梅雨の時期に入り、これからじめじめとした日が続きます。
そんな時にさわやかな香りでシャキシャキさっぱり食べられるみょうがをご紹介します。
みょうがの歴史と言い伝え
みょうがはショウガ科の多年草で日本特有の香辛野菜です。原産地は中国で、現在は日本全国で栽培されています。また、現在食用にしているのは主に日本だけです。食用の歴史は古く、3世紀に記された「魏志倭人伝」や6世紀ごろに記された中国農業専門書には、みょうがの栽培法や用途などの記述が見られ、かなり古い時代から食用されていたことが考えられています。また、東京都文京区にある「茗荷谷」という地名は、江戸時代にこのあたりまで広がっていた『みょうが畑を見下ろす谷』であったことに由来しています。
「みょうがを食べると物忘れがひどくなる」という俗説がありますが、それは昔お釈迦様の弟子が自分の名前を覚えられないほど物忘れがひどく、名札を首から下げていたことさえ忘れてしまっていたことが由来しています。
その弟子の死後、墓から生えてきた草を「彼は自分の名前を荷って苦労してきた」ということで「名を荷う」ことから『茗荷』と名付けられたと云われています。近年の研究では、みょうがは集中力や記憶力向上に役立つ可能性があると報告されています。
みょうがの種類
花みょうが ・・・花が咲く前の蕾。紅色~赤紫色で特有の香りがあり
シャキシャキとしています。6月から8月に収穫されるもの
を夏みょうが、8月から10月に収穫されるものを秋みょう
がとも呼ばれています。
みょうがたけ・・・3月~7月頃に生えた若い茎を食用としたもの。日光を
遮断して白い部分ができるような栽培法を行い、成長後に
軽く日を当てることで白と薄紅色のきれいなグラデーション
になります。
みょうがの特長成分
α‐ピネン ・・・みょうが特有の香りの成分です。香りは脳を刺激し、人体によい影響を与え
ることが報告されています。 α-ピネンは副交感神経に作用し興奮を鎮め、 胃液の分泌促進、食欲増加、睡眠改善や免疫力向上、 血行促進などの効果
があるといわれています。また、この香り成分はスギやヒノキにも多く含ま
れており、森林の空気を吸い込んだ時の爽やかな香りは主にこの成分が関係
しています。α-ピネンにはリラックス効果や疲労軽減効果をもたらすことが
報告されているため入浴剤やアロマ精油としても広く用いられています。
みょうがの活用方法
みょうがの独特の風味や食感が料理にアクセントを加えてくれます。みょうがを繊維に沿って細切りにするとシャキシャキとした歯触りを活かすことができ、繊維を断ち切るように輪切りに切るとみじん切りのような形になります。
①そのまま生で
そのまま生で食べることができます。みょうがの香りはとても揮発性が高いため、刻み置きや長時間の水のさらしは風味を損ないます。食べる直前に切るのが良いでしょう。
冷奴に ・・・冷水にさらしてシャキシャキになったみょうがと豆腐はよく合います。
麺の薬味に ・・・素麺など味が淡白なものでも、みょうがの独特の香りと風味でアクセント がついておいしく食べられます。また、色も鮮やかなので見た目が華やか になります。
②加熱する
みょうがの味が苦手な方でも、加熱することで独特の風味がやわらぎ、食べやすくなります。
炒めもの ・・・炒めることでかさが減り、たっぷり食べられます。味噌や甘辛のたれと
合わせるとコクや風味が増し、肉や野菜をプラスすればメインの一品
にもなります。
味噌汁 ・・・味噌汁の具として入れると、香りが立ち、あっさりした味わいになります。
夏は、きゅうりやなすを加えて冷や汁にして飲むのもおすすめです。
繊維に沿って薄切りにすると汁なじみが良いです。
炊き込みご飯・・・みょうがを細かく刻み、醤油、みりん、だしを合わせてお米を炊くと爽や
かな風味のご飯になり、魚の味噌煮など和のおかずとよく合います。
③漬け込む
調味料に漬け込むだけで、万能ダレやピクルスなどにすることができます。日持ちもするので料理の付け合わせやトッピングなど汎用性が高まります。
ピクルス ・・・さっとゆでて甘酢に漬けるだけの簡単レシピです。さっぱりとして箸休めにも
良いでしょう。丸ごと漬けても薄切りにして漬けてもおすすめです。
薬味ダレ ・・・輪切りにしたみょうがをしょうゆやみりん、酢で味付けして漬け込むとざくざ く食べ応えのあるたれに仕上がります。 蒸し鶏、餃子などの肉の料理や、
揚げ物によく合います。
※油を加えるとドレッシングになるので、サラダにかけてもおいしくいただけ
ます。
みょうがで減塩対策
減塩でもおいしく食べる工夫の一つに、香味野菜を活用するという方法があります。塩分を控えた分、香りや辛みの強いものを料理に付け加えることで味にアクセントがつき、おいしく食べることができます。
みょうがは香味野菜のひとつです。味付けを控えめにした料理のアクセントに、つけ醤油やかけ醤油を少なめにして薬味として使うなど、減塩対策にぜひ活用してみましょう。
みょうがの選び方と保存方法
花みょうがは、ずんぐり丸みがあって色つやが良く身が締まっているもの。傷がなく、蕾が開いていないものが良いです。みょうがたけは、茎が白く、ほんのり紅色に色づいたものが良いでしょう。湿らせたキッチンペーパーで包んで野菜室に入れると10日ほど保存できます。
おすすめレシピ
薬味や付け合わせのイメージが強いみょうがですが、そんな時に食べ応えがありみょうがを丸ごと使える簡単レシピをご紹介します。冷めてもおいしいのでお弁当のおかずにもおすすめです。
みょうがの肉巻き
【材料】 (2人分)
・みょうが 8個
・豚バラ肉(薄切り) 160g
A.酒 大さじ1
A.みりん 大さじ1と1/3
A.醤油 大さじ1
・油 大さじ1
・小麦粉 少々
・青ネギ(トッピング用) 少々
【作り方】
①みょうがを十字に4つ割りする。あらかじめAの調味料を混ぜ合わせておく。
②豚肉を8等分にし、みょうが1本分を巻けるような大きさに整える。その上に
みょうがをのせ、きつめに巻いていく。巻き終わったら、小麦粉をふるいなが
らかるく全体にまぶす。
③フライパンに油を熱し、②の巻き終わりを下にして焼く。
④全面が焼けたら一旦火を止め、合わせたAをかける。再び火をつけ、たれを煮
詰め、肉に絡ませていく。
⑤出来上がった④を皿に盛り付け、小口切りにした青ネギを散らばせる。
【ポイント】
・みょうがを4つに切っておくことで火が通りやすくなります。
・醤油を味噌に変えて味噌味にしてもコクと風味が増し、おいしくいただけます。
・塩分が気になる方は、醤油を控えめにしたり、塩とこしょうのみのあっさりした
味付けにしてもみょうがの風味が効くためおいしく食べられます。