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栄養コラム

へぎそば

No.141

2015年9月1日

管理栄養士 田原 佳奈

先月、日本有数の米どころである『新潟県』へ行ってきました。あたり一面に鮮やかな緑色の田んぼが広がり、
来月には黄金色に輝く田園風景となるのが楽しみですね。新潟県は食に対する思いが熱く、お米以外にも栃尾の油揚げやかんずり(唐辛子調味料)、笹団子など、昔ながらの知恵を生かした郷土食が多くあります。今回は新潟県の郷土料理の中で「へぎそば」をご紹介します。いつも食べているそばとは異なり、磯の香りが強く、喉越しの良い食感でとても美味しかったです。 5


へぎそばとは

4そばのつなぎに「フノリ」という海藻を使用したそばで、小千谷や十日町など新潟魚沼地方発祥の郷土料理です。「へぎ」とは器のことを表し、板を剥いで作ったような器なので「剥ぐ」から変化して「へぎ」と呼ばれています。また一口ずつ、たぐり分けてきれいに
並べて盛られているのも特徴です。魚沼地方は織物の産地としても知られており、織物の糸のように見たてて盛られていたと言われています。


フノリとは

へぎそばに使われているフノリは紅藻類の一つです。食品としてそのまま食べられるだけでなく、水を加えて煮溶かし、濾過した液を織物や陶器などの接着用の糊としても使用されています。フノリの産地は三陸や高知ですが、新潟魚沼地方はもともと織物業が発達しており、糸の糊づけとして使われていたフノリをそばの繋ぎに使えないか考えられたと言われています。つなぎに使う小麦粉が手に入りにくかったので、より身近なフノリで作って手軽に食べられるようにしました。 フノリを入れることで歯ごたえが増し、喉越しの良いそばになります。磯の香りが強いのもフノリによるものです。


辛子で食べる

6この地方ではそばに辛子を入れて食べることが主流です。昔はわさびの栽培が難しかったので、代わりに栽培しやすいからし菜から採れる辛子が使われていました。ピリッとした辛さは辛子でも代用できたからだと言われており、今でもわさびではなく辛子で食べられています。身近な食材を使うことから地方独自の食べ方が生まれています。初めてそばを辛子で食べるとき、そばの風味が無くなってしまうのではと心配しましたが、へぎそばの喉越しに辛子の強い辛味がとても良くあっていました。


そばの栄養

そばはご飯やパン、うどんなどと同じ主食グループでエネルギー源となる食品です。主食の中でも身体を作るたんぱく質や食物繊維が比較的多く含まれ、栄養価の高い食品です。また肥満やメタボリックシンドロームの予防や改善に効果があると注目されている低GI食品です。

2●低GI食品
GIとはグリセミック・インデックスの略で、食後の血糖値上昇を表す指標です。GI値が高いと食後の血糖値を上げやすい食品であり、血糖のコントロールを乱したり、身体へ脂肪を溜めやすく肥満になりやすいと言われています。そばはご飯やパン、うどんなどの主食の中でGI値が低いことが特徴です。

<GI 値>
  
そば55
ご飯84
食パン91
うどん90
1

へぎそばはつなぎに低GIの海藻を使用しており、通常の小麦をつなぎとして使用しているそばよりもさらにGI値が低くなっていると考えられます。


おすすめレシピ

そばはめんつゆで食べることがほとんどですが、疲労回復効果のある酢を加え、食欲がわかないときの昼食や、お酒を飲んだあとの締めのラーメン代わりとして、低カロリーでさっぱり食べられる一品をご紹介いたします。

●へぎそばのところてん風

【材料】(2人前)3
・へぎそば・・・40g(乾めん)約1/2束
・みょうが・・・2個
・たれ
a.醤油・・・小さじ1
b.砂糖・・・小さじ1
c.酢・・・小さじ2
・辛子・・・適宜
・ごま・・・適宜

【作り方】
1.たれを混ぜ合わせます。
2.みょうがを千切りします。
3.へぎそばを茹で、水で洗いざるにあげます。
4.へぎそばとみょうがを器に盛り、たれをかけ、お好みで辛子やごまを加えてできあがりで
  す。

※アレンジ
●サラダとして・・・お好みの野菜をトッピングしましょう。
      きゅうり、大根、茄子、人参・・・千切りして塩もみ
      ほうれん草、もやし・・・ゆでる
      パプリカ、トマト・・・スライスして
●冷やし中華風に・・・ごま油を加え、きゅうりや錦糸卵、ハムなどをのせてみましょう。
●軽い食事として・・・温泉卵を追加するとその1品で栄養バランスが整います