である「イノシン酸」は、昆布の旨味成分でもある「グルタミン酸」と組み合わせることで旨味が強くなるとてもベストな組み合わせだったのです。
また、グルタミン酸の旨味を含む食品は昆布以外にもあるので、「かつお節+昆布」同様のベストな組み合わせで美味しい旨味がうまれます。
【グルタミン酸を多く含む食品】
昆布、トマト、白菜、チーズ、ごま、大豆など
例えば「トマトサラダ」や「白菜の浅漬け」にかつお節を合わせると、ぐっと旨味が増えて美味しくいただけます。
美味しいだしのとり方
汁物や煮物によく使う、昆布とかつお節のおいしい合わせだしの取り方をご紹介します。意外と簡単にだしをとることができるので、ぜひ素材からだしを取ってみましょう。
【材料】(出来上がり量5カップ(1000ml)分)
・だし昆布 ・・・20g(15×3cm大4枚)
・かつお節(花かつお) ・・・30g(約3カップ分)
・水 ・・・6カップ(1200ml)
【とり方】
1.昆布の汚れを軽く拭き、水を入れた鍋に30分ほど浸けて旨味を出します。
2.昆布の入った鍋を火にかけ、沸騰させます。
3.沸騰したら昆布を取り出し、かつお節を加えたら火を止め、2~3分程おきます。
4.ボウルの上にペーパータオルを敷いたボウル網を乗せ、かつお節の入っただしを流し入れ、
ペーパータオルのかつお節からも絞りだしたら、完成です。
※昆布を水に浸ける時間がない場合は、少し長めに火をかけましょう。
※多めに作って、氷を作るケースに流し入れ固めておけば、味噌汁やソーメンなどのつゆだしと
して1杯に対して1個ずつ使うことができます。
『だしがら』活用レシピ
だしをとったあとの『だしがら』は、捨てずに違う料理に活用しましょう。今回は、だしがらを用いて簡単に作れるふりかけをご紹介します。
●塩昆布ふりかけ
【材料】
・かつお節・だし昆布だしがら ・・・上記使用分の残り
・塩昆布 ・・・15g(約大さじ3杯)
・ごま ・・・小さじ1
・(七味 ・・・適量)
【作り方】
1.かつお節は水気を切り、みじん切りにし、昆布は細かく切っておきます。
2.フライパンにかつお節と昆布、塩昆布を入れて火にかけ、汁気がなくなるまで炒めます。
3.最後にごまを入れ、混ぜ合わせたら完成です。
※七味を入れるとピリ辛になりさらにおいしくいただけます。
※ご飯だけでなく、焼き魚やサラダなど料理にかけてもおいしくいただけるので、常備菜として
ご活用ください。